INTERVIEW
ダイナミックマッププラットフォーム|CEO 吉村修一

もう1つの地球をデジタルで作る!政府バックアップのもと設立「高精度3次元データ」スタートアップの挑戦

2016年、内閣府が主導する戦略的イノベーション創発プログラム(SIP)から誕生したダイナミックマッププラットフォーム。高精度3次元地図データ(HDマップ)を提供するスタートアップだ。トヨタ自動車や日産自動車など国内自動車メーカー10社が出資するほか、2019年には米ゼネラル・モーターズ(GM)系列の同業アッシャー社を買収し、事業拡大とグローバル化へアクセルを踏む。こうしたなか、経営企画やIRをはじめとするポジション募集に際し、代表取締役社長CEO吉村 修一さんに、同社の事業概要、ビジネスとしての可能性について伺った。

>>>ダイナミックマッププラットフォームの求人一覧はこちら

高精度3次元データで世界に挑む

「我々は高精度3次元データで、現実空間を高精度で複製する。もう1つのデジタル地球をつくることで、自動運転をはじめ、あらゆる産業にイノベーションを起こします」

こう語ってくれたのは、ダイナミックマッププラットフォーム(以下、DMP)の代表取締役社長 CEO 吉村修一さん。

同社は、日本政府のバックアップのもと、計測機器、測量、地図、自動車の国内トップレベル企業が一体となった「オールジャパン体制」で設立されたスタートアップだ。

吉村さんは、以前はVCで働き社外取締役として同社に関わっていたところから、2022年よりCEOに就任し、事業を率いる。

そして、事業のポテンシャルをこう語る。

「当社には世界で戦えるポテンシャルがある。なぜなら、我々のプロダクトは3次元のデータ、3次元の位置座標。地球の構造、道路の構造、建物構造など普遍的なものを取り扱っているため、国が変わっても必要なデータは変わらない。言語や文化の壁を超えて、グローバルに展開しやすいのが特長です。さらに、ソフトウェアなので、固定費は一定。利益率がどんどん上がっていくビジネスモデルです。加えて、高精度3次元データの領域は、世界的に見てもプレイヤーが少ない。世界でも数社です。大きな売上高を取れて、かつ利益率が高いビジネスとなるため、今後、十分に社会的なインパクトを出していけると考えています」

同社が提供する高精度3次元データとは。そして世の中にどういったインパクトを与えるのか。彼らの挑戦に迫った。

ダイナミックマップ(HDマップ)差し替え

高精度3次元地図データは、衛星測位、計測、図化、統合の4つのステップによりつくられる。まずは、衛星で正しく自分の位置を特定。次に、Googleストリートビューのようなイメージで、360度カメラや、各種センサーを取り付けたMMSという車両で世界中を走り回り計測しデータを生成する。これをベースに、「これは停止線/車線」などの意味を持たせる「図化」を行ない、最後に全てのデータを統合させ、ソフトウェアに読み込ませることができる形にしていく。※ ストリートビューは、Google LLCの登録商標です。

この地球のすべてをデジタル空間にする

高精度3次元データを提供されていると。まず事業の特長から伺ってもよいでしょうか?

我々は、高精度3次元データを使って、現実空間を高い精度で複製します。近い概念として、工場内など限定されたエリアを3次元空間、デジタル化して、工場の生産性向上などにつなげていく「デジタルツイン」がありますが、我々は限定されたエリアではなく、道路をはじめ広く一般のエリアでモノを動かしていく。この地球のすべてをデジタル空間にするという気概で挑んでいる。そういった意味で、「現実空間のメタバース」と呼んでいます。

現在、いわゆる「メタバース」と呼ばれているものって、基本的には仮想空間ですよね。例えば「バーチャル渋谷」は、現実空間をデフォルメして作っている空間であり、そこには位置座標の概念はありません。仮想空間内をアバターで移動することはできますが、その移動はあくまで仮想空間で閉じている状態。現実には、家のソファにいるわけです。

一方、我々は現実空間と1/1スケールで同じようなデジタル空間をつくっていく。現実空間とデジタル空間をシンクロさせていきます。

DMP社長

代表取締役社長 CEO 吉村修一
2005年、新卒で総合商社に入社。インフラ投資・建機メーカー欧州担当として従事。在職中に大学院に通い政府系ファンドについて研究し、2012年に投資ファンドへ転職。プライベートエクイティ投資・ベンチャー投資に関わるなかで、ダイナミックマップ基盤(現ダイナミックマッププラットフォーム)と出会う。社外取締役を経て2022年より代表取締役社長 CEOに就任。

「日産、HONDAでも我々の3次元データマップが使われている」

現実空間とデジタル空間がシンクロすると、たとえば将来的にどういったことが出来るようになるのでしょう?

イメージしていただきやすいように身近な例をあげると、渋谷109の広告は、現実空間では1つしか存在しないですよね。それが、渋谷の現地に行って109の広告に向けてスマホをかざすと、デジタル空間上の109の広告スペースでは、別の広告が出ているかもしれないですし、あるいはTikTokerがその枠を貸し切ってライブ配信をしているかもしれない。そんなふうに、世界にデジタルが溶け込んでいるような状態になると思います。

アニメや映画で見たような近未来的な世界観ですね。現在は、どういったところまで、実用化が進んでいるのでしょうか?

