いま若手人材にとって、建設×テクノロジー「ConTech(Construction Tech)」は注目すべき領域の一つだといっていいだろう。約66兆円(*1)という巨大市場を持ち、人手不足や職人の高齢化、新型コロナウィルスの感染予防対策など数々の課題を前に、大きな変革のタイミングを迎えている。数多くのチャレンジのフィールドが広がっているといえるからだ。
実際にいま、数十億円の資金調達を手掛ける有力なスタートアップが次々に登場。AI、IoT、ドローンをはじめとした新たなソリューションの開発、現場への導入も進められる。その動向とともに、関連求人を見ていこう。
テクノロジーによって、あらゆる業界に変化が起こる昨今。もちろん、建設業界も例外ではない。たとえば、5GやVR技術を活用した「建設機械の遠隔操作」の実証試験が進み、ドローンによる測量システム、VRによる設計ソフトなどはすでに製品化された。さまざまな領域においてテクノロジーの活用が進んでいる。
同時に、Con-Techサービスを手がける企業への投資額は急速な拡大傾向を見せている。CB insightsの調査によると、2013年から3年間で世界における投資額は約5倍へ(*2)。
さらには、大手テクノロジー企業による同領域への参入も進む。たとえば、オラクルは建設業界向け契約・支払い関連クラウドサービスを提供する「Textura」を600億円超で買収、コワーキングスペース大手のWeWorkは建設業界向けSNSサービスを提供する「Fieldlens」を買収した。
国内においては、政府が2016年を「生産性革命元年」と位置づけ、テクノロジー活用による建設現場の生産性向上に、国家として取り組む方針を掲げた。数値目標としては、2025年までの2割向上が定められる(*3)。
こうした中、国内企業において積極的な取り組みが多く見受けられるようになった。
たとえば、建設機械メーカー大手のコマツは、測量、施行計画、現場でのオペレーションなど、あらゆる工程をICTでつなぐ「スマートコントラクション」を提供。2017年には、アメリカのAI開発大手「NVIDIA」との連携を開始した。AI活用により、さらなるサービス拡張が期待される。
さらに、大手ゼネコンの清水建設は人の代わりに溶接などを行なう「建設ロボット」を発表した。AIを搭載し、周囲の状況を把握しながら、自動で鉄鋼の溶接や天井へのパネルの取り付けが可能に。ロボットの導入により、8割近い人的コスト削減を見込んでいる。
それでは今、どういった企業が募集を行なっているのか。とくに求人が多く見られたのが、スタートアップ企業による募集だ。
たとえば、クラウド型建設プロジェクト管理サービス『ANDPAD』を展開する「アンドパッド」。2020年10月には、Salesforce Venturesなどから総額60億円の資金調達を発表するなど、市場からの評価・注目度の高さが伺える。
『ANDPAD』は、建設現場の効率化から経営改善まで一元管理が可能なサービスだ。直感的で使いやすさにこだわった開発、導入・活用への徹底したサポートで、2016年のリリースから契約社数2,000社、利用社数50,000社を突破。長年困難とされてきた建設現場の施工管理における効率化を実現している。
フィールドセールスリーダー、営業企画、UI/UXデザイナーなど、複数ポジションでの募集が見受けられた。
もう一つ注目したいのが、建設現場と職人を結ぶマッチングサービス『助太刀』を運営する、助太刀社。そもそも建設現場では仲間内での紹介や電話を使った交渉など、ある種非効率とも言える人材採用が行なわれてきた。同サービスでは、スマホで手軽に最適な職人への仕事依頼が可能となる。
近年では、金融やECをはじめ、建設×テクノロジーを軸に新規事業の立ち上げを推進。セールス、カスタマーサクセス、プロダクトマネージャーなど、採用においても積極的な姿勢が見受けられる。事業拡大フェーズのいま、多くのチャレンジングな環境、成長の機会が用意されているといっていいだろう。
今後、変革のタイミングにある建設業界。ConTechはマーケットとしても、さらなる拡大を見せていくはずだ。巨大なレガシー産業の課題を、テクノロジーで解決していく。非常に大きなやりがいもあるといえる。ぜひ、実際の求人をチェックしてみてほしい。
(*1)ICT の経済分析に関する調査(総務省)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/r01_01.pdf
(*2)テクノロジーで建設業を進化させるConstruction-Techに取り組むスタートアップ、「Photoruction」のリリースおよび約1億円の資金調達を実施
https://japan.cnet.com/release/30198468/
(*3)建設現場の生産性革命の推進について(経済産業省)
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000660727.pdf