2022年9月、キーエンス出身者が立ち上げたFact Base。設立わずか3年で海外11ヵ国に進出し、従業員は約260名規模へ。この急成長を続ける製造業DXスタートアップにて海外市場開拓を担う大川 遥夏さん(32)を取材した。「入社翌週には海外出張に趣き、2025年5月にはインドネシア拠点を立ち上げ、7月にチーム初の売上達成をしました。これほどのスピード感で挑戦と勝負させてもらえるスタートアップにはなかなか巡り会えません」そう生き生きと語る。Fact Baseでこそ得られる成長と挑戦のステージとは――。
Fact Baseについて
町工場が抱えるデジタル化の遅れや、それに伴う書類管理の非効率、技術ノウハウの属人化といった課題解決に挑むスタートアップ。日本を皮切りに、アメリカ、台湾、インド、インドネシアなど11ヵ国に展開している。2025年11月に総額44億円を調達し、累計調達額は67.5億円に。今後、IPOを視野に、組織強化、グローバル展開のさらなる推進を加速させていく。
サービスについて
主要プロダクトは、図面を起点に関連書類をクラウドで一元管理できる図面管理SaaS「ズメーン」。類似図面の検索やノウハウ蓄積機能により、見積もりから製造までの業務全般を効率化し、町工場のデジタル化を支援する。強みは、シンプルな操作性。展開先の国の言語全てに対応している。
もともと人材業界で長く経験を積み、前職では新規事業立ち上げに関わっていた大川さん。全くの異業種であるIT業界、なかでもFact Baseへの転職を決意した理由とは。
新卒で入社した会社を離れてからは一貫して人材業界に身を置き、求人媒体、派遣、紹介と、人材ビジネスの主要な領域は全て経験しました。なかでも前職では、「次はゼロから事業を立ち上げたい」という思いから、事業部長として人材紹介事業の立ち上げを担当し、何もないところから仲間と共に一つの事業を築き上げていく貴重な経験をできました。
一方で、事業が軌道に乗り、安心してバトンを渡せる目処が立ったとき、自分の中では人材業界では一通りのことは「やりきった」という感覚もあって。ふと自身のこれからのキャリアについて考えたんです。このまま人材のプロフェッショナルとしての道を極めるか、全く新しい業界にチャレンジするか。当時30代に突入したタイミング。全くの異業界に飛び込むなら今かもしれない。そういった思いもあり、後者を選びました。特に、今後も成長が見込まれるAIやSaaSといった領域に注目し、IT業界で基礎知識から身につけていきたいと考え、転職活動を始めました。
その矢先に、たまたまアンビを通して知ったのがFact Baseでした。設立からわずか3年で11ヵ国に展開する圧倒的な事業スピード。そして、当時まさにインドネシア拠点立ち上げに向けて海外営業を募集していると知り、強く惹かれたんです。実は私自身はインドネシアにルーツがあるため、その国の発展に貢献できる点は大きな魅力でした。
そして、最終的な決め手は、選考で経営陣と話したことでした。IPOを見据えた壮大なビジョン、それを実現するための具体的な海外展開計画、加えてキーエンス仕込みの徹底的な数字管理。その全てからIPOに本気で挑んでいく覚悟を感じ、「これは面白そうだ」と心を動かされたのを覚えています。知れば知るほど一層志望度は高まり、「ぜひここで働きたい」と入社を決意しました。

