「コロナ禍において、IT・インターネットに救われた経験から、IT業界を志しました」こう話すのがHENNGEで働く森谷麻耶さん。もともと大手オフィス家具メーカーのマレーシア支社で内装工事の営業をしていた彼女は、コロナ禍を機に日本に帰国し、2021年に同社へ入社。現在、グローバルセールスとして活躍する。なぜ彼女はIT業界のなかでも同社を選んだのか。そして、そこで得られる経験とはーー。
HENNGE(東証グロース上場)について
「テクノロジーの解放で、世の中を変えていく。」を理念に、テクノロジーと現実の間のギャップを埋める独自のサービスを開発・販売しているSaaS企業。複数のクラウドサービスのID/パスワードを統合管理するクラウドセキュリティサービス「HENNGE One」や、クラウド型メール配信サービス「Customers Mail Cloud」を提供している。
特徴的なのは、英語を公用語としていること。現状、クライアントの9割は日系企業であるため、ビジネス上のやりとりは日本語中心だが、社内報をはじめ部署を跨いで行なわれる社内全体向けのインフォメーションにおいては英語が使用される。また、昇格試験における評価項目の1つにも、TOEICスコアが組み込まれている。
ロックダウン下のマレーシアで気づいた、ITの底力
新卒では日本国内のオフィスサービス事業会社にて営業としてのキャリアをスタートし、その後、マレーシアにて、モビリティ関連メーカー、大手オフィス家具メーカーを渡り歩いてきた森谷さん。2021年にHENNGEへ。4社目にして、なぜIT業界を志したのか。
新たな経験を求めて2019年からマレーシアに移住して働いていたのですが、その最中にコロナ禍に突入。現地で3回に及ぶロックダウンを経験したことは、大きなきっかけになりました。
本当に一歩も家から出られず身動きならない状況。家の中で過ごすことを余儀なくされた計6ヶ月の間、生活必需品をオンラインで買えたり、日本にいる家族とリモートで話ができたりしたことは、私にとって“救い”でした。ITやインターネットがなければ、今の私はいないかもしれない。単に「便利なもの」ではなく、生活、もっといえば「人間の営みにとって欠かせないインフラ」であると強く感じたんですよね。
同時に、前職ではインテリア・建築資材などの輸入が滞り、仕事が立ち行かなくなる場面もあって。モノに左右されない無形商材を扱ってみたいと言う思いが芽生えました。そこから、どんどんIT・インターネットの世界への興味が深まり、「転職するなら、IT業界にいってみたい」という思いが強くなっていきました。
コロナがいつまで続くかわかりませんでしたし、ちょうどビザの更新のタイミングが重なったこともあり、一度日本に戻ることを決意。帰国後、「IT業界」を視野に転職活動をするなかで出会ったのが、HENNGEでした。
最終的に、HENNGEに決めた理由とは。
いくつか理由はあるのですが、決め手となったのはカルチャーフィットの観点です。私自身、裁量をもち、自らのアイデアを形にしていける環境を望んでいたのですが、選考で話を聞く中で「ここなら自分らしく働けそう」とイメージが湧いたんですよね。
そしてもう1つ付け加えるとするなら、私にとって内定をいただいた企業の中でも「最もチャレンジングな道」だと思ったんです。IT業界は未経験、しかもHENNGEが現在主軸としているセキュリティ領域に関しての知見も全くないので、すべてが1から覚えることばかりとなる。さらに、HENNGEは英語を公用語(※)としており、裏を返せば、英語力が武器にはならないのでそれ以外の部分で勝負していかなければ評価されない環境。挑戦のしがいがある。これを乗り越えられたら、きっともう一段上のステージに行ける。そういった期待もありました。
決して不安な気持ちがゼロだったわけではありませんが、「年齢的にも異業種に飛び込むなら最後のチャンス」そう思い、思い切ってチャレンジしてみることにしました。
HENNGEの選考ではパッションを伝えたという森谷さん。「IT業界は未経験なので、気持ちの強さを伝えようと思い、コロナ禍で、ITによって孤独な状況から救われたというストーリーをお伝えした記憶があります。HENNGEは、テクノロジーへの愛やパッションを重視するカルチャーがあるため、今振り返ると、そういった部分もプラスに受け止めてもらえたのかなと思っています」
失敗していい。挑戦しないほうが“悪”
2021年に入社して以来、日々の業務を通じて感じてきたHENNGEの魅力について、彼女はこう語る。
