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ITER 日本国内機関

舞台は南フランス、超大型国際プロジェクト「ITER」に挑め――第二新卒など「次世代人材」採用も強化へ

掲載日:2025/08/20更新日:2025/08/20
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「地上の太陽」とも称される、究極のエネルギー源“核融合”――その未来のエネルギー活用を目指すのが、超大型国際プロジェクト「ITER(イーター)」だ。今回の応募支援元となる「ITER日本機関(量子科学技術研究開発機構)」は、同プロジェクト参加への応募・選考のサポートを担う。そもそも「核融合実験炉」とはどういったものなのか。そして、ITER日本機関によるプロジェクト参加までの応募・選考支援とは。それぞれの概要について見ていこう。

人類初「地上に太陽をつくる」挑戦を

太陽が莫大なエネルギーを生み出す仕組み「核融合反応」。その「究極のエネルギー源」の地上での再現を目指すのが超大型国際プロジェクト「ITER」だ。

欧州、米国、ロシア、韓国、中国、インド、日本を含む計7極・33ヶ国から約1100名が参画。世界中の英知を結集し、超大型国際プロジェクトとして「核融合エネルギーの実用化」という壮大な目標の達成を目指す。ITERはラテン語で「道」を意味し、まさに「核融合実用化への道・地球のための国際協力への道」という願いが込められている。

核融合エネルギー発電を見据えた「高いエネルギー倍増率」と「長時間燃焼」の実証には、巨大な核融合実験炉が必要とされる。そこで現在フランスのサン・ポール・レデュランスにて、巨大核融合実験炉「ITER」の建設・組立が進められている。

このプロジェクト推進を担う「ITER機構」では機械エンジニア、電気エンジニア、建築エンジニア、プラントエンジニア、品質管理、研究者だけでなく、調達、広報、法務、契約など、多岐にわたる分野で活躍の場がある。その中で日本人は60名ほどが様々なセクションで活躍しているが、核融合実用化に向け、さらなる日本人の参加が求められている。

核融合エネルギーが注目される理由

次世代のクリーンエネルギーとして大きな期待が寄せられている。原子力発電などで用いられる「核分裂反応」とは異なり、ウランなどの核燃料物質を必要とせず、海水から生成可能な重水素・三重水素を燃料とすることが可能。持続可能なエネルギー源が不可欠である現代において、核融合(フュージョン)エネルギーは有力な選択肢として注目されている。

・クリーン性
高レベル放射性廃棄物が発生せず、火力発電と異なり二酸化炭素も排出しないため、環境負荷が軽い。

・安全性
原子力発電で起こり得る核燃料の冷却材喪失による溶解事故のリスクがなく、発電炉が災害などに遭った場合も安全性が保たれるのが大きな強みである。

・エネルギー生成力
莫大なエネルギー生成力を兼ね備えている。これらの点から、核融合エネルギーは高い安全性と軽い環境負荷、莫大なエネルギー生成力を兼ね備えた仕組みとして、大きな期待が寄せられている。

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ITER日本機関での応募・選考支援について

ITER機構での世界的な公募に対し、日本国内では「ITER日本機関(量子科学技術研究開発機構)」がその応募・選考のサポートを行なっている。

たとえば、応募者は、ITER日本機関における「ITER職員公募会員」に登録することで、英語の応募書類添削、面接トレーニング(※)といった手厚いサポートを受けられる。ITER機構採用後も「現地支援デスク」を通じ、フランスでの生活を支援。異国の地でも腰を据えて大きなミッションに挑めるよう、万全のバックアップ体制が構築されている。

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ITER機構での募集は、ITERプロジェクト全体の計画・進行状況に応じ、年間を通じて多様なポジションで順次公開される。新卒・第二新卒を含む若手ポテンシャル層にもチャンスが開かれており、志ある人材からの応募が広く歓迎されている。ITER日本機関では、さまざまな求人に対応ができるよう、ITER日本機関による「オープンポジションのプレエントリー枠」を用意。応募タイミングを逃さず、選考に際して万全の準備ができる体制となっている。

