「コンサルタントのあり方を変えたくて、自らコンサルタントになろうと決めました」そう語るのは、フューチャーアーキテクトで働く深作康太さん(32)。同社のコンサルタント職位で、キャリア入社した社員において史上最速・最年少でディレクター職に就任した若手のホープだ。彼が異例のスピードで昇進に至った背景とは。そこには決して現状に満足しないハングリー精神があった。
「新卒で入社した物流会社では、希望通りの配属とはいきませんでした」
深作康太さん(32)が新卒で入社したのは国際的な大手の物流会社。もともと営業志望だったそうだ。しかし、100名近い同期がいるなか、たった2名しか配属されない社内のIT部門へ。担当は基幹システムにおける保守・運用。配属されたときの心境をこうふり返る。
「性格的にもプログラミングより、お客様と話をすることのほうが向いていると思っていました。…ただ、まだまだ終身雇用が根強く残る社風。希望と違うものの”まずは働いてみる”という選択肢しかありませんでした」
ただ、この道が、将来を決定づけることに。
入社1年目にして任されることになったのが、海外の開発チームのマネジメント。やり取りをするのは、アメリカのテキサス州にいるグローバルなメンバー達だった。
「はじめは英語もままならない中、いきなりテレビ会議をつないだりして…相当大変でしたね。ただ、やり甲斐はありました。文化も価値観も違う人々と仕事をしていく。どういった資料を用意すべきか。どのような段取りで進めるべきか。仕事の進め方について、基本を学ぶことができました」
そして”世界”に対する見方が変わったと語る。
「外国人、特にインド人が多かったですね。勝手に仕事が雑なイメージを持っていたのですが、素晴らしいホスピタリティとプロフェッショナルとしての自覚を持った人々の集まりでした。成果に貪欲で、言いたいことはドライに言う。後腐れはない。こういった優秀な人達が世界にはいるんだと肌で感じることができましたね」
こうして物流会社にて順調にキャリアを重ねていった深作さん。その会社は、誰もが羨む安定優良企業。そのまま在籍をしていれば昇進も確実。そんな20代後半に差し掛かる時期、彼のなかには大きな焦りが芽生えていた。
「海外チームのマネジメントには非常にやり甲斐を感じていました。ただ、裏を返せば、それしかやっていなかったんですよね。生意気に聞こえてしまうかもしれませんが、冷静にスキルセットを分析した上でも、ITの領域でいえば、事業会社にいるより、外の世界に出たほうが優秀な人たちがいる。高度な課題解決をしていくスペシャリストと共に働いてみたい」
外の世界で勝負をしていく。そして選んだのが「コンサルタントになる」という選択だった。
そもそも「物流会社の社内IT部門からコンサルタントになる」といったキャリアを歩む人は珍しい。
よりスケールの大きなプロジェクトマネジメントに挑戦する。そして、もともと持っていた顧客志向を叶えていく。この2つを両立させる道が「コンサルタント」だったと深作さんは語る。
「じつは、本に書いてあることしか言わないコンサルタントに対し、不信感というか、偏見を持っていたんです。ロジックを語るだけなら誰だってできますよね。私はそうではないコンサルタントになりたいと思ったんです。地に足のついたスキルをつけ、確実に課題が解決し、顧客の事業に貢献していきたい」
こうして至ったのが、ITという自身が培ってきた経験をコンサルティングに活かす、ITコンサルタントという職種へのキャリアチェンジ。転職先として真っ先に浮かんだのがフューチャーアーキテクトだった。
「IT×コンサルティングといえば、業界のリーディングカンパニーといえるフューチャーアーキテクトが最初に思い浮かびました。むしろ一択だったといってもいいですね」
入社の決め手は採用面接。当時面接官だった人物とのエピソードをこうふり返る。