HENNGEには “Make mistakes early” というカルチャーがあります。この考えが全社に浸透しており、挑戦の結果としての失敗が咎められず、むしろ歓迎される風土があるんです。だからこそ、自分のアイデアを恐れずに試し、経験を積むことができる。これは、私にとってHENNGE最大の魅力です。
さらに、個人の成長を後押しする制度面も充実しています。たとえば、営業組織では1~2年ごとに職種を変えるジョブローテーション制度があり、早い段階からさまざまな業務領域に携われます。失敗を重ねながら試行錯誤し、多面的な視点を養える環境が整っていると感じます。
私自身も、1年目は見込み顧客へのアプローチを担当する「インサイドセールス」、2年目には商談フェーズに進んだお客様の意欲を高める「オンラインセールス」、そして3年目からは海外顧客を対象にした「グローバルセールス」に所属し、それぞれ異なる役割から営業を学んでいます。このように、次々と新しい挑戦ができることも、HENNGEならではの面白さだと思います。
現在担当しているグローバルセールスについても、「挑戦の連続」だと語る。
まず前提からお伝えすると、グローバルセールスのミッションは、全世界を対象にサービスを提案していくこと。特に現在は、セキュリティ市場が未成熟なエリア、具体的には東南アジア地域(タイ、インドネシアなど)に狙いを定めて、マーケットを創出することを目指しています。
ただし、グローバルセールスはまだ事業立ち上げのようなフェーズで、メンバーは私を含めたったの2人という少数体制。そのため、スタートアップの立ち上げ期のように、あらゆる業務を自分たちで手掛ける必要があります。
具体的には、国内で行ってきたハイタッチセールス(インサイドセールスやオンラインセールス)に加え、パートナーセールスにも挑戦しています。また、パートナー企業と再販契約書を締結する際には、法務部とパートナー企業の間に立ち、ネゴシエーションを行う必要があります。この業務では、単にIT知識を持っているだけでは不十分で、税務や法務の知識も求められます。そのため、直近では、必要に迫られて簿記資格を取得しました。さらに、日本の法律では問題がなくても、他国の法律では問題が生じる可能性があるため、最低限ではありますが、タイやインドネシアの法律に関する知識も学びながら業務を進めています。こうした経験を通じて、数年前の自分と比べると、ITの知識だけでなく、それ以外の周辺分野についても、かなり幅広い知識を身につけることができたと実感しています。
そして挑戦の先に見えたのは、失敗と、それに立ち向かうための新たな一手だった。
東南アジア地域におけるセキュリティ意識は、想定以上に低いのが現状です。日本では、情報漏洩による損失や信用の低下といったリスクを多くの企業が認識しており、トラブルが発生した際には企業が即座にプレスリリースを出すことも珍しくありません。しかし、東南アジア地域では、仮に情報漏洩が発生しても、“Sorry”程度の対応で済ませてしまうケースが少なくありません。こうした状況を踏まえ、メーカーとして私たちが啓蒙活動を行い、セキュリティ意識を高めていかなければならない。そういった使命感は日に日に強くなっていますね。
一方で、日本で行なってきたアプローチをそのまま現地で展開しても、十分に響いていないという感覚がありました。このやり方は本当に適切なのだろうか。そう考えた結果、現地スタッフを採用し、現地の文化や価値観に基づいた訴求方法を考えてもらう方が効果的ではないか、という結論に至りました。
そこで、すぐに求人を出し、ついに先日、念願だったタイ人スタッフを採用することができました。来月からジョインしてもらう予定です。また、インドネシアでも同様の取り組みを進めたいと考えており、現在、インドネシア人スタッフの採用も検討しています。少しずつではありますが、「また一歩前に進んだ」という実感があり、これからの展開が非常に楽しみです。
森谷さんの転職前後での働きがいの変化を示すグラフ。
業界未経験で入社した場合、ITに関する知識をどのようにつけていくのか。「現在は、入社後おおよそ3か月から半年間の研修期間が設けられています。この期間中に、ITや自社サービスに関する知識をしっかりとインプットしてから、各営業組織に配属されるスキームになっています。私が入社した当時は、こうした仕組みがなかったので正直羨ましいですね(笑)。ただ、自分で学んでいく姿勢は変わらず大事だと思います。私の場合、本当に知識ゼロの状態で飛び込んだので、最初は社内の打ち合わせでも、日本語で話しているのに何も理解できませんでした。何がわからないのかすらわからない状況だったんです。新しい単語が出てきたら、一つひとつ調べることから始めました。また、SNSで関連する情報を発信している方をフォローして、日々チェックするようにしていました。さらに、日々業務で使用しているパソコンのアプリケーションの裏側がどのようになっているのか、自分で調べることもしていました。そうした積み重ねを続けるうちに、少しずつ理解が深まっていったように思います」と森谷さん。
