INTERVIEW
和歌山県 民間人材 公募プロジェクト|特別インタビュー

和歌山県が、民間人材を公募へ。貿易、環境、教育・子育て支援…県の重点テーマに求める「民間の力」

掲載日:2024/04/25更新日:2024/04/25
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貿易促進、生物多様性推進、県立学校の組織整備・DX推進、こどもまんなか応援・・・これら重点テーマの取り組みに向け、和歌山県が「民間人材」を公募する。同公募にあたり、現在、和歌山県産品販路開拓コーディネーター(副業)として働く品川結貴さんを取材した。なぜ、彼女は和歌山県の公募に応募したのか。また、どのような仕事に取り組んでいるのか。和歌山県での働きがいと共に伺った。

和歌山県 民間人材 公募|募集職種一覧

・貿易促進戦略策定アドバイザー
輸出の支援に関する助言を担当 ※兼業・副業募集/リモート勤務相談可

・生物多様性保全アドバイザー
県が所有する森林の調査・助言を担当 ※兼業・副業募集/リモート勤務可

・校務DX推進アドバイザー
県立学校の校務DXを進めるための助言を担当 ※兼業・副業募集/リモート勤務可

・子育て社員応援アドバイザー
男性育休取得推進に対して企業等に助言 ※兼業・副業募集/リモート勤務可

自治体の「中」で仕事を

はじめに和歌山県での公募に応募した理由から伺ってもよろしいでしょうか。

じつは本業でも「持続可能な食の未来へ」をビジョンに「KIBO」という会社で、地域の食に関わる事業をしており、その知見を活かせればと考え、応募をしました。

特に大きかったのが、自治体の「中」で仕事をしたいという思い。もともと埼玉県にて6次産業化プランナー(※)として働いた経験があったのですが、その時に「自治体だからこそ、生産者さん、事業者さんにできる支援がある」と感じていました。ちょうどさまざまな自治体で民間人材の副業募集も増えていましたし、「もし機会があれば」と考えていました。

(※)6次産業化プランナー…県のサポートセンターから生産者・事業者に派遣される、商品開発・マーケティングのノウハウなどを有する専門人材のこと。取り組みについての個別相談・事業計画づくりの支援を行う。「6次産業化」とは、農業(1次産業)者自らが、生産した農産物を使い加工や食品製造(2次産業)、流通・販売(3次産業)など全てを行う経営多角化の取り組みを指す。1×2×3=6で6次産業と呼ばれ、農村資源を活用した商品づくりから販売に至るまでを幅広くとらえた一連の活動により地域の活性化を進めていくもの。(参考)https://www.ja-sc.or.jp/garden/keiei_stepup2/

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品川結貴(和歌山県産品販路開拓コーディネーター )
楽天株式会社にて⼤⼿広告代理店と協業しナショナルブランド向けの販促プランニング、⾷品メーカーとのプライベートブランド共同開発、フードデリバリーサービスの新規事業⽴上げを経て、 セールス、マーケティング、経営企画と事業側を歴任。「組織の働き⽅」に即したシステム設計・運⽤設計、セルフインプリ経験を活かし、株式会社セールスフォース・ジャパンにてコンサルタントとして勤務。 事業開発、マネジメント経験を活かし、2021年7⽉には個人でポップアップレストランのチームを結成。その後、同チームにて地域を活性化させるコンサルティング、マーケティングを行う会社 ”株式会社KIBO” を2022年4⽉に創業。アンテナショップの企画、運営代行、地域の⽣産者の販売や商品開発の⽀援、地域のDXアドバイザーを⾏う。

期待されるのは、仕事をつくり出す力

選考において「経験が活かせそう」と感じた部分があれば教えてください。

それでいうと、先ほどの埼玉県での仕事であったり、新潟市でDXアドバイザーであったり、自治体関連の業務経験があったのは大きいかもしれません。もちろん全員に求められるものではないですが、私に限った話でいえば「経験が活かせそう」とは思いました。

特に、どんどん仕事を作り出したり、新しいプロジェクトに入ったり。意外とフレキシブルな動きが求められる「自治体での仕事」に慣れていたところはあるかもしれません。面談時にも「取り組み自体が初。販路開拓に限らず、いろいろとやっていただきたいし、ご意見がほしい」とざっくばらんにお話をいただきました。期待されていること、裁量権の大きさも知ることができ、「それであれば」と参加を決めました。

実際、肩書きとしては「和歌山県産品販路開拓コーディネーター」ですが、現在取り組んでいるのも、和歌山県アンテナショップ「わかやま紀州館」のリニューアルプロジェクト(2024年6月オープン予定)です。

