コロナ禍において、人々の生活様式が大きく移り変わるなか、飲料メーカーが新たな商品開発・マーケティングを仕掛けている。具体的にどういった取り組みを行っているのか。関連求人とともに、その動向について見ていこう。
コロナ禍による外出自粛の影響で、在宅時間が増加。家庭内での飲料体験が増えるなか、好調なジャンルの一つとなっているのが「濃縮飲料」だ。
なかでも話題となったのが、アサヒ飲料『カルピス』。2020年の年間販売実績は、1994年の統計開始以来、過去最高を記録した(*1)。もう一つ、サントリーの濃縮タイプ飲料『ボス カフェベース』でいえば、2020年の年間販売数量が対前年約4割増となったという(*2)。
こうしたなか、家庭内での新たな楽しみ方の提案や商品ラインナップの拡充など、各メーカーによる商品開発・マーケティング強化の動きが見て取れる。
例えば『カルピス』でいえば、『カルピス』ゼリーや『カルピス』かき氷など、アレンジレシピを「カルピスカフェ」として発信。2020年夏には、女優・長澤まさみを起用したTVCM「『カルピス』かき氷はじめました。」編も放映された。
また『ボス カフェベース』では、2021年3月に濃縮紅茶『ボス ティーベース』をリリース。紅茶を新たにラインナップとして加え、家庭内での需要をさらに取り込んでいく計画だ。
もう一つ、各社の注力領域の一つとして注目したいのが、健康志向を捉えた商品だ。無糖飲料や野菜ジュース、特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品などが挙げられる。
例えばキリンビバレッジでは、2021年の事業戦略として「健康」を注力カテゴリの一つとする方針を発表した。具体的には無糖・低糖飲料などの「摂りすぎない健康」カテゴリーや、独自素材「プラズマ乳酸菌」を活用した『iMUSE』ブランドをはじめとする「プラスの健康」カテゴリー強化に取り組んでいくという。
その他、カゴメでいえば、2020年秋冬向けに、コロナ禍における野菜飲料の需要最大化を目的とした大規模なプロモーションを展開した。同時に多彩な新商品も投入している。
「健康」カテゴリは、数年前より需要が高まっていた領域だ。同時にコロナ禍により、消費者の健康意識はさらなる高まりを見せているといっていい。こうしたなか、飲料メーカー各社による新たな商品開発・マーケティング施策も進められていきそうだ。
最後に見ておきたいのが、新たな販売チャネルの開拓について。なかでも強化領域といえるのが、ECだ。
特に各社によるECに特化した商品ラインナップの展開が多く見て取れた。
例えば、アサヒ飲料では『三ツ矢サイダー』や『ウィルキンソン』、『モンスター』などにおいて、複数のテイストを味わえる「飲み比べセット」を展開する。またキリンビバレッジでいえば、20代から40代の女性をターゲットとした健康麦茶『生姜とハーブの温もり麦茶 moogy(ムーギー)』をECのみで販売。情報はすべてWebサイトに集約し、余計な情報を排除した、ECだからこそできるデザインで人気を集めている。
ECという新たな販売チャネルだからこそ実現できる、従来の枠組みにとらわれない商品の開発やマーケティングも今後さらに進められていきそうだ。
人々の生活様式や嗜好性が移り変わるなか、いま飲料メーカーには新しい発想が求められているといえる。例えば異業界出身者にとっても、自身の経験やスキルを発揮し、活躍できるフィールドも広がっているといえるだろう。ぜひ実際の求人をチェックしてみてほしい。
(*1)アサヒ飲料プレスリリース
https://www.asahiinryo.co.jp/company/newsrelease/2021/pick_0215.html
(*2)サントリー食品インターナショナルプレスリリース
https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF1092.html