ITER日本機関では、これまでも積極的に応募支援を実施し、2024年度は過去最多となる12名の採用に成功した。採用された職員はまさに「日本代表」としてフランスで活躍している。この動きを加速させ、ITER機構で働く「日本代表」をさらに増やすため、年間を通じた採用強化を図る。

いかにより多くの日本人職員をITER機構へと送り出すことができるか。ITERプロジェクトの成功、そして、日本へ「核融合の知見」を持ち帰り、国内での核融合エネルギーの実用化という大きな目標の実現を目指していく。

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ITER機構で活躍、日本人職員に聞く「働きがい」

機構発足前から、概念設計から工学設計、機構発足後には、実験炉の建設と一歩ずつ歩みを進めてきたITERプロジェクト。その間、核融合・原子力・プラント建設経験の豊富な多くのエキスパートがプロジェクトに携わってきた歴史を持つ。運転・実験を見据え、いかにそれら核融合実証の夢と知識・技術といったバトンを次世代へと受け継いでいくか。ITER機構における重要ミッションにもなっている。実際、ITERプロジェクトに関わっている職員が感じている自身の『成長』感の一例として紹介していこう。

▼ 未知領域への挑戦と責任ある役割

「石油・ガス業界から核融合プラントへ転身し、“最前線で未確立の設計”に取り組む。仲間と協働しながら、自ら最適な解決策をゼロから構築している」(機械エンジニア)

「超伝導磁石システムの初めての試験という難題に取り組み、設計・調達・試験手順まで幅広く業務を担当。極めて高度な責任感を感じながら成長を実感」(マグネットエンジニア)

▼ 国際的かつ多様なチームとの協働による柔軟性とリーダーシップが磨かれる環境

「多数の国籍・バックグラウンドを持つチームと協力。第一壁(高温のプラズマに面した容器の壁)の材料変更にも、柔軟かつ協働により対応」(ブランケット・プロジェクトリーダー)

「文化的な違いによる業務の誤解を解消するため、定期的なコーヒーブレイクや社交イベントを提案し、“協力と尊重”文化を推進」(IT・データチーム)

「アメリカのソフトウェア会社では競争力が求められていましたが、今のポジションでは調和が求められており、より協力的になれ、かつマネージメントスキル向上に役立っています」(ソフトウェアソリューションアーキテクト)

「トロイダルコイル製作において、ITER機構と日欧機関、異なるメーカが共通ゴールに向かって協調しているが、難しい判断をスピーディかつ全員の合意のもとで下すことができた」(Magnet Assembly Field Engineer)

▼ シニアからの学びと自律的業務の推進

「経歴のある先輩科学者から常に学び、自分が「最も賢くない」と感じる環境でこそ成長できると実感。明確な責任構造により、専門領域に集中できるメリットも享受」(プラズマ制御サイエンティスト)

「25歳で移住・ITERプロジェクトへ参画。多国籍チームとの尊重に基づく協働を通じて、専門性と自信を同時に積み上げている」(材料管理)

▼ 包括的・公平な成長機会

「女性の観点から、かつて感じていたジェンダーによる制約がITER機構では存在せず、全員が対等であるという“公平性”が自身の成長と意欲を高めている」(マグネットエンジニア)

「ITER の“安全は全員の責任”という文化の中で、多様な背景の人々と連携して研修・訓練を実施。専門家集団から多くを学び、スキルと視野を拡張」(安全品質オフィサー)

▼ 実務

「簡潔に、かつ要点を押さえて関係者にレポーティングする能力は磨かれていると思います」(プロセスエンジニア)

「未知への挑戦」と「多様な仲間との協働」を通じ、キャリアを構築したい。技術的チャレンジ・国際協力・キャリアと生活面の両立を通じ、飛躍的に成長したい。そう考える次世代の挑戦者にとって、ITER機構は理想的な職場環境となるはずだ。

また、ITERプロジェクト参加後は、核融合開発に不可欠な次世代リーダーとして、日本のエネルギー技術発展への貢献も期待される。日本、そして地球規模のエネルギー問題を解決したい、国際的な枠組みで仕事がしたい、そう考える方はぜひ応募を検討してほしい。

▼AMBI経由でITERへ。転職インタビュー動画はこちら


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