もともと販路開拓がミッションだったのですが、事業者さんと全国のバイヤーさんをおつなぎしたら、一定の役割は果たし終わるものでもあって。もちろん初回商談などには立ち会いますが、それ以降は当人同士の話し合いに移行します。その役割が一通りできたこともあり、そこからはアンテナショップのリニューアルに向け、年度の予算調整、仕様書の支援などからプロジェクトに加わっています。

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アンテナショップのリニューアルについて「これまで物販だけだったのですが、フロア面積も広くなり、飲食ができるようになります」と語ってくれた品川さん。「飲食店の口コミサイトへの掲載・ネット検索でも情報を拾ってもらえるようになるため、より広い層へのリーチが期待できるようになります。メニュー開発もしやすいのもメリットの一つです。「物販」だと新商品開発に半年以上かかってしまうこともありますが、「飲食」であれば「春限定メニュー」のように季節性のある商品を比較的短いスパンで企画・開発して提供ができますよね。また、物販では賞味期限が来たものは廃棄するしかないですが、飲食であればそういった賞味期限が迫ったものを、料理などにうまく活用し、ロスを減らしていければと考えています。」

可能性と魅力にあふれた和歌山県

品川さんが思う、和歌山県の自治体としての特徴があれば教えてください。

そうですね。まず海外展開に力を入れており、そこはすごく特徴的だと思います。留学経験があり、英語を喋れる職員の方も多く、県産品の輸出を担当していたりもします。インバウンドで「熊野古道」も注目されていますし、グローバルへの意識が非常に高いと感じています。

もう一つ、現地を巡ることで、まだあまり知られていない特産品などに出会えるのも特徴ですし、魅力です。半年に一度ほど出張で和歌山県のさまざまな地域の生産者さん、事業者さんのもとに足を運んでいるのですが、おもしろいものにたくさん出会えるんですよね。たとえば「じゃばら」という柑橘類があり、和歌山県東牟婁郡北山村という飛び地(※)の村が原産地。にがみがあるものの、花粉症にもいいと言われるなど、少しずつ注目度が高まっています。シェフである友人に紹介したところ喜んで料理に使ってもらいました。ただ、どうしても和歌山ブランドのものって関西圏に市場があり、あまり東京に進出してはいないのが現状です。その良し悪しはさておき、和歌山県のものを多く人に知ってもらえるのはいいことですので、東京進出などの可能性も今後はあるのかもしれません。

(※)和歌山県に位置する「北山村」だが、村を囲む市町村は全て三重県や奈良県であり、県に隣接することなく独立する形で点在していることから「飛び地」と表現される。和歌山県のどの市町村とも隣接しないのに和歌山県に属している、という特異な地域。(参考)https://www.vill.kitayama.wakayama.jp/kanko/about/

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柑橘類「じゃばら」関連商品。果汁、ぽん酢、飴、粉末などさまざまな商品として展開されている。

仕事があるからこそ「人」として成長できる

今後、仕事を通じ実現していきたいことについて教えてください。

まずは一つでも多く成功事例を作って「私たちもやってみたい」という生産者さん、事業者さん、自治体を増やしていきたいです。現在、他県のアンテナショップのリニューアルも手掛けているのですが、「その県に興味がなかった人にも来てもらう」という動機づくりをすごく大切にしていて。たとえば、有名ブランドとコラボしたイベントを開催したのですが、知ってもらうきっかけづくりとしては良い実績ができたところ。これからの取り組みですが、和歌山県でも魅力的なイベントやコンテンツによって「これって和歌山県だったんだ」と魅力に気づいてもらう。そういったきっかけづくりができるといいなと思っています。

最後に、品川さんにとっての仕事とはどういったものか、伺わせてください。

そうですね。私は仕事が好きですし、仕事があるからこそ「人」として成長できる。そう捉えています。もともと「やらされるもの」というイメージも全く無くて。副業でいえば、会社以外の人たち、価値観が違う人たちと多く出会うことができるものだとも思います。

また、社会にとって何ができるのか。それがなければ仕事をしている意味はないのかもしれない。もちろん、社会人になってすぐの頃は「給料が上がれればいいな」とか「とりあえずいろいろやってみたいな」とか、そういったモチベーションだったと思います。ただ、それらがある程度叶い、少し余裕が生まれてくると視点も変わってきたように思います。

私自身、ずっと「食」に関係することをやりたいと思っていたのですが、自立するまで両親からはもっと他のことができるのではと言われてきました。「給料が安そう」「大変そう」だと。そういったマイナスのイメージを変えていくことができたら「食」の業界に就職してくれる人も増えるんじゃないか。食料自給率を上げ、産業を守る意味でも“すごくかっこいい仕事なんだ“と思ってもらえるようにしたい。これからもそういった仕事に取り組んでいければと思います。

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