INTERVIEW
株式会社ピリカ|サービス事業部 部長 村越隆之

国連にも導入。地球のごみ問題に“データ”で挑む、環境スタートアップ「ピリカ」の挑戦

掲載日:2022/05/06更新日:2022/05/06
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世界111カ国、2億個以上のごみ回収を支援。マイクロプラスチックの海洋調査サービスが国連で導入されるなど、環境問題に科学技術の力で挑むピリカ。第1回の「環境スタートアップ大臣賞」に選出されたスタートアップだ。彼らはいかに「ごみ問題」の解決を事業にし、成長させていこうとしているのか。その志、ビジョンについてサービス事業部 部長の村越隆之さんに伺った。

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環境問題に科学技術の力で挑んでいく

人類が生み出した最も大きな課題、環境問題を科学技術の力で解決するーー。

この志のもと、2011年に京都大学の研究室から生まれた環境スタートアップがピリカだ。

・ごみ拾い促進プラットフォーム「ピリカ」
・ごみ分布調査サービス「タカノメ」
・マイクロプラスチック調査サービス「アルバトロス」

これらサービス提供を通じ、地球規模での「ごみ問題」に挑む。とくに大きな問題となっているのが、海洋プラスチック問題だ。一度、海へと流れ出たプラスチック片は漂い続ける。2050年には魚の数よりも、ごみの量が多くなるとも言われている(*)

「海洋ごみの多くが街から流出していると言われているのですが、どういった製品が、どのくらいの量、どういった流出経路で流れ出ているのか。わかっていないことが大きな問題だと捉えています。そこで調査、計測するアプローチと、実際に解決に向けてごみ拾いなどアクションの支援を行なっています。そして地球上のごみが減っていく仕組みにしていく」

こう語ってくれたのがピリカ サービス事業部 部長の村越隆之さん(35)だ。Google、Datorama Japan(現セールスフォース・ジャパン)を経て、2021年6月にピリカに加わった。

そもそもごみ拾いSNS、ポイ捨て調査、マイクロプラスチック調査等は、どのような事業なのか。その成長の可能性、事業立ち上げのやりがいについて伺った。

(*)日本財団 Webサイト「海洋ごみ対策と資源循環を目的とした河川流域調査の報告会」https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2020/20200221-40860.html

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「ごみ拾い」を、持続的な事業に

ごみ拾いSNSアプリ「ピリカ」運営からスタートし、その活動を広げるピリカ社。今まさに事業拡大フェーズを迎える。一見すると「ユーザーがごみを拾って、それを投稿する」というシンプルSNS。ビジネスに結びつかない印象もあるが、一体どのような事業モデルとなっているのだろう。

「社名と同じアプリ「ピリカ」で展開しているのは、いわゆるプラットフォームビジネスです。toCでいえば、ユーザーの皆さんが「ごみ拾い」を記録したり、つながったり、コミュニケーションができます。犬のお散歩中、ランニング中などに利用いただくことも多いですね。一方でtoBでいうと、自治体や企業・団体等がお客様になります。たとえば、地域住民によるごみ拾い・清掃活動の促進をしたり、その効果・データを見える化したWebページなどを月額課金でご提供させていただくモデルとなっています」

こう語ってくれた村越さん。自治体と企業・団体等、それぞれどういったニーズで「ピリカ」を活用するのだろう。

「多くの自治体では地域活動の一環として、ごみ拾いや清掃活動を行なっていますよね。じつは、その効果がデータで見えないことが課題となっていました。たとえば、議会などから「ごみ拾いのイベントは、どれだけの効果があったのか」と聞かれても、説明できないケースがほとんど。それが「ピリカ」を使えば、何人が参加し、どれだけの量を、どこで回収したか。可視化でき、さらに毎年データが溜められます。また、「ピリカ」ユーザーさんは比較的若い人が多いんですよね。なので、自治体主催のごみ拾いイベントに若い人を呼び込み、取り組みの活性化に期待いただき、導入いただけるケースも増えてきました」

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また、コロナ禍によって問い合わせも増えたと村越さんは語る。

「コロナ禍になって、集団でのごみ拾いや清掃活動がやりづらい時代になりました。その点「ピリカ」はそれぞれでごみ拾いをしてもらい、オンラインで交流・集約もできます。誰かに褒めてほしいわけではないですが、誰が、どう貢献してくれたか見えづらい。拾われたごみも残らないから当然ですね。そういった個人にもスポットライトを当て、知ることができる。ここも自治体の皆さまに導入いただくきっかけのひとつになっています」

さらに企業・団体等でも利活用が進んでいる。

「たとえば、JT(日本たばこ産業株式会社)さんや、日本コカ·コーラさんにも、社会課題と向きあうプロジェクト等の一環で導入いただいています。自社製品がごみとなってしまう、そういった課題に対し、協力して取り組ませていただいています」

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ごみ拾いSNS「ピリカ」によってデータを見える化したページ例。東京都では渋谷区や港区でも導入されている。投稿データの月次レポート、一覧、結果の見える化ページなどをピリカにて提供している。累計ランキングを載せるなど、がんばっている住民にスポットライトが当たるような工夫もできる。自治体によっては、上位者に景品などを配布するイベントなども開催しているという。「ピリカ」ユーザー側の利用シーンとしては、ランニングや犬の散歩ついでに投稿されるケースも多い。位置情報によって意外と身近でも同じようにごみ拾い・清掃活動してる人がいると知ることができる。「いいね」の代わりに「ありがとう」を送り合える。初回のごみ拾いに対しでも投稿後まもなく他のピリカユーザーからの「ありがとう」が送られてくるなど、熱量の高いコミュニティが特徴。地元企業の社員たちによる清掃活動なども知ることができるなど、企業イメージの向上につながることもある。

