INTERVIEW
Space BD|事業開発部 藤村 将成

宇宙の商業化を目指す。宇宙ビジネスの総合商社、Space BDが描く未来

掲載日:2022/07/01更新日:2023/03/09
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宇宙スタートアップのSpace BDが躍進を遂げる。2018年にJAXAから民間事業者(*)として選定を受けて以来、設立わずか5年で約50基の人工衛星打上げを受注。それを核として「宇宙を活用したい」という、あらゆる声に応えていく。いわば宇宙ビジネスの総合商社であり、事業開発のプロフェッショナル集団だ。彼らが描く未来、そして同社の第二創業メンバーとして働く魅力とは。事業開発として活躍する藤村将成さん(32)に伺った。

(*)国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」を利用した超小型衛星放出事業(J-SSOD)

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宇宙ビジネスの場を拡げる「宇宙商社」

「宇宙ビジネスは大きな可能性を秘めた領域です。2040年には100兆円市場に成長するとも言われている。ただ、どう利活用していけばいいかというと、実はまだ誰かが正解を持っているわけではなくて。だから、私達が新しい事業を開発していきたい。自身のエンジニアバックグラウンドを活かして、顧客と一体となって事業を生み出して実行し、宇宙業界をより発展させていきたい。ここに勝算があると考えています。」

Space BDの事業開発として活躍する藤村将成さんはこう語る。

彼らが目指すのは、誰でも「早く、安く、簡単に」宇宙を利活用できる未来。

「衛星をもっと気軽に打ち上げたい」
「宇宙を活用して創薬を研究開発したい」
「衛星データを活用して災害リスクを特定したい」
「宇宙をブランディングやマーケティング活動に活かしたい」

こういった、研究機関・教育機関・民間企業などの声に応え、あらゆる宇宙産業の総合サービスを展開する「Space BD」。「BD」はビジネスディベロップメント(事業開発)の略であり、自社を「宇宙商社」と表現する。

「今までの宇宙プロジェクトは、国の主導が大半でした。ただ、2018年以降で民間解放の流れも生まれている。だから今こそ、夢の領域だった宇宙をより身近な物にしていきたい。まずは既存の衛星打上げサービスを技術提供も含め、打上げのハードルを下げていく。新規参入が増えて知恵とお金がこの領域に集まれば、様々なビジネスが花開くはず。だから今はどんな小さなものでも、飛石でもいい。あらゆる事業に携わり、ビジネスの芽を創り上げていきたい」

そのビジョン実現を目指す上で、現在どのような事業を展開しているのか。そして同社の一員として働くやりがい、得られるキャリアとは。藤村さんに伺った――。

事業開発部 │ 藤村 将成(32)
技術経営修士、熱流体分野にて博士号を取得。大手IT企業にて熱流体シミュレーションや機械学習の技術を開発し、国の研究開発プロジェクトや自動車メーカーのモデルベース開発に携わる。その後、重電メーカーの研究所にて発電プラントやパワエレ製品の開発プロセス変革などを推進。2022年1月Space BD株式会社に参画。技術が関わる新規事業開発や営業を担当する。岐阜県、佐賀県との協業や、国の研究所・企業とともに国際宇宙ステーション(ISS)の船外実験サービスプロジェクトを牽引する。

JAXAの民間パートナーとして「宇宙利活用」の裾野を広げていく

あらゆる宇宙産業の総合サービスを提供していく――その上で基幹となるのが「人工衛星」の打上げだ。これまでに約50基の衛星打上げプロジェクトを受注。これは国内トップの数であり、グローバルで見ても存在感を放つ。

「私達は設立の翌年、2018年にJAXA初の“超小型衛星を宇宙空間に放出できる民間パートナー”として選定されました。ロケットに人工衛星を乗せて国際宇宙ステーション(ISS)へ持っていき、宇宙空間に衛星を放出できる。実はJAXAでは民間企業に委託したい案件を公募していて。私達は多くの宇宙利用に関わる公募を獲得し、営業拡大を任せていただいています」

ただ、人工衛星やロケットを打上げられるだけではなく、何を打上げるのか。なぜ打上げるのか。ここが鍵を握っており、Space BDではその橋渡しを行う。

「人工衛星を打ち上げたいお客様はこれまで、打上げ前の安全審査等の膨大な申請業務や部品調達、試験手続き等を各自で実施しなければいけない状態でした。そこで、技術力を強みとする私たちSpace BDが介在し、ユーザーインテグレーション業務を一手に引き受けていく。衛星の仕様・価格・軌道・打上げ頻度・希望打上げ時期などの様々なご要望に対応し、 最適な打上げ機の選定から放出までの技術調整を網羅的にサポートしています。」

Space BDの事業内容
ローンチサービス(衛星打上げサービス)を基幹事業に、国際宇宙ステーション(ISS)実験サービスや宇宙機器の調達・販売サービス、宇宙をテーマとした地域産業振興や、教育・人材育成事業、技術力をベースにした技術プロジェクトマネジメントなど、増加する多様な需要に対応するとともに、宇宙の新たな利活用を創出する事業を展開する。

宇宙インフラビジネス
最適な打上げ機の選定から放出までの技術調整を網羅的にサポートするローンチサービス事業や、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」を利用し、宇宙特有の微小重力環境を活用した実験開発を展開する宇宙利活用サービス。また、宇宙関連機器の開発・製造をする際の部品やコンポーネントの製品紹介から買付交渉、ロジスティクス支援を行う。

