99.7%ーーこれは日本の貿易において海運業が占める割合だ(重量ベース *1)。今回はこのあらゆる産業のインフラとなる海運業界で進む、DXの取り組みに注目。実際の求人とともにその概要を見ていこう。
2020年より続く未曾有のパンデミックは、海運業界のビジネス環境にも大きな変化をもたらした。
その一つが、巣ごもり需要の高まりなどを背景とした、輸送のためのコンテナ不足だ。同時に、船の運賃は高騰し、企業への負担は増加。輸送の遅延によって、品質が落ちてしまった農作物を廃棄せざるを得ないという状況もあるという。コンテナ不足が長引けば、輸入品の価格高騰を招くなど、あらゆる産業の企業業績にも多大なる影響が出るという見方もある。
また、コロナ禍による各国の入港制限により、船員交代が困難に。船員の乗船長期化は、疲労・ストレス増加の要因となり、ミスによる海難事故のリスクも高まる。コロナ禍においては、長期間にわたって乗船する船員を帰国させるために、航路変更や出向時間の調整、当初予定になかった港への寄港などを行っているという。ただ、予定外の寄港は航海日数を増加させ、消費燃料がかさむという問題も発生している。
こうした深刻な課題解決に向け、各社が取り組みを進めるのが、デジタルトランスフォーメーションだ。簡単にどういった取り組みが行われているのか紹介していこう。
例えば、業界大手・日本郵船ではいまデジタルデータを活用した運行に取り組んでいる。
燃料費の削減を目的に、船舶運航データを収集し、船陸間で共有するシステムを構築。陸上の運航担当者と船長に速度やエンジンの回転数、ルートを提案することで、2012年度から14年度までに約600億円の燃料費削減を実現している(*2)。
また、商船三井でも海運効率化のためのプラットフォームの活用が進められる。商船三井が出資する電動タンカー開発のe5ラボが、2021年3月、子会社「Marindows」を設立(*3)。「Marindows」は、海運DXのプラットフォームを通し、高速衛星通信やAIを活用した商船の運航効率化、乗務員の業務負荷や環境負荷の低減に貢献していくという。
2022年12月現在、海運企業数社の募集が見受けられた。ぜひ実際の求人をチェックしてみてほしい。
参考:
(*1)暮らしを支える日本の海運|日本船主協会https://www.jsanet.or.jp/data/movie2014/index.html
(*2)データドリブンなアプローチで事業課題を解決|日経XTECH
https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NXT/19/intel0409/vol18/
(*3)商船三井系、海運効率化の共通基盤 衛星通信を活用|日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ0327B0T00C21A3000000/