「面接が本当に衝撃だったんです。当時面接官だった方から…あえて砕けた言い方をすれば、めちゃくちゃ怒られたんですよ(笑)私が”今までにいないようなコンサルタントになりたい”という話をしたら”甘く見るな”と。そしてITコンサルタントがどういう仕事か。何をミッションとしているか、熱のこもった話をいただきました。仕事への誇り、プロとしての姿勢が伝わってきました。たまたまその方が変わっていたというのもあるかもしれませんが(笑)この面接が決め手になりました。こういった面白い人がいる会社で働きたいと思ったんです」
こうしてフューチャーアーキテクトに入社した深作さん。「机上の空論を語るだけのコンサルタントにはなりたくない」という思いは、同社のコンサルティングマインドとも重なっていた。
「入社してみて、ポジティブな意味でSIerと近しい業務も多くあることがわかりました。組み立てたロジックを語るだけではなく、どうすればそれが実行できるかまで考える。ビジネスを前に推し進めていく。私にあっていると思いました」
2年ほど社内でシステム構築プロジェクトに携わり、そこから顧客常駐型のプロジェクトへ。そして、みるみるうちに頭角を現していくことに。
「すべての仕事が楽しかったです。やはりもともと営業志望だったこともあり、お客様と話すことが好きなんですよね。さまざまな経営幹部の方、国籍問わず常駐先企業の社員のみなさまと対話し、懐に入っていく。やっぱりこれが天職だったのかと思いました」
そして、たった一人で常駐した、ある企業において「案件を作り出し、大型受注へと結びつける」という活躍を見せるまでになっていった。
「ある大手の家具メーカーがあって、その物流を担うグループ会社においてシステム化の計画をゼロから策定し、実行していくというプロジェクトがありました。結果的に最も重要なシステムをフューチャーアーキテクトで受注することができました」
この成果は社内外で高く評価され、結果を残した深作さん。彼は自身の成果についてこう振り返る。
「私は常駐先の企業において、自身をITの参謀、CIO(Chierf Information Officer)に近い存在だと意識するようにしています。単につくって終わりではない。ITを通じ、いかに事業を成功へ導くかこそがミッション。つまりフューチャーアーキテクトの社員であることもそこまで重要ではないんです。対個人として、その会社の事業に深くコミットする。必要とあらばフューチャーアーキテクト以外でのシステム開発を提案することさえあります」
たとえば、信頼関係を構築した上で、相手にとって耳の痛い話、歯に衣着せず物言いをあえてすることもある。そこにこそ、彼が社内外から評価されるポイントがあるのかもしれない。
顧客のビジネスを成功させる、その一点にのみ集中し、真摯に取り組んでいく。そして実行まで導き、結果で貢献。そんな深作さんのプロの仕事を垣間見ることができた。
最後に伺えたのは、深作さんの仕事観。何が彼を奮い立たせているのか。そこには決して譲れない自身の生き方があった。
「少し格好をつけていうと、私にとって仕事は自分の中にある原石を磨き続けることだといつも思っているんです。自分のスキルであったり、マインドだったり、ここを努力で磨き続けていく。むしろそれは努力でしか磨くことができない。それこそが挑戦だと思っています。磨きおわったあとの宝石みたいなもののイメージはありますが、それは死んでも100%にはなりません。なので、給与やポジションには全く満足を覚えないんです」
努力を怠れば、磨いてきた原石は再び曇ってしまう。だからこそ、努力し続けていく。そんなスタンスを貫いていく。
「妥協すること、満足してしまうことが好きじゃない。たとえば、お腹が一杯になると人って幸せな気持ちになるじゃないですか。その後、私にやってくるものって後悔なんです。満足しているということは成長が止まっているということ。成長が止まってしまう怖さをいつも感じている。だから、ハングリー精神を持ち続けたい。そういう生き方なのかもしれません」
深作さんは「今まで成長を実感したことがない」と語ってくれた。それは彼が常に高みを目指し、現状に満足しないからだ。決して満足することなく、成長を志向する。一流の仕事感がそこにはあった。