宇宙利用ビジネス
宇宙開発に関わる技術プロジェクトマネジメントや、宇宙を活用したいという顧客のあらゆるニーズに応えて事業化支援を行う。具体的には、宇宙設備の導入や市場調査、 海外展開支援等、宇宙産業における幅広い非定型案件に関与し、プロジェクトの立上げから運用までを支援する一気通貫型サービスや、これまで宇宙を活用してこなかった企業自治体向けの宇宙利用促進の提案~実行まで、新薬開発プロセスのイノベーションサポートを行う。

宇宙×教育
学校や教育機関等への人工衛星開発・打上・運用プロセスを活用した横断的・実践の学びを提供するプログラムの提供や、大学向けの「宇宙利用」をテーマとした文理融合の学びと実践の場の提供を通じ、これからの社会で活躍する人材を輩出 するためのカリキュラムの共同開発を行う。

また同社は、JAXAとのパートナーシップだけではなくSpaceX等の海外打上げ手段も保有するため、多岐にわたる衛星等の打上げニーズに応えられるのも強みとなる。

「お客様のニーズとしては「宇宙特有の微小重力環境を活用した解析をしたい」「ブランディングやマーケティング活動に活かしたい」「衛星データをもとに災害リスクを測定したい」など本当に多様です。それらを把握するところから、どうすれば実現できるのか形にしていきます」

さらに、藤村さんは現在進んでいるユニークなプロジェクトについても語ってくれた。

「たとえば、『スペースデリバリープロジェクト - RETURN to EARTH - 』という取り組みが進んでおり、第二弾がスタートしました。研究開発素材、企業ロゴ、プロモーションアイテムなどをロケットに乗せて打上げるというもの。一定期間宇宙空間に曝露した後、地上に戻す。そうすることで実験になったり、ブランディングになったり。2022年度では、国内外の研究機関・教育機関・民間企業13組の対象品の打上げが決定し、期待をいただいています」

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「スペースデリバリープロジェクト- RETURN to EARTH -」で、実際に宇宙に打上げられる搭載品。研究開発素材、企業ロゴ、プロモーションアイテムなど。

「また、衛星データは災害対策や農業支援、森林評価などの課題を解決する鍵になりえます。例えば、洪水が発生した際、人工衛星でその土地を撮影すれば“水がどこまで広がっているのか、被害はどれくらいか”把握できる。患部がわかれば、どこの住民に物資を供給するべきか。どう復旧作業を進めるのかもすぐ検討できます。実際に、佐賀県との防災対策DXプロジェクトでは災害対策の推進計画を進めています」

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人工衛星データを活用した防災DXイメージ

専門性・技術バックグラウンド × コンサルティング

顧客が求めるニーズは多様。それらに即した形で人工衛星を打上げていく。その時にハードルとなるのが、人工衛星における技術要件の定義、そして実行の部分だ。

「人工衛星と一言で言っても、目的や観測したいデータによって一台一台、仕様や形が変わります。例えば、カメラ1つとっても、撮影するものや電力消費量にあわせて変更が必要です。衛星は太陽光で発電しており、太陽光パネルの取付角度をどうするか。どう姿勢を制御・コントロールするか。そしてそれは宇宙空間で耐えられるのか。ワンストップで技術調整から打上げ、運用支援まで支援していく。専門性や、エンジニアリングのバックグランドを持つメンバーが事業開発に携わる。ここは私たちの特徴だと思います」

こういったプロジェクトと向き合う中で、藤村さんはどこに面白さや魅力を感じているのだろうか。

「衛星を開発するとなると2年、3年と長期間にわたります。予算としても数千万円から数億円規模。プロジェクトの濃さが違いますね。また、商社という立ち位置から、企業、研究所、地方自治体など業界の垣根を超えたお客様の事業に関われる。特に事業開発は、まだ言語化できていない顧客のニーズを顕在化できてこそ。普段設計の部署やオフィスに常駐している方もいるので、何度も足を運んで人間関係を作ります。そして、その人の頭の中にあるアイデアや普段なかなか聞けない情報を引き出していく。仮説で動く中で、自分たちの事業がピッタリはまりそうだとわかってくると嬉しいです」

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「50名弱いる社員の中で、1/3が私のようなエンジニアのバックグラウンドを持っています。技術力に立脚した事業開発や、ユーザーインテグレーション設計ができるのはSpace BDの強みです。事業開発部にはコンサル出身、商社出身など文系のメンバーも在籍。個々が自身のバックグラウンド・経験を活かしながら、顧客と二人三脚で事業開発を進めています」

「宇宙に夢と商いを」日本発の一大産業を作りたい

そして取材終盤、藤村さんからは「今Space BDの一員になる魅力」について語られた。

「Space BDでは日々、日本初・世界初の事業が生まれています。つまり今なら、宇宙の第一人者になれる可能性があるということ。同じように考えるメンバーは多く、モチベーションになっている部分です」

藤村さん自身の転職理由にもつながる部分だ。

「もともと、第一に事業開発がしたい。自分で事業化、世界を代表する事業を創れる人間になりたいと思っていました。日本初の研究成果も時々出るけれど、そこから事業化に結びつくのは一握り。自分の成果をビジネスにつなげて、世の中を少しでも良くできたら本望です。国としても新産業を作るという課題がある。ロボット産業など様々な領域も検討して、一番ワクワクするのが宇宙でした」

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「誰も正解を持っていないし、課題も多い。先が見えない中を走っているのでメンバーとはよく「頂上が見えない山に向かって走っている感じだね」と話しています。頂上は見えないけど、楽しく向かって、走っている自分がいる。目の前に面白そうなものがあるから、がむしゃらにみんなで頑張っている。もしかしたらこの先、この国を「無限の可能性がある宇宙領域で活躍する国」にできるかもしれない。その先には良い世界が待ってると、心からそう信じています」

お疲れ様でした!
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