世界的な資材高騰などを背景に、2023年は商社業界全体が追い風を受けた。一方、2024年度、資源市況は一服し、各社減益予想に*。いかに市況に左右されない安定した基礎収益力をつけられるか。その成長戦略がカギを握るとされている。今後の成長モデルを描く上でキーワードとなるのが「脱石炭」「再生可能・新エネルギー参入」。温暖化ガス排出削減への対応や、投資家による企業ESG活動の重視により「脱石炭」の流れは加速。またDXを通じた新たなビジネスモデルの創出も。商社各社の最新動向を求人とあわせて見ていこう。
*〈参考〉「会社四季報」業界地図 2024年版
※2024年3月時点の掲載情報をもとに、AMBIで求人掲載中の企業を選定し、作成しています。各社の募集状況は、掲載時と異なる場合があります。ご了承ください。
三井物産
丸紅
双日
豊田通商
伊藤忠ケミカルフロンティア
伊藤忠丸紅鉄鋼
日本アクセス（伊藤忠グループ）
住商フーズ（住友商事グループ）
住友商事グローバルメタルズ
MCアグリアライアンス（住友商事グループ）
メタルワン（三菱商事と双日の合弁会社）
丸紅テクノラバー
双日マシナリー
阪和興行
PALTAC
2023年3月期決算で、純利益で1兆1306億円（前年比23.6%増）を記録した三井物産。商社で純利益が1兆円を超えるのは初めてで、円安やエネルギー高が追い風となった。鉄鉱石やLNGなど資源分野に強みを持つ同社だが、直近ではヘルスケアやICT事業など非資源分野にも力を入れている。現在、食品業界向けの提案営業の募集中。
海外を中心に展開している発電事業は業界トップクラス。穀物やパルプ、農業化学品にも強みを持つ。直近では、電気自動車（EV）用の蓄電池のリユース事業への参入や銅事業なども強化。現在、ネットワークソリューション事業部の法人営業をはじめコーポレート経理、コーポレート法務、人事といった複数ポジションで募集を行なっている。
収益2兆4,798億円・売上総利益3,375億円（2023年3月期）。注力領域としては「インフラ・ヘルスケア」「東南アジアやインドなど成長市場へのマーケットイン志向」「素材・サーキュラーエコノミー」を設定し、3年間で5,000億円の投資計画を進めている。
トヨタ系総合商社。2024年3月期の純利益は前期比13%増の3200億円と、過去最高を見込む。主力としている自動車関連事業やアフリカでの車販売事業がけん引役に。再生可能エネルギーなど、非自動車分野にも力を入れる。
伊藤忠グループの化学品・医薬品専門商社。300社近くあるグループ会社の中で、収益貢献額上位の中核事業会社として認定されている。医薬品やファインケミカル、樹脂原料等の広範な化学品の取扱いを通して、人々の健康や文化生活を維持・増進することをミッションとする。
伊藤忠商事・丸紅の両総合商社の鉄鋼部門が統合し、2001年に設立した鉄鋼総合商社。以来、国内外問わずモビリティ業界、インフラ業界、生活関連産業、エネルギー業界などへの鉄鋼共有をし続けている。現在、業界内では売上・純利益ともにトップクラス。
伊藤忠商事グループに属する売上高・経常利益で業界No.1の食品卸企業。日本全国で食品の供給・販売を行うほか、ロジスティクス・商品開発・マーケティング・海外事業・ECビジネスなど様々な事業を展開。近年は「DX推進」として、データとデジタル技術の活用で事業を推進し、業界全体の課題解決や得意先様・取引先様との更なるパートナーシップの醸成を目指している。
住友商事グループの食品商社「住商フーズ」。住友商事のグローバルネットワークを活かして、世界約40か国の産地から500アイテム以上の食肉原料・加工品や農産加工品などを輸入。日本の食品市場を支える。
住友商事グループにおいて「鉄鋼ビジネス」の戦略立案から実行まで担う、金属ビジネスに特化した専門商社。国内外に100の事業拠点を持つグローバルネットワークを持ち、海外向け取引比率は80%となる。現在、海外営業、人事など複数ポジションで募集を行っている。
三菱商事株式会社とシンガポール大手農産物商社・オラムインターナショナルが出資し、合弁会社として2016年に設立。コーヒー・ココア・胡麻・ナッツやその他スパイスなど、食品原料の輸入卸販売を行なう。
三菱商事と日商岩井(現：双日)の鉄鋼製品部門が統合されて誕生した鉄鋼商社。世界各地に約120のグループ会社を展開する「鉄鋼流通のリーディングカンパニー」として、金属産業の持続的な発展に貢献してきた。
丸紅グループのゴム原料専門商社。天然ゴム・合成ゴムをはじめとした原料から、タイヤ・ゴム手袋などの関連製品まで幅広く取り扱う。
双日グループの機械系専門商社。機械部品のほか、重工プラント・自動車設備・先端電子システム・新エネルギー分野など、機械設備全般を事業領域としている。
1947年の創立以来、鉄鋼事業を中心に、各種メタル、食品、エネルギー、生活資材、木材、機械など幅広い商材を扱う独立系商社。2023年３月期の売上高、経常利益ともに前の期に続き過去最高を更新。EV電池材料の調達強化、アジア地域を中心とした海外での地産地消型ビジネスの拡大などに注力している。
化粧品・日用品・一般用医薬品卸業界の最大手。化粧品・日用品、一般用医薬品卸売業界トップクラスの規模だからこそ、商品の価格を上げない為に物流コストの削減に取り組んでいる。2024年1月には、取引先のスーパー・ドラッグストア向けに、人工知能（AI）を使った食品の需要予測サービスを始めると発表。店舗の販売量や客数などのデータをもとに、適正な発注量を計算するサービスで、業務の効率化と賞味期限切れによる食品の廃棄削減を目指す。
