今、アフリカにおけるビジネスが大きな変化を遂げている。携帯電話やスマートフォンの爆発的な普及で、テクノロジーを活用した新たなサービスが勃興。各国の企業の進出も相次いでいる。関連求人とともに、その動向について見ていこう。
「最後の巨大市場」と呼ばれるアフリカ。その市場のポテンシャルに各国の企業から注目が集まっている。
というのも、アフリカの人口は世界全体のおよそ16%(2015年時点)。さらに2025年には人口が世界全体の4分の1にまで拡大するとの予測もある(*1)。
その構成比も消費意欲旺盛な若者が多くを占めるなど、今後市場は大きな成長を遂げていくと期待されているのだ。
もう一つ、注目が集まる背景が、急速な進展を遂げるデジタル革命とともに生まれるビジネスチャンスだ。
たとえば、アフリカ諸国では携帯電話が急速な普及を続け、南アフリカ、ケニア、ナイジェリアなどの主要国ではすでに普及率が80%を突破(*2)。同時に、携帯電話をプラットフォームに決済システムなどの開発が進められる。これにより、大多数を占める「住所や銀行口座を持たない貧困層」にも、ビジネス対象としてアクセスできるようになった。
同時に、ビジネス環境としても大きな変化を遂げている。具体的な事例として、ケニアを見ていこう。
2007年、同国では「M-PESA(エムペサ)」というモバイル送金サービスが登場。これにより、銀行口座を持たない人が携帯電話のみで出金・送金などが可能となり、社会インフラと言えるほどの広がりを遂げた。事実、今や利用者は国民の半数以上にも及ぶという。
さらに興味深いのは、ここで得られた顧客データなどをもとに、新たなビジネスが生まれているということ。
たとえば、現地のスタートアップ『M-KOPA(エムコパ)社』が、無電化地域などを対象とした「太陽光発電システムのローン販売モデル」を提供。『M-PESA』での支払いシステムにより、毎月定額での料金回収を可能とした。同時に、支払情報は個人の信用データとなり、さらなるビジネスへの活用も期待される。
もうひとつ、“携帯電話番号に仮想の住所を登録する”『M-POST(エムポスト)』というサービスもユニークだ。そもそもケニアでは「1世帯1住所」ではなく、多くの世帯で同じ住所を共有するといった郵便事情がある。同サービスでは、自分宛の郵便物が届くと、携帯電話にメッセージが届く。確実に郵便物を受け取れるようになり、ECなどのサービスも広がり始めているという。
アフリカ諸国は、金融、教育、生活インフラ…さまざまな面で未整備な地域も多い。だからこそ、テクノロジーを用いたソリューションへの期待も高いと言えるだろう。
こうした中、日本においても、アフリカにおけるビジネス強化の動きが高まっている。
たとえば、2019年6月、外務省と経済産業省が「アフリカビジネス協議会」を発足。官民連携プラットフォームとして、日本企業のアフリカにおけるビジネス支援の方針を打ち出した。
またアフリカ各国の動向を見ても、外資企業の誘致に向けた動きが活発だ。実際に、フリーゾーンや工業団地の整備などを行ない、製造業の企業を呼び込んでいる国もある。
2017年にはアフリカへ進出した日本企業数は795社に。およそ10年の内に、300社以上の企業が新たに進出を果たしていることになる(2008年:457社 *3)。
また注目したいのが、アフリカビジネスにおける日本企業の新たな動きについて。
これまで多くの進出企業は、資源・インフラなどの分野でビジネスを展開。とくに近年では、現地でビジネスを行なうスタートアップと提携し、新たなビジネス創出に向けた取り組みが活発となっている。
たとえば2019年7月、ヤマハ発動機が現地スタートアップと提携し、シェアリング事業参入を発表。また、三井物産、住友商事による「M-KOPA社」への出資、SOMPOホールディングスによる国際送金サービス「BitPesa(ビット・ペサ)」との業務提携などの動きもある。
先述した「M-PESA(エムペサ)」をはじめとした決済プラットフォームの登場で、アフリカでは新たなビジネスモデルを展開するスタートアップが次々に誕生。同時に、“未踏の地”とされ、これまで得られなかった膨大なデータも蓄積されている。こうしたビッグデータによる新たなビジネスの可能性に、多くの企業が目を向けていると言えるだろう。
こうした中、アフリカでのビジネスを展開する企業の求人も多く見受けられるようになってきた。求人を簡単に紹介していこう。
丸紅
注力地域の一つとしてアフリカを掲げる。実際に2018年9月には、タンザニアで地域密着型の電気量り売りビジネスを手がける「WASSHA」に出資。続けて2019年5月、アフリカの無電化地域でソーラーホームシステム販売事業を手がけるイギリス企業「Azuri」にも出資を行なった。
募集が行なわれていたのが、アフリカでのビジネス拡大支援を行なうポジション。具体的な業務として記載されていたのが、「新規ビジネスの推進および現地情報収集・分析・発信、現地要人との人脈強化」など。海外駐在での経験、マネジメント経験などが活かせる環境であるようだ。
テラドローン
2016年創業から、すでに29ヶ国・20拠点以上に進出。世界の有力なドローンベンチャーへの投資を進め、各地でドローンビジネスを手がける。
こうした同社では、アフリカにおける拠点長候補の募集が行なわれていた。具体的な業務として、「事業・経営戦略策定/マーケティング 」「パートナー開拓/海外営業 」「市場/顧客分析等」と挙げられていた。
物流インフラにドローンを活用するなど、アフリカではインフラ整備のソリューションとしても注目されているという。先進国と比べ、規制が緩やかな傾向にあるからこそ、ドローンによる新たな事例をつくっていけるおもしろさもあると言えそうだ。
最後に触れておきたいのが、アフリカでビジネスに携わる魅力について。
たとえば、アフリカ諸国では、FinTech、ドローン、ブロックチェーンなど最新のテクノロジーにおける規制が緩やかな傾向もある。新たなサービス・システムを実現しやすい環境にあり、非常におもしろいマーケットだと言えるだろう。
また、社会インフラが未整備の分野も多く、生活における基本的なニーズが先進国に比べて満たされていない傾向にもある。現地の人たちの生活を変え、社会に変革をもたらしていく。こういった喜びを得ることもできるだろう。
同時に、これまでにないモデルで経済発展を遂げるアフリカでは、ビジネスにおける過去の成功体験が通用しないことも少なくない。タフな状況下でいかにビジネスをつくり、成功に導いていくか。こういった経験は自身の市場価値としても非常に高いものになっていくはずだ。
ぜひ、実際の求人をチェックして、まずは「興味あり」を押し、自身の合格可能性を受け取ってみてほしい。
(*1)2024年アフリカで富裕層が急増。人口増によるビジネスが勃興 - 幻冬舎plus
https://www.gentosha.jp/article/11380/
(*2)平成27年版 情報通信白書 - 総務省
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc123120.html
(*3)海外在留邦人数調査統計(平成30年要約版) - 外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000368753.pdf