入社後に驚いたことを、「業務を任せていただくまでのスピード感も、想像を絶する早さでした」と語る大川さん。「入社した翌週には、台湾の展示会に英語での説明担当として1週間出張しました。海外営業という職種でも、一般的にはまずは日本で研修を受け、実際に海外に行くのは半年後~1年後になることも多いと聞きますが、Fact Baseは全く違いました」
こうして2025年2月にFact Baseに海外営業として入社した大川さん。同社における営業の仕事内容と特徴についてこう解説する。
私のミッションは、海外営業としてインドネシア市場を開拓することです。働き方は、担当地域によって様々ですが私の場合は月の半分は海外出張。日本とインドネシアを2週間ずつ行き来するサイクルで、日系企業の海外工場や現地企業への提案活動を行なっています。
そして、Fact Baseの仕事における最大の特長は、そのスピード感です。実はインドネシア拠点は2025年5月末に現地法人の許可が下りたばかり。10月からは現地人スタッフも常駐を開始し、組織としてもよりパワーアップしました。2025年2月の入社から8ヵ月のうちにも、環境は目まぐるしく変化しており、人材業界でさまざまなベンチャー企業を見てきた私から見ても、そのスピードは圧倒的だと感じています。
では、なぜこれほどのスピード感で事業を拡大できているのか。その理由は、「強いサービス」と「営業の仕組み」にあります。
私たちのプロダクトは、国を選ばずシンプルで使いやすく、たとえ営業未経験でも提案しやすいことが特長。さらに、営業一人ひとりの架電数や訪問数といった活動量を細かく管理することで、メンバーがどこでつまずいているのか、ボトルネックを即座に特定できます。これにより改善サイクルを高速で回せるため、営業担当者の早期立ち上がりが可能になっています。加えて、経営陣の判断が非常に速く、毎月のように営業戦略がアップデートされることも、成長を加速させている大きな要因ですね。
実際に営業をする中で感じる仕事の「やりがい」とは──。
特に大きなやりがいを感じたのは、2025年7月に初めてインドネシアチームで目標を達成できた瞬間です。チーム一丸となって掴んだ初めての成果は感慨深く、みんなで顔を見合わせて喜びを分かち合ったことは今でも忘れられません。
もう1つは、お客様からいただく言葉ですね。提案させていただくと「こんな便利なサービスがあるなんて。もっと早く教えて欲しかった…!」といった言葉をいただくことが多く、日々の大きなモチベーションにつながっています。
さらに、インドネシア拠点の設立から5ヵ月以上が経ち、導入後の声も届き始めています。特に印象的だったのは、日系企業の支社長からいただいた「現地スタッフとの仕事がしやすくなったよ」という言葉。駐在員の方は必ずしも現地の言葉が堪能なわけではないため、言語の壁がマネジメントの障壁になることがあります。そこに、私たちのサービスが介在し、言葉の壁を越えて、チームを一つにするお手伝いができた。この事実に、大きな誇りを感じました。
こうした導入成功がきっかけとなり、お客様から別のお客様をご紹介いただく機会も増えています。なかには、海外拠点での利用実績が評価され、日本の本社に「逆輸入」される形で導入が決まる事例も出てきており、私たち自身も非常にワクワクとしています。

写真は、インドネシアでの展示会の様子。月の半分をインドネシアで過ごす大川さんは、働くなかで感じる自身の変化や、気を付けていることについてこう語る。「元々インドネシアにルーツがあるため、日常会話レベルのインドネシア語は話せました。しかし、ビジネスの現場はまた別物。現地スタッフの流暢なインドネシア語を聞くうちに実践的な表現を吸収していくうちに、語学力は日々向上していると実感しています。一方で、このようなライフスタイルにおいて体調管理は欠かせません。インドネシアは常夏ですが、日本は四季があるので、寒暖差の激しい環境を行き来するのは、身体への負担も大きくなります。営業活動に加えて、展示会などで出張日数が長くなる際は、より一層自己管理を徹底するように心がけています」

大川さんの転職前後での働きがいの変化を示すグラフ。社内での健全な競争・活気についてこう語る。「海外営業組織は国ごとに編成され、良い意味で競争環境があります。加えて、キーエンス仕込みの徹底した数字管理をはじめとする一流のノウハウに毎日触れながら営業を進めていくので、相乗効果でより自身の営業スキルも磨かれていくような手応えがあります」
そして取材後半に聞けたのが、大川さんが「仕事を通じて実現していきたいこと」について。彼の視線は、インドネシアの先、そして世界の市場へと向けられていた。
IPOを目指すこの熱気の中で、新たな市場を自らの手で創り出していきたいです。現在、営業組織は展開する国ごとにチームに分かれ、互いに切磋琢磨しているのですが、まずはその中でインドネシアチームとして導入社数1位を獲ることが当面の目標です。
そのためには、一人ひとりが営業としてさらに成長する必要があります。個人的にも、インドネシア拠点が立ち上がった暁には、「ぜひ他の国での市場開拓にも挑戦したい」と考えているので、どんな市場でも通用する「本質的な営業力」を身につけていきたいと考えています。
また、会社の急成長に伴い、今後も新たなチャンスが次々と生まれていくはずです。たとえば、0→1で新たな海外拠点を立ち上げる機会や、早くから責任ある役職に就くチャンスもあると思います。新しい挑戦に貪欲な私にとって、これほど魅力的な環境はありませんね。
最後に大川さんにとっての仕事とは――。
私にとって仕事は、完全に生活の一部。人生の多くの時間を費やすからこそ、仕事そのものを楽しみたいという思いが強いですね。学生が学校へ行くように、働くことがごく自然で前向きな毎日の一部であってほしい。Fact Baseは、まさにそんな理想を叶えられる場所だと確信しているので、これからもまだまだ走り続けていきたいです。

Fact Baseに広がる多様なキャリアパス
Fact Baseには、世界を舞台に活躍する多様なメンバーがいます。「国内営業の経験しかないけど海外営業に挑戦したい」「新規市場をゼロから立ち上げたい」「駐在員として海外現地で働きたい」「海外と日本の2拠点で働きたい」など。個人の希望を尊重し、それを実現するための方法や渡航準備等、会社が全面サポートします。また、現時点で海外経験や語学力に不安があっても問題ありません。実際に、英語が得意でなかったあるメンバーは、まずは国内営業からスタートし、タイミングをみて海外営業に挑戦し成果を出しています。安心してご応募ください。


