コロナ禍によってスポーツ・ライブなどのイベントが軒並み中止・延期となった、2020年。一層の注目を集めているのが、e-Sportsだ。野球・サッカー・バスケなど、多くのアスリートが "リアル" スポーツの代替として、e-Sportsによる対戦・配信を行なったことでも話題に。2020年以降、どのような進化を遂げていくのか。関連求人とともに、最新動向に迫っていこう。
「デジタル時代の新たなエンターテイメント」e-Sportsが注目されている背景には、こういった期待もあると言えるだろう。
事実、2019年のe-Sportsファン数は、国内で前年比126%の483万人に(*1)。世界に目を向けると、2020年にはe-Sports観客数は世界全体で4億9500万人に達するとの予測もある。その市場収益規模も約1020億円(9億7390万ドル)となるという(*2)。
e-Sportsのビジネスモデルはまさにプロスポーツと同様の構造だ。すでに「プロスポーツの一つのジャンルとして確立されようとしている」とも言えるかもしれない。
実際にe-Sportsによる収益構造はリーグやチームのスポンサー料や広告収入などが大半を占める。具体的に言えば、プロゲーマーやチームのユニホームに企業ロゴを入れたり、大会のスポンサーとして広告を出したり…金額規模としても年々拡大傾向だ。
たとえば、2018年にナイキが交わしたテンセント「リーグ・オブ・レジェンズ」とのプロリーグ契約料は年間750万ドル(約8400億円)にも及ぶと言われている(*3)。
こうした中、プロ野球の球団、プロサッカーチーム、F1チームなどがe-Sportsに参入する例も出てきた。
国内でも、2018年に日本野球機構(NPB)やJリーグがe-Sports事業に参入。たとえばNPBはKONAMIと共催で『パワプロ』のプロリーグであるeBASEBALLを発足した。
各チームはプロテストやドラフト会議を実施し、実際のプロ野球のような方式を採用。コロナ禍にもプロ野球の開幕戦延期を受け、代替として「プロ野球”バーチャル”開幕戦 2020」が開催されるなど、ユニークな動きも見られた。
そのスケールはすでに実際のスポーツにも近しいものになってきていると言えそうだ。
急伸するe-Sports市場には、ゲーム会社のみならず、IT、芸能事務所、エンターテイメント、スポーツ…異業種からの参入が相次いでいる。
たとえば芸能界では、2018年3月に吉本興業が参入を表明。所属タレントをゲーム大会に参加させたり、プロチーム育成を手がけたりと、ビジネスを拡大させている。
その他にも、地域課題解決・産業振興にe-Sportsを活用する事例も。たとえば、2020年7月には神戸市が、NTT西日本、PACkageと「withコロナ時代におけるeスポーツによる地域課題解決に向けた連携協定」を締結。e-Sportsによる新たなコミュニティの創出やコミュニケーションツールとしての活用、ビジネスの可能性を探る実証事業などを手掛けていく方針だ。
ますますの注目を集める、e-Sports。新たなエンターテイメントを形成していく、市場を形作っていく、いまだからこそ味わえる醍醐味がありそうだ。
(*1)2019年日本eスポーツ市場規模は60億円を突破。~KADOKAWA Game Linkage発表~
https://www.kadokawa.co.jp/topics/4161
(*2)Newzoo グローバルeスポーツマーケットレポート2020 | 日本語無料版
https://newzoo.com/insights/trend-reports/newzoo-global-esports-market-report-2020-light-version-jp/
(*3)[FT]テンセント、eスポーツ大会への投資拡大
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4198432004032019000000/