INTERVIEW
ABCash Technologies| 代表取締役社長 児玉 隆洋

お金の不安に終止符を。日本に金融教育を根付かせる「ABCash Technologies」の挑戦

掲載日:2022/11/16更新日:2022/11/16
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マンツーマンで学べるお金のオンライントレーニングサービス『ABCash』。コロナ禍、新たな「習いごと」としても20代~30代を中心に注目を集める。今回取材したのは、運営元であるABCash Technologiesの代表 児玉隆洋さん。サイバーエージェントを経て起業、自身の著書『未来のお金の稼ぎ方』はAmazon新着ランキング1位を獲得するなど、金融教育の領域で注目を集める人物だ。ABCash Technologiesが切り開く「金融教育」という新しいマーケットの可能性、そして同社で得られるキャリアに迫った。

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お金に対する価値観をアップデートせよ

「ABCashはお金のトレーニングサービスを日本に根付かせることによって、お金に関する情報の非対称性をなくしていく」

こう語ってくれたのが、ABCash Technologies 代表の児玉隆洋さんだ。

「インターネットは情報の非対称性をなくしました、Web2.0と呼ばれています。一方、お金は依然として、1.0の世界だと思っていて。知ってる人が得をし、知らない人は損をしている現状があります」

ここで、金融リテラシーとして、家を購入する場合を例に解説してくれた。

「たとえば、すごく単純化しますが、3000万円の家を買う場合、新築マンションなら消費税は300万円ですよね。ただ、個人間での売買となる中古マンションなら「消費税」だけでいうと0円。運良く築1年の中古マンションが見つかれば、古さもほぼ新築と変わらないわけです。億ションを買う場合、その差は1000万円単位に膨れ上がります。当然、実際に購入するとなるとさまざまな問題はありますが、金融知識がないために、知らないうちに損をしている人は本当に多い。スーパーのタイムセールにはこだわるのに、高価な家や、払い続ける保険の価格などは案外あまり考えずに購入してしまっている人は少なくありません」

こうした金融知識不足の背景には、日本人のお金に対する価値観が大きく関係しているという。

「日本には、お金について話すこと自体が、“卑しい”とか“きたない”といった価値観が根強く残っています。おそらく、幼少期に親とお金の話をした経験がない人がほとんどではないでしょうか。そして、知識がないまま社会人になり、なんとなく上の世代のお金の常識を鵜呑みにするのも危険。日本の少子高齢化の流れは、今まで人類が味わったことない領域に突入しており、私を含むミレニアル世代、Z世代の人たちの老後は非常に不透明な時代です。こうした状況の中で、お金のスキルを身に付けずに生きて行くのは、宇宙服を着ずにロケットに乗るようなもの。相当危険な行為です。古くから残る、お金に対する価値観を払拭していかなければなりません」

国としても2022年4月から高校で金融教育を必修化するなど、潮目は変わりつつある。

「ようやく世間的な注目が高まっていますが、まだまだ始まったばかりです。ABCashは、金融教育を、英会話教育、プログラミング教育に次ぐ「第三の教育」と捉え、金融教育という領域を先陣を切って切り開いていく。金融を学ぶことはカッコいいことである、というイメージをつくっていきたいと考えています」

お金に対する価値観をアップデートし、「金融教育」という新たな市場を切り開くーーABCashの挑戦に迫った。

お金のトレーニングスタジオ『ABCash』とは

「お金の学習データ」をベースに、パーソナル講師が1人1人に合わせてトレーニングメニューを提案し、家計管理~資産形成に必要な金融リテラシー習得をマンツーマンで伴走サポート。コロナ禍、人気のオンラインレッスンとしてメディアからも注目を集める。2018年のサービス立ち上げ以来、受講者数は2万人を突破。

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代表取締役社長 児玉 隆洋
2007年、サイバーエージェントに新卒入社し、AmebaBlog事業部長、ABEMATV局長などを歴任。2018年、日本の金融教育の遅れ・お金の情報の非対称性に課題を感じ、ABCash Technologiesを設立。代表取締役社長に就任。著書に『未来のお金の稼ぎ方』(幻冬舎出版)がある。

「本当にやりたかったこと」に挑戦できる社会へ

人々の価値観をアップデートしていくのは、難易度が高い挑戦だと思います。具体的に、どうやって金融教育を広めていくのでしょうか?

