INTERVIEW
JICA|独立行政法人国際協力機構

第二新卒、26歳で「JICA」へ。学生時代から持ちつづけた「国際協力への思い」を仕事に。

掲載日:2021/08/02更新日:2021/11/17

第二新卒、26歳(当時)で独立行政法人国際協力機構「JICA」(以下:JICA)に転職した井上由貴さん。東南アジア第五課(東京)での勤務を経て、現在、フィリピン事務所に駐在している。どういった思いで「JICA」への転職を決めたのか。そして、担ってきたミッションとは。彼女の転職のストーリーに迫った。

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26歳で決めた「JICA」への転職

開発途上国への支援を通じ、その国の未来を共に創っていく――。

そのために総合的な政府開発援助(ODA)を実施していくのが「JICA」だ。

今回お話を伺えたのは、フィリピン事務所に駐在し、道路・橋梁建設等のための円借款*業務を担当する井上由貴さん。

*円借款…有償資金協力。開発途上国に対して低利で長期の緩やかな条件で開発資金を貸し付けることにより、開発途上国の発展への取組みを支援する。

井上さんは、もともと地方銀行に新卒で入行。開発途上国支援とは異なる業界で、社会人としてのキャリアを築いてきた。

その後、26歳で「JICA」に転職した彼女だが、学生時代から「ある思い」を持ち続けていた。

「幼い頃、絵本やテレビ等を通じ、地雷や貧困といった日本では身近に感じることのない問題を知り、衝撃を受けました。また高校時代、英語の教科書で難民・避難民支援をされていた緒方貞子さんのことを知り、感銘を受けて。“物質的に恵まれた日本の外に、困難を抱えた人がいる。こうした人たちのために何かできることはないか”と。ただ、何をしたらいいか、何ができるのか、当時は考えつきませんでした。」

こうして海外に目を向けるようになった井上さん。大学時代には、海外へのインターンシップを支援するサークル活動に取り組んだ。

「大学のサークルでは、主に海外学生の海外インターンを支援する活動をしていました。“少しでも世の中を良くしたい”という思いを持ち同じ活動を行う各国の学生にもたくさん出会うことができ、刺激を受けました。私もいつか海外で活躍できるようになりたい、またこうした人たちと一緒に働けたらと考えるようになりました。」

そして、社会人4年目。たまたま目にしたのが「JICA」の中途採用情報だった。

「日本の強み・技術をつかって海外に何か支援ができないか、仕事として携わっていきたい。そういった気持ちはずっとありました。知人からJICAでの仕事の様子も聞いていたため、同じように海外のJICA事業の現場で働きたい。そう考え、JICAへの転職を決めました。」

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銀行勤務を経て、2016年にJICAに入構した井上さん。(画像提供:JICA)

東南アジア・フィリピンの「防災」のために。

転職後、井上さんは、東南アジア第五課(東京)で3年半、フィリピン事務所(現地駐在)で1年半、勤務してきた。入構後すぐに海外出張の機会もあったという。具体的には、どういった仕事を担当してきたのだろう。

「主に東南アジア地域、フィリピンへの有償資金協力(円借款)に関連する業務を担当してきました。最初に担当した円借款プロジェクトは、防災施設の建設案件。たとえば、雨季などに氾濫の危険性がある川沿いに堤防や水門をつくる、というプロジェクトも担当しました。具体的には、JICA内の関係部署や関係省庁はもちろん、フィリピン政府の担当者、土木や建設の専門知識を持つコンサルタント、建設会社、さまざまな方々とやり取りし、契約締結をまとめていく、というものです。」

20代から、フィリピンの公共事業に関わるプロジェクトに携わってきた井上さん。

堤防建設に必要な費用・人員・工期、周辺の家・建物や環境への影響を確認し、フィリピン政府がどのような計画・対処法を持ち建設を行うのか、さまざまな調査結果の資料を確認したり、ヒアリングを行なったりしながら、プロジェクトの実現可能性を審査した。当然、フィリピン政府との連携も多い。

「堤防もそうですが、何かをつくる時、資金協力のためには、必ず調査・審査が必要になります。実施機関の実施能力があるか、住民の協力が得られるか、日本の技術がどのように活用されるのか等、フィリピン政府の担当者と一緒に計画を考えたり、資金の支払い計画を確認したり、多岐にわたる項目を確認する業務です。」

いずれも、数年かがりのプロジェクト。そこには大きな責任も伴う。

「大規模なプロジェクトなので、数年がかり。立ち上げに関われても同じ部署にいる間に完成を見届けられないことがほとんどです。同時に、決して一人で進めるわけではないですし、ステークホルダーとの調整も多い。住民移転や環境への影響を担当する部署や、技術面を担当する部署から助言を受けながら、プロジェクト全体の審査を行うことになるため、専門性の高い話も多くあります。それら一つひとつ正しく把握、理解しながら、慎重にリスクを見極め、進めていく。ここはとても難しく時間がかかりますが、審査が終わり、プロジェクトが実際に開始する際には大きな達成感がありました。」

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井上さんがフィリピン事務所で担当している円借款事業のひとつ、幹線道路バイパス建設事業で設置された道路橋。人口増加が著しいフィリピンの首都圏では、交通渋滞が経済社会活動の足かせとなっている。2004年に開始し、貸付額約200億円、現在3フェーズ目の工事が進行中という大掛かりなプロジェクトの担当を任されている。(画像提供:JICA)

マニュアルがない。だからこそ感じられる「やりがい」

これまで、JICAでしか得られない経験を積んできた井上さん。「やりがいを感じる瞬間」についても伺うことができた。

「フィリピンはコロナ禍で長期にわたり経済活動や移動制限などを行なっていますが、その間にも積極的にインフラ建設を進めるなど、国の発展のために熱意を持って働くフィリピン政府の人々から、たくさんの刺激を受けながら働いています。また、調査の段階で、周辺の住民の皆さまにインタビューやプロジェクトの説明をすることもあります。本当に必要とされているか、未来を考えた時も生活にプラスか。過去の紛争影響地域が事業対象となることも。私が担当した案件で、自分達の地域に道路ができるのが嬉しくて「ここに道路ができるまで死ねない」と涙を流しながら説明会でお話してくれた住民の方もいました。このように自身の仕事が、多くの人々の生活につながっていると実感できています。」

解決のアプローチ、手段が多様であることも補足をしてくれた。そこに「マニュアル」や「絶対的な正解」はない。

「JICAが提供できる協力は、かなり幅が広く、さまざまな手段があります。さらに国によって法律、政治、前提条件も異なるため、マニュアル通りには解決できない問題も多い。そういったなか、ルールを現実の問題にどのように適用し、どのように折衷を図るのか。まだまだ知識や経験が足りず力不足を感じることもありますが、担当部署へ助言を仰いだり、他国の事例を探したりしながら解決策を模索していきます。また、高い視点で国づくりを見ている方々と直接仕事ができることも、大きな経験になっています」

最後に伺えたのは、井上さん自身の仕事観について。そして、これから実現していきたいこととは。

「自分の仕事が少しでも社会を良くすることにつながれば、と思っています。当然、私一人ではできることは限られています。プロジェクト実施中にはJICAをはじめ、フィリピン政府関係者、専門家の方々、建設業者さん、住民の皆さま、それぞれの利害が相反する問題が起きることもあります。問題を予見し防止策をとるとともに、起きてしまう問題には一緒に解決策を探す。これからも、プロジェクトの実施者、設計・建築の担い手、受益者に対し、しっかりと向き合っていければと思います」

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