国連にも導入。ピリカが手掛ける調査・計測サービス

ごみ拾いSNS「ピリカ」は、ごみを拾う行動にアプローチしていくもの。そして、派生して生まれた調査サービスへの引き合いも増えているという。

「そもそも、どういったごみが、どこからくるのか。どの場所が、どれくらい汚れているのか。調べないことには始まりません。そこで「陸」におけるポイ捨てごみ分布調査を、画像解析を駆使した「タカノメ」というサービスで提供しています。たとえば、タバコの吸い殻ごみが多いスポットなどを調査し、新しい喫煙所設置のための参考データとして活用も進んでいます。また、「河川・海」におけるごみ、とくにマイクロプラスチックの調査は、独自開発したマシン「アルバトロスセブン」にて提供しています。「アルバトロス」に関しては国連でも採用されており、世界最大級のマイクロプラスチック調査網に貢献しています」

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マイクロプラスチックを調査する様子。近年では国の制度、法令が変わりつつあり、都道府県としても調査を積極的に行なうケースが増えてきているという。

環境問題への取り組みを「コスト」ではなく「投資」に

続いて伺えたのが、現状の課題とビジョンについて。とくにtoBにおいて、企業・団体の環境問題に対する取り組み、意識を大きくシフトさせていきたいと村越さんは語る。

「日本全国にはさまざまな業種、産業の会社があります。ただ、まだまだ環境問題の取り組みを活発に行なっているのはごく一部。たとえば、身近にできるオフィスのまわりの清掃活動をやっていたとしても「規模を拡大したり、発信を強化したりするほどではない」といった会社がほとんどではないでしょうか。そもそも、こういった部分に予算がつかない。この出発点、マインドセットを変えていきたいと考えています」

そこで鍵を握るのが、経営層へのアプローチだ。

「こういった環境問題への取り組みは、ある程度の予算を投じ、経営層が戦略的にやっていくことが欠かせないと考えています。そこにお金を投じてインパクトが出るならば、最大化させるためにさらに予算もつきますよね。ですので、「ピリカ」「タカノメ」「アルバトロス」それぞれマーケティングやセールスを強化していければと考えています。スタイルとしては、いわゆるBtoBとほとんど同じ。一部、官公庁を相手に入札やプロジェクト設計なども行ないますが、BtoBの経験がある方であればすぐに慣れていただけるかと思います」

近年、「環境」「社会」「ガバナンス」を考慮したESG投資なども注目されるようになった。ここもピリカにとっては追い風だ。「ヨーロッパを中心に「環境問題に対する取り組みにお金をかけることは、コストではなくて投資」という発想で活動している企業も多く出ていますよね。また、学生を中心に、どれだけ環境にやさしい企業か、企業選びの軸になっているとも聞きます。実際、ここ数年、インターン学生なども募集していますが、「スキルや経験を得たい」よりも「環境問題に取り組みたい」という前提でピリカを見つけて来てくれるケースも非常に多くなったと感じています」

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村越さん(左)と代表である小嶌不二夫さん(右)。同じ京都大学大学院に在籍していた二人。もともと研究者仲間の紹介で知り合い、互いにエネルギー問題について研究するなど共通点も多く、意気投合。「社会人になって働き始めてしばらくしてから「会社をはじめた」と連絡をもらいました。はじめは働きながらプロボノ的にお手伝いをしており、2021年5月に正式に加わりました」と村越さん。

今こそ、自分自身で「ごみ問題」を解決したい

もともとGoogle、そしてDatorama Japan(現セールスフォース・ジャパン)といったテクノロジー企業でキャリアを積んできた村越さん。職種としてもデータ分析、セールスエンジニア、ソリューションコンサルタントと第一線で活躍してきた。

「じつは、代表の小嶌とは学生時代に知り合っていて。Googleで働いていた時からプロボノ的にピリカのデータ分析だったり、営業の組織構築だったり、その場で必要なお手伝いはしていたんです。事業のビジョンが素晴らしくて、共感もしていた。環境問題の解決を手伝いたい思いはずっとあって。ただ、正直、当時は自分のリソースを100%かけるほどに自分事にできていませんでした。テクノロジー業界もすごくエキサイティングな仕事で大きなやりがいもありました」

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そんな彼の気持ちを大きく変えたのが、ライフステージの変化だった。

「きっかけとなったのは、三年前に子どもが生まれたことですね。今、二人目もいるのですが、休日子どもたちと一緒に遊んでると、地域のごみがすごく目につくようになって。子どもと一緒だと、歩くのもゆっくりだし、目線も自然と下にいくんですよね。子どもって無邪気にごみを拾っちゃう。なかには危険なもの、健康を害するものも落ちている。「ああ、街ってこんなに汚かったのか」としみじみと思うようになりました。心から「きれいにしたい」「自分でちゃんと解決しなきゃ」「今こそ自分でやる時かな」と。ここが一番のきっかけでした」

そして最後に伺えたのが彼の仕事観だ。村越さんにとっての仕事とは一体どのようなものだろう。

「先ほど話したとおり、私はライフステージの変化を通じて、自分の仕事観が、個人の能力を伸ばしていくキャリアアップ主軸の考えから、仕事を通じて社会に貢献していきたい。そういった考えに変わっていきました。たとえば、私は仕事の中で営業戦略、製品サービス開発に携わることがありますが、その時も、単純にいくら儲けられるのか、というよりも、自分達の顧客の課題解決を通じ、環境問題の解決につながっているのか(そうでなければやらない)、という視点に変わっていった。それをいつでも忘れないようにしています。これは私だけではなくて、ピリカスタッフ、みんなに共有している考え方。手前味噌ですが、とても素敵な組織だと思っていますし、そういった仲間と働けることも、仕事の喜びになっていると思います」

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