INTERVIEW
シナモンAI

AIのビジネス実装を、日本再興の起爆剤に。シナモンAIが掲げる、野心的な変革ビジョン|堀田創

掲載日:2022/07/15更新日:2022/11/07
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2012年にシンガポールで創業したcinnamon AI(シナモンAI)。AIをビジネス現場に活用し、それを企業の“持続的な競争優位性”につなげていく、AI活用の戦略デザインに特化したベンチャーとして躍進を続ける。従業員数200名規模を超え、さらなる拡大へ。彼らが見据える未来とは――。シナモンAI 執行役員フューチャリスト、AI活用の決定版『ダブルハーベスト』主著者である堀田創さんにお話を伺った。

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2030年、AIは世界の主要産業へ

AIのビジネス実装に特化しているシナモンAIですが、企業のニーズや市場動向から伺ってもよろしいでしょうか。

多くの企業、ビジネスの現場でAIの活用は求められているのですが、少し大きな視点からお伝えすると、AIは市場拡大が確実視されている領域でもあります。大切なのは、どのくらいの規模へと拡大していくのか。破壊的イノベーションへの投資に特化したアメリカのファンド「ARK Invest」*によれば、現在、AIの市場は世界10.5兆ドルあるとされ、2030年には108兆ドル(約1京4,554兆円 1ドル=134円計算 ※2022年6月時点)に拡大すると予測しています。

*アーク・インベストメント・マネジメント・エルエルシー…"破壊的イノベーション"への投資に特化した運用会社。フロリダを本拠地とし、アナリストの多くがテクノロジー企業などの出身者で構成される。

現在、ホテルや医療など「イノベーション以外の既存領域」における合計が94兆ドルなので、それ以上の規模へ。ちなみに最近注目されているブロックチェーンでさえ、2030年の予測は49兆ドルと、AI領域の半分に過ぎません。いかにAIが成長産業であり、今後、主要となっていくかがわかるかと思います。

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引用:日興アセットマネジメント ARK Invest 紹介ページ「Big Ideas 2022」より
(https://www.nikkoam.com/files/sp/ark/docs/bigideas2022/all_BigIdeas2022_J.pdf)

このような市場において日本は何をすべきか。「そろそろトランスフォーメーションをやらなきゃ」というレベルの話ではなく、もうここをやるしかない。どう考えても、AIをやり切らなければならない局面にきています。

執行役員 Futurist 堀田 創 / Dr. Hajime Hotta
シリアル・アントレプレナー。25歳で慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程修了、工学博士。レコメンデーションエンジン、ニューラルネットワーク等の研究に従事。2005年、2006年にはIPA未踏ソフトウェア創造事業に2度採択された。2005年より株式会社シリウステクノロジーズに参画し、位置連動型広告配信システムAdLocalの開発を担当。在学中にネイキッドテクノロジーを創業、その後同社をmixiに売却。日本において3回企業売却を経験。その後、AI-OCR・音声認識・自然言語処理(NLP)など、人工知能のビジネスソリューションを提供するAIベンチャー「シナモンAI」を共同創業、執行役員フューチャリストを務める。著書に『ダブルハーベスト──勝ち続ける仕組みをつくるAI時代の戦略デザイン』『チームが自然に生まれ変わる──「らしさ」を極めるリーダーシップ』がある。

AI活用した戦略デザインパートナー「シナモンAI」の強み。

AIの市場が拡大していくなか、シナモンAIとして提供する価値、企業が求めることについて伺わせてください。

大枠で言えば、AIのビジネス実装を促進するパートナー的な位置づけと言えます。AIをどう戦略的に活用するか。技術的にどう実現するか。この2つをバランスよく同時に行えるのが強みです。日本だけに限らないのですが、DXが必要な企業において、この2つを揃えられていないケースがほとんど。そこにシナモンAIの介在価値があります。

とくに製造業界、保険業界、金融業界での実績が多いのも特徴です。こういった業種はいずれも深い業務知識が必要となり、その深さに合わせた戦略化が求められます。

たとえば、製造業において、過去にトラブルによってリコールが発生したとして、二度と発生しないよう、試行錯誤のなかで高度なオペレーション、点検フローが組まれていく。まさに知見とノウハウの塊なわけです。それによって品質が担保され、高い顧客満足を獲得していく。「業務知識の蓄積」がまさに戦略になっていく。その「強みの源泉」をさらに強化し、統合する形のDXを行う。ここがシナモンAIのビジネスモデルの根幹にあります。

製造業をはじめ、日本企業のビジネスモデルの変革を促し、世界で戦おうと考えたら、その「強みの源泉」となる業務知識・知見にレバレッジをかけ、DXしていく必要があります。これが日本産業を世界の市場において支えることにつながると考えています。

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「特に保険、金融、医療などは顧客や患者のフロントに立つ人に、多くの業務知識が求められる業種」と解説してくれた堀田さん。「保険、金融、医療などはそもそも従事者に資格が必要であったり、相手に応じた適切な処置や提案、やりとりが求められますよね。それらの「質」の違いが他との差、選ばれる理由になるわけです。簡単に見える化したり、切り出したりが難しい領域。むしろ切り出せたら提供サービスのクオリティが均質化し、強みになりません。そういった側面もあり、多くの企業では、本質的に必要となるAIを使ったDXについてあまり考えてこなかったのだと思います。そこに入り込めており、求められる場面が増えていると言えます」

「収穫」のループで、勝ち続ける仕組みづくりを。

今回、事業開発職をメインで募集していますが、顧客と接点を持つ意味で営業要素もあると思うのですが、その違いとは?