まずは、若い人から、お金の価値観を変えていく。その次のフェーズとして、ご年配の方にも伝えていく、という順番で進めていく。これが一番社会を変えられる方法だと考えています。

インターネットやスマートフォンも、若者が使い始めて、少しずつシニア層に広がっていきましたよね。若者のほうが柔軟なんです。これは、金融教育も同じだと思っていて。

若い世代がスマートフォンの使い方を両親や祖父母に教えるように金融について教えていく、そんな流れを作れればと考えています。

実際、ABCashの生徒さんは、Z世代からミレニアル世代の会社員の方が多いです。年収帯としては、20代~30代で平均値400万円前後、「投資の経験はないけれども、NISAは聞いたことがある」といった資産形成の初級者の方々が中心。英会話スクールやプログラミングスクールなどと同じように、自己投資としてご入会いただいています。

今、政府もリスキリング*の取組みを後押ししてますが、新しいスキルを身につけようという時、一つのスキルとして「金融リテラシーを身につける」という流れが、特にZ世代からミレニアル世代に起きているように感じます。

*技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、新しい知識やスキルを学ぶこと

これは、インフルエンサーの功績も大きい。最近は投資や貯蓄などお金について分かりやすく発信するYouTuberもたくさんいますし、InstagramやTikTokなどでもお金に関する発信が増えています。そういったコンテンツに触れたことをきっかけに、「自分もこのまま貯金だけをして生きていくのは危ない」と危機感を持ち、しっかり学ぼうとABCashに来られるケースは珍しくありません。

実際、お金について学ぶことで、漠然として不安を抱えながらやみくもに貯金ばかりする、という状況から脱却し、自分の本当にやりたいことに挑戦するようになる方が多くいて。

たとえば、車での旅行に例えると分かりやすいかもしれません。目的地まで片道100㎞なら往復は200㎞、必要なガソリンの量が見積もれますよね。不必要にガソリンをこまめに貯める必要はない。むしろ、「まだガソリンに余裕があるから、自分が行きたかった別の観光地にも行ってみよう」と寄り道もできるかもしれない。

お金も同じです。自分が望むような人生を送るにはどれくらいのお金がかかるのかを把握する。その上でどのぐらいの年収でどう資産形成していけばいいか、道筋をクリアにしていく。そうすることで、自分が本当にやりたかったことにもチャレンジしやすくなります。

実際、受講後に転職をされる方が多いんです。なかには、公務員だった女性が、Webデザイナーに転職されたり、留学に行かれたりした方もいます。

いわば私たちの仕事は、一度きりの人生を全力で楽しめるようにサポートする、という側面もあるのかもしれません。

ABCash受講者の声

クオリティは、ユーザー数のように数値化ができないため目に見えづらい。ABCashでは、生徒さんの声、レビューを毎日全社に共有し、どういう点が良かったか、どういった感動を覚えてもらったかを、つぶさにチェックしている。

また、若者から考え方を変えていくために、ABCashでは学生向けに無償で金融教育プログラムを提供しています。小学生向けには親子で参加できるオンラインキャンプを行ったり、中高大学生向けには学校に伺って授業をしたりしています。現在、2022年4月から金融教育が高校で必修化したことを機に、学校側からお声がけいただくことも増えていて。無償での活動なので全てにお応えできるわけではないですが、未来への種まきとなる活動は続けていきたいと考えています。

日本の金融教育の礎をつくる、先行プレーヤーに

金融教育という新しいマーケットですが、今後よりサービスを広めていくにはどういったことが鍵になると思いますか?

金融教育を日本の当たり前にしていくためには、当然ユーザー数も重要ですが、特にこだわるべきは、品質の高い教育を提供し続けること。一人ひとりの生徒さんのお金の問題を本当の意味で解消していけるサービスのクオリティを追求できるかが、今後の戦略の全てとも言えます。

ABCashは金融教育という新しいマーケットにおける先行プレーヤー。金融教育というものが日本にどれだけ根付くかどうかは、ABCashのサービスのクオリティ次第と言っても過言ではありません。仮にどれだけ利用人数を拡大したとしても、我々が提供するサービスのクオリティが低ければ、「金融教育のクオリティ=低い」と定義されてしまう恐れがある。それでは結局、日本全体の金融教育は盛り上がっていきません。そのため、クオリティにこだわることは、先行プレーヤーとしての使命だと捉えています。