財務やM&Aを通じて、HENNGEを成長させたい
そして、今後の目標を尋ねると、新たに抱くようになった夢についても語ってくれた。
直近の目標としては、先ほどお伝えしたようにタイ人スタッフを迎えることになったため、ネイティブの方々と協力しながらサービスを広めていきたいと考えています。現在、組織はまだ少人数で、業務が属人化しがちな部分も多いのが現状です。そのため、業務内容をできるだけ言語化し、マニュアル化を進めています。これにより、いつ誰が新たに加わっても即座に業務に取り組める体制を整え、組織の永続的な成長につなげていければと思っています。
また、HENNGEは2029年9月期中にARR200億円以上を達成するという目標を掲げています。その中で、グローバル市場での売上は間違いなく重要な鍵を握るはずです。では、事業をもう一段成長させるために、自分には何ができるのか。そう考えたとき、私個人としては、より多くの資本を引き寄せるための取り組み、具体的にはM&Aの推進なども視野に入れるべきではないかと考えるようになりました。そのため、最近では「IR(投資家向け広報)」にも興味を持ち始め、財務やM&Aといった領域から会社の成長に貢献できる人材になりたい、という新たな夢が生まれました。
ちなみに、こうした「M&Aに関わってみたい」「財務やIRに挑戦したい」といった夢を素直に語れるのも、HENNGEという環境にいるからこそだと感じています。3年間働いてきた中で、「ここならいつかチャンスがある」という確信に近い感覚を持つようになりました。経営陣との距離が近く、日常的に気軽に話しかけられる環境が整っているため、自分の意見に対しても真摯に耳を傾けてくれるという信頼感があります。さらに、現IRマネージャーがプログラマから転身して現在のポジションに就いている事例を目の当たりにし、「営業から財務やIRに進むことも可能性として十分あり得る」という期待感があるんですよね。このような環境に身を置けていることを、非常に恵まれていると感じています。
挑戦を続け、新たな目標を見つけた森谷さん。バイタリティに溢れる彼女の仕事観とは。
私は性格的に非常にめんどくさがり屋で、何事もできるだけ最短ルートで進みたいタイプなんです(笑)。これまでも、そして現在も、事業や自分自身が最も早く成長できる方法は何かを常に考え、探し、実行してきたように思います。
財務やIRに興味を持つようになったのも、「HENNGEの事業を最速で成長させるにはどうすればいいのか?」と考えた結果、自然と浮かび上がってきた選択肢でした。もちろん、私はこれまでそのような規模感でのビジネス経験はありません。しかし、取り組むことで事業だけでなく、自分自身も大きく成長できるはずだと信じています。そう考えるからこそ、主体的に行動できているのだと思います。これからも、HENNGEという会社を「自分事」のように捉え、挑戦を続けていきたいですね。
【森谷さんに聞いた、HENNGEの“働きやすさ”】
・ウェルカムランチ制度
新入社員が入社してから1ヶ月間、最大4人まで他の従業員と無料でランチに行ける制度です。会社が1人あたり1500円までランチ代を補助してくれます。この制度は、部署を跨いだ交流を促進し、コラボレーションやシナジーを生み出すことを目的としています。
・出社賞与
1日出社するごとに2000円が支給される制度です。例えば、1週間に5日出社すれば1万円が支給されます。この制度は、社員が主体的に出社したくなる仕組みを作ることを重視しているHENNGEならではの取り組みです。原則は出社が推奨されていますが、必要の際には在宅勤務も適宜取り入れることができます。
・フリー朝食
出社した社員には、無料で朝食が提供される制度です。これも出社賞与と同様に、社員が主体的に出社したくなる仕組み作りの一環として導入されています。
・休むときはガッツリ休む
長期休暇が取りやすい環境が整っており、2週間程度のまとまった休暇を取得する社員も少なくありません。海外旅行が好きな私にとっては非常に嬉しいポイントです。また、社員の多くがプライベートを大切にしながら働いている印象があります。
※制度は全て2025年5月現在採用されているものです。今後内容が変更となる可能性もあります。