シナモンAIはAIのビジネス実装でDXを担うので、そう謳うからには「変革」が全て。顧客のフロントに立つメンバーは、事業を変えていく変革者であるべきだと捉えています。「これをやると変革するか」が最も重要な問いになり、顧客にも投げかけていく。なので、営業とはマインドの根本が異なると思います。

とはいえ、いきなりDXは実現できないので、まずは地に足のついたバリューを提案しながら、より本質的な話に踏み込んでいく。向学心があるタイプの方にとってはすごくエキサイティングな仕事になるはずです。

たとえば、シナモンAIには「Flax Scanner」というソリューションがあり、自然言語で書かれたドキュメント、イメージデータのドキュメントから、その後の情報処理に必要となる要素が抽出できるものです。数年前から提供しており、他社ではかんたんに追いつけない量のデータが蓄積されてきています。当然、情報抽出した後、何するかが大事で、そのノウハウもどんどん溜めている状態。どこの課題を解決するか、最適化するか。何を予測していくか。そういったニーズへと、どんどん展開されていくわけです。ある意味「Flax Scanner」がドアノックツール的な役割を果たし、そこからより本質的な「売上増大」「コスト削減」「リスク/損失予測」「UX向上」「R&D加速」といった複数の価値、「収穫」が得られるループをまわす。この仕組みづくりを担っていくことができます。

改めて重要なのは「Flax Scanner」といったツールの導入提案ではなく、先にあげた5つの価値を、複数連鎖する形のループを生み出せるか。保険でいえば、審査に待たされる時間をAIによって大幅に短縮し、UXを改善する。そこで生まれたリソースを、例えば、ユーザーエンゲージメントの向上に当てていく。こうすることで保険加入と申請といった両軸でUX向上にAIが貢献できるわけです。製造業でも、過去に発生した問題の掘り起こし、品質向上に向けた試作、ナレッジシェアなどにAIを活用した効率化ができれば、R&Dや製品開発に手が増え、本質的な価値貢献ができる。ここが事業開発に期待する役割です。

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シナモンAIでは事業開発に加え、アライアンスチームも強化している。「事業開発でいえば業界ごとの戦略デザインのシナリオが出来てきているところ。一方で、アライアンスチームは過去取引のなかった業種・業界の企業と組み、テーラーメイド型のコンサルティングを行うことで、その知見を得ていきたい」と堀田さんは狙いを語る。

多くの人が嫌う「変化」を、当たり前のものへ

シナモンAIでは複数のプロダクトを持ちつつ、それらは一部で、あくまで本質的な提供価値は戦略デザインにあることが伺えました。

そうですね。いつもプロダクトの話をする時、レゴ®ブロックを例にさせてもらっていて。すごく影響を受けているのですが、1個1個のブロックはもちろんプロダクトなわけですが、その積み重ね、作り上げていく体感自体がすばらしいわけです。つまり提供価値は、無限に近い組み合わせ、作る人のクリエイティビティを刺激し、お城だったり、スペースシャトルだったりを生み出せることにある。その根幹技術が全てブロックに詰まっている。私自身、これが技術における本来のあるべき形だと思っています。

私たちは、そういったブロック=技術を持っています。それらで一緒にお城やスペースシャトルを作る体験をしていきましょう、と。これがDXに対して本質的に寄与すること。技術をもとに、いろいろなパッケージにして提供していく。開発側でモジュールをたくさん作り、BizDevはそれらを組み合わせ、本質的にDXに寄与していく。そのコンビネーションで、DXが実現されていく世界観を理想としています。

ありがとうございます。最後に、AMBIは「Ambitious」の頭文字から生まれたサイトなのですが、堀田さんの「志」について伺わせてください。

シナモンAIとしても、私としても、野心的な変革目標=MTP(Massive Transformative Purposeとしても掲げているのが「トランスフォーメーションの民主化」です。多くの人々が、トランスフォーメーション、変化を当たり前と捉え、ポジティブに、自然なものとして受け入れていく。そんな日本にしていきたいですね。

というのも、多くの人は「トランスフォーメーションが大事だ」とわかっていながら、変化を嫌っていて。特に日本人は最適化が上手とされる傾向にある。ただ、最適化したものを壊さない限り、変化はできません。

最適化ができていることを壊す、ということは、サンクコスト(取り戻すことができない損失)が発生してしまう。なので、最適化は変化に対してとても脆弱なのです。日本の歴史を見ても、徹底的に破壊されたあとはすごく強いが、破壊されるまで、すごく遅い。そのあり方を変えていきたいと本気で考えています。

もはや環境的にいえば「変化」が当たり前の世の中になるのは明らかなわけですよね。冒頭にお伝えしたように、あと8年で既存領域を凌駕する勢いのAI市場が生まれることまでわかっているわけです。「変化」を当たり前とすることは、日本にとっても、アジアにとっても重要なことだと思っています。これを実現するためにシナモンAIもあるし、私自身もいる。この壁を突破し、海外で羽ばたく事例が出てきたら、日本にとって希望的な話。そのパートナーとして伴走が出来たら、すごく幸せなこと。もともと変化にネガティブだった人たちが、気づけばトランスフォーメーションを当たり前に捉え、自然に受けられるマインドセットを持っていく。それが獲得できるといいなと思っています。

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