そういった先行プレイヤーであるABCashで働くことで得られる経験、スキルも多そうですね。わかりやすくお金のリテラシーも上がっていきそうです。

それはありますね。ただ、当然ですが入社しただけで経験やスキルが得られるわけではありません。私たちは新しい産業をつくっていく気概で取り組んでいるので、当然、誰よりも勉強している自負はあります。いわば、毎日が受験勉強みたいなイメージ。入社して半年のある社員は、「この半年が、人生で一番濃い半年でした。もう3年くらい経ったような気持ちです」と言っていました(笑)人によっては厳しいと感じるかもしれない。入社後はみっちりと学んでいくので、その分、お金のリテラシー、コーチングスキルも磨かれますし、成長スピードも早いはずです。

実際、働かれている方は、どういったバックグラウンドを持つ方がいらっしゃるのでしょう?

証券会社をはじめ、銀行、不動産、保険の出身者を中心に、他業界から入社したメンバーまで様々です。

特に金融業界出身者が入社動機として話してくれるのが、「情報の非対称性のなかでビジネスをしたくない」という点です。

彼ら彼女らは、何かしら、住宅や保険、投資商品に関する知識を持っていないお客さんに対して、高い手数料をつけて商材を売らなければならなかった経験を持っていて。そのなかで、「本当にお客さんにとって役に立っているんだろうか?」と疑問を持っているケースは珍しくありません。

若い世代ほど、「ただ自分が稼げればいい」というより「社会のためになることをしたい」と考える人は増えていますし、当社にもそういった人が多い。入社後も「目の前の生徒さんを、お金の不安から解放してあげたい」という熱量の高いメンバーが集まっていますね。

私自身、熱意をベースに走ってきたタイプ。同じく、熱量がある人と一緒に働きたいと思っているので、面接でもそういった部分は見ていますね。

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活躍社員の共通項について伺えた。「“素直でいい人”です。アドバイスを素直に聞き、取り入れてすぐ実践に移せる。かつ、自分でやってみてうまくいった方法をみんなにシェアできる方はスタートアップには向いていると思います。とある経営者の方の受け売りですが、スタートアップとは舗装されてないオフロードのようなものなので、ほとんどブレーキを使わずにアクセルとハンドリングだけでどんどん進んでいく必要がある。だから、素直でいい人ほど、迷わず前に突き進める。逆に、アドバイスをもらっても斜に構えていたり、「でも」が口癖のような方は、ブレーキをふみまくってしまうので当社には向かないと思います」

日本を、社会をよくすることに、自分の命を使いたい

今や2万人を超えるユーザーがいると拝見しました。創業当初は生徒が集まらず、資金不足で多額の借金を背負った時期もあったと書著で拝見しました。そうした状況下でも熱意を絶やすことなく、走り続けられている原動力とは?

根っこにあるのは、坂本龍馬みたいな生き方をしたい、坂本龍馬のように少しでも日本を、社会をよくできるようなことに自分の命を使いたい、という想いかもしれません。

龍馬がよく使う言葉に「使命」があって。私は20代のころから自分の命を何に使うのか、ずっと考えていました。

そのなかで、自分は非常に恵まれてるな、と思っていて。戦争がなく、当たり前のように学校にも通えて、世界的に見れば犯罪に巻き込まれる危険性も少ない。そんな時代、国に生まれおちたこと自体、自分はスーパーラッキーボーイだな、と。だとしたら、自分じゃない誰かのために命を使いたいと思いました。

特に、世の中の自分以外の人たちがよりポジティブに生きられるようなビジネスドメインで、かつ自分が仮にいなくなったとしても、大義をどんどん大きくしていけるような組織・会社を作りたい。そう強く思い、年収を半分に下げてでも起業を決意しました。

大義を背負ってやってみたら、本当にもう少しで自己破産寸前まで追い詰められたんですが、そういったときも、デスク前の壁にずっと坂本龍馬の肖像画を貼り付けて仕事していました。社員からは「社長やべえな」と思われたと思うんですけど(笑)でも自分の価値観は今も変わっていない。これからも、日本に金融教育を広めていく。そのために走り続けたい。そういった志に共感してくれる方と一緒に働けると嬉しいですね。

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