まずは、「自動運転」の領域で技術の活用を進めていて、3次元データマップを車に教えることにより、車の制御が可能になるため、より安全で快適な自動運転の実現に貢献していけると考えています。すでに日産スカイラインのハンズオフ走行に活用されているほか、本田技研工業の世界初、自動運転レベル3を実現する「Honda SENSING Elite」を搭載した車種「LEGEND(レジェンド)」にも搭載されています。

現状、自動車メーカー各社では、自動運転レベル2から事業を始めていますが、この先、レベル3、4、5と上げていくうえでは、我々の高精度3次元データが必要不可欠なものになってくる。これは、グローバルでコンセンサスがとれている状況です。自動運転の進化を加速させる存在として、我々の技術に注目が集まっています。

いくつかユースケースを示すとすれば、たとえば、信号がある交差点で一時停止するときに役立ちます。

車は搭載されてるカメラで信号を読み、停止線で止まると判断しないといけないのですが、単にカメラだけだと、車はどの信号機を読んだらいいかわからない。一つ向こうの交差点の信号を読んでしまうかもしれないし、あるいは歩行者用の赤信号を読んで止まってしまうかもしれない。そういった時に、XYZの位置座標がわかれば、どの信号を読めばいいのか車は正しく判断できるようになります。

また、3次元空間上で「ここは入ってはいけません」と条件をつくる。デジタル的なフェンスを立てて自動車に教えてあげることによって、どうやっても車が侵入できないように制御することができます。

歩道を歩く歩行者集団に、高齢ドライバーの運転する車が突っ込んでしまうといった痛ましい事故が発生していますが、そういった、ガードレールを引くだけでは防げない事故も防げるようになるはずです。

ダイナミックマップ(ジオフェンス)

「現実空間のメタバース」が起こす、あらゆる産業のイノベーション

ちなみに自動運転以外の領域への展開可能性もあるのでしょうか?

むしろそこに対する期待のほうが高いと言えるかもしれません。たとえば、「物流」で言えば、今後数年で、ドローンが自動制御で飛び回るような世界がくると言われています。ドローンが空を飛ぶ時には、空にも3次元の地図が必要になる。それを我々が提供しています。

また、ドローンがAさんのマンション301号室に配達する場合、人間のように廊下に入って部屋番号をみて荷物を届けるわけではないので、ベランダあるいは屋上などの位置座標を読んでそこに荷物を配達するようになります。我々はそれを政府へ提案し、空間IDと名付けてプロジェクト化しています。

その他、インフラ管理などにも活用が期待されます。

たとえば、橋やトンネルなどのどの部分がどのように劣化してるのか、デジタル空間上で判断をする。これにより、まずはオフィス内に居ながらにして、3次元空間で事前に修理の仕方をシュミレーションした上で、現地での作業ができる。効率よくスピーディーにメンテナンスをすることができるようになります。

最終的には、先ほど渋谷の例でお伝えしたような、メタバース空間の中での広告活用などにも3次元データを使う。そういった部分にも取り組んでいきたいと思っています。

求む、共にグローバルにチャレンジできる人材

改めて、今後のビジョンについて伺わせてください。

我々がパーパスとして掲げているのが、「高精度位置情報基盤をグローバルに構築して、自動運転をはじめとする新しい未来を拓く。」これをとにかくスピードをもって実現していく。そのためには、共にグローバルにチャレンジできる人をいかに増やしていけるかが重要になってきます。

現状でいえば、日本に約100名、アメリカに約200名の社員が働いており、非常に多様性のある組織。みんなが同じ方向に向かってスピーディーに取り組んでいくために、2022年にグローバル共通の指針として、大事にしたい考え方「GIFT!」(*)を定めました。

ローカルよりはグローバルでありたいですし、小さな改善を繰り返し行なっていくよりはイノベーションを起こしたい。熟考するより早く動く方がいいし、バラバラに個別で仕事をするよりチームワークでトラストしながら進めた方が良い。プロフェッショナル然として成熟した存在より、常に好奇心を持って新しいものにチャレンジしていく存在でありたい。今の会社のステージにおいては、社員一人一人のそういったマインドが大事になると思っています。

(*)GIFT! 社員が大切にすべき価値観(Value)として定めた指針。「Global Mindset」「Innovate」「Fast Move」「Trst and respect」「!be youthful」の5項目の頭文字をとって名付けられた。

最後に、吉村さんにとって仕事とは?

 仕事は、人類を一歩でも前進させるための手段だと捉えています。もともと、儲けるために仕事をするというよりは、社会に貢献したりインパクトを残せるようなことをしたいという思いが強くて。そういった意味で、当社は、自動運転にゲームチェンジを起こす存在になっていけると思いますし、地球全土をフィールドとして展開していくビジネスです。決して簡単な挑戦ではないですが、人生をかけて取り組んでいきたい。その思いを共にできる方と一緒に働けると嬉しいですね。

DMPグローバル

商社、金融機関、自動車メーカーなど様々な業界出身の方々が在籍するDMP。ずばり同社で働く魅力の1つが「クイックにグローバルな事業にチャレンジできる環境」だ。「これはあくまで私の考えですが、スタートアップで働くにしても、日本の中で閉じたビジネスである場合、スケールしていくことはなかなか難しい。貴重な20代、30代を、国内に閉じたビジネスに捧げることは、個人のキャリアとして成長速度が落としてしまうという見方もできます。また、大企業であれば、グローバルな仕事はできるかもしれませんが、組織が重たかったり競合も多い。こうしたなかで当社は、創業当初からグローバルで展開していく前提で事業をスタートし、実際に国内大手自動車メーカー10社をはじめ米国にもすでに顧客基盤がある。かつ、スタートアップのスピード感はそのままに進められる。このような環境は、なかなかないと思います」

この記事が掲載されている特集はこちら
最近ご覧になった求人に基づいたおすすめの求人
若手ハイキャリアのスカウト転職