10兆円超という資金規模を有し、テクノロジー企業への出資を強める「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」。WeWork、ByteDance、OYOなど、出資先は各産業のゲームチェンジャー。各社の募集求人から、注力領域が見えてきた。
ソフトバンク・ビジョン・ファンド
2016年10月に設立したテクノロジーファンド。10兆円超という資金規模を誇る。これまで、交通、医療、金融、不動産などさまざまな業界の82社に投資してきた(2019年5月時点 *1)。2019年5月には、第二の投資ファンドの設立を発表。資金規模は第一ファンドと同程度とする計画だ。
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世界28カ国105都市、485箇所を超えるコワーキングスペースを展開するWeWork。会員数は40万人を超え、圧倒的な規模のコミュニティを構築(*2)。顧客企業としてもFacebook、Amazon、Microsoftなどビッグネームが名を連ねる。
彼らの独自性が、そのデータドリブンなサービス設計だ。たとえば、会員の利用状況などからデータを蓄積。オフィス設計などのハード面から、会員によるコミュニティの醸成、コミュニケーションの活性化などソフト面にも展開する。
加えて、コワーキングスペース運営で培ったデータ・コミュニティを活用し、オフィスコンサルティング、リテール事業などの新規事業にも進出。テクノロジー企業としての成長が期待されていると言えるだろう。
日本には2018年2月に上陸。1年半足らずで17拠点を開設と、グローバルでも前例のない急拡大を続けている(2019年5月時点)。
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ショートムービープラットフォーム「TikTok」を展開。2018年10月には、時価総額が750億ドルを突破。「世界最大のユニコーン企業」と評されるほどの成長を果たした。
彼らの強みが、高度なデータ処理・AI技術。世界150カ国・10億ダウンロードを誇る「TikTok」においても、強力なパーソナライズ・リコメンド機能を兼ね備える。つまりユーザーが使えば使うほど好みの動画でカスタマイズされていく。こうした新たな視聴体験の提供で、人気を拡大させてきた。
日本には2017年8月に進出。マーケット拡大とともに、組織としても採用強化を進めている。
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世界10カ国、500以上の都市でホテル・住宅事業を展開する。2013年の創業から約5年で時価総額は50億ドル(約5500億円)にまで成長。「インド発ユニコーン企業」として注目を集める。
彼らの最大の特徴が、AIを活用した高い技術力にある。「空室リスクを軽減する検索システム」「スマートフォン1台でホテル運営管理が出来るスマートシステム」など、革新的なサービスを構築。テクノロジーを駆使したホテル経営は「全く新しいホテル業のかたちが誕生した」と孫正義氏から評される。
日本には2019年3月、賃貸サービス「OYO LIFE」を引っさげ、上陸。敷金・礼金・仲介手数料ゼロ、スマホひとつで引っ越しできるというサービスで、不動産業界に衝撃を与えた。
さらに同年4月にはホテル事業開始も発表。日本での今後の展開に目が離せない。
(*1)ソフトバンクグループ決算資料
https://cdn.group.softbank/corp/set/data/irinfo/presentations/results/pdf/2019/softbank_presentation_2019_004.pdf
(*2)2019年はオフィス倍増──WeWork、日本市場で急成長のワケ
https://forbesjapan.com/articles/detail/26546