デロイトは2020年12月、「日本テクノロジーFast50」を発表。これは、上場・未上場問わず成長率が高かった企業のランキングだ。スタートアップが数多くランクイン。特にAI、データ分析、クラウド等の企業が目立った。具体的に見ていこう。
企業規模に関わらない、「成長性や成功を知る指標」の1つとして注目されるのが、「日本テクノロジーFast50」だ。デロイトが毎年行なっているランキングプログラムで、上場・未上場問わず、過去3決算期の収益(売上高)に基づく成長率でランク付けしている。
対象となるのは、下記の6つの領域のいずれかに従事する、日本資本の企業だ。
・ハードウェア
・ソフトウェア
・通信
・メディア
・ライフサイエンス
・クリーンテック(再生技術、エネルギー貯蔵、ゼロエミッション車両、スマートシティ 他)
事業領域別で見ると、一番多かったのは「ソフトウェア」で26社。ついで、「メディア」が10社、「通信」が8社と続く。
「クリーンテック」で2社、「ハードウェア」で3社、「ライフサイエンス」で1社もランクイン。いずれもAI、データ分析、クラウドなど、近年の注目領域で事業を展開する企業が目立った。
受賞企業50社の3決算期売上高成長率の平均値は304%。なかでも、TOP3である「スタメン」は成長率5,914%を記録。2位の「カンム」は1,787%、3位の「A.L.I.Technologies」は1,014%と、圧倒的な成長率を見せた(*)。
(*)テクノロジー企業成長率ランキング「デロイト トウシュ トーマツ リミテッド 2020年日本テクノロジー Fast 50」発表
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20201210.html
2020年の日本テクノロジーFast50の中から、とくに採用を強化している企業をピックアップした。実際の求人とともに、企業概要を紹介していこう。
「空飛ぶバイク」「ドローン」などの事業を手掛けるのが、エアーモビリティスタートアップA.L.I.Technologies社。2021年、地上から浮上して走行するモビリティ『XTURISMO(エックストゥーリスモ)』のリリースを予定している。『XTURISMO』は、水の上や砂漠、岩場など、道路のない場所での移動を容易にする。たとえば、直線的な移動が可能になり、移動時間は大幅に短縮。また、道路が遮断された被災地に、水・食料などの物資や医療従事者を届けるなど、救援活動での活用も考えられるという。
>>>A.L.I.Technologiesの求人一覧はこちら
2020年3月に東証マザーズ上場、「さまざまなビジネス領域の経験者に1時間から対面や電話で相談できる、日本最大級のナレッジプラットフォーム」を運営するのがビザスク社だ。ビザスクを使えば、リアルで鮮度の高い一次情報を、効率的にとりにいくことが可能。ユーザーインタビューをしたい、新規事業や海外進出にむけた情報収集をしたい、起業のアドバイスがほしい…こうした様々なシーンで活用されている。コロナ禍、テレワークの普及で、浮いた通勤時間をビザスクでのアドバイスに充てる人も増加しているという。
2016年12月に東証一部上場、スマートフォンメディ事業を展開するのが、セレス社だ。O2Oという言葉もまだ聞かれなかった頃から、ネットの世界と現実世界をつなぎわせるサービスを提供するべく創業。WEBサイトで簡単に節約・副業ができるポイントサイト『モッピー』は、累計会員数800万人超(*)の国内最大級のメディアに成長した。新規事業として、暗号通貨関連事業などにも乗り出している。
(*)Moppy | 累計会員数800万人突破~
https://pc.moppy.jp/news/detail.php?news_id=1111
人材管理システムでは5年連続シェアNo.1を誇っているのがカオナビ社だ。同社のSaaS型タレントマネジメントシステム『カオナビ』を使えば、社員の顔、名前や経験、評価、スキル、才能など、これまでバラバラに管理されていた情報を一元管理し、可視化できる。社員の顔をアイコン化し、直感的に操作できることも特長だ。2020年3月時点では、業種や企業規模問わず1800社が導入(*1)。2024年までには売上100億円(2020年3月時点の3~4倍)を見据えている(*2)。
(*1)カオナビ
https://www.kaonavi.jp/support
(*2)導入事例 | カオナビ
https://www.kaonavi.jp/showcase/
(*3)2021 年3月期第1四半期決算説明資料 | カオナビ
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4435/tdnet/1876230/00.pdf
資金調達額12億円超、2015年に設立されたデジタルマーケティング・スタートアップ toBeマーケティング社。MAツール、CRMツールを組み合わせた導入支援・活用コンサルティングを手がけ、顧客企業のより高度なマーケティング・営業活動を実現させている。単なるツール導入に留まらず、ツール活用を補完するオリジナルサービスを開発、24時間365日質問の受付ができる専用のコミュニティサイトを展開。顧客企業のマーケティング効果最大化を実現している。
金融機関とユーザーの間に存在する情報格差を解消するーーこれを掲げるFinTechベンチャーがZUU社だ。月間400万人が訪問する国内最大級の金融経済メディア「ZUU online」を持ち、豊富なユーザー情報をもとに、Web広告やコンテンツマーケティングを展開。たとえば、銀行などが金融商品を新たにリリースする時など、その企画フェーズから入り込んで、支援することも。膨大なデータを武器に、ユーザーに対してパーソナライズされたお金の情報を届けることができる。2020年12月には、横浜FCとスポンサー契約、業務提携を実施。FCを支援する地域企業に対し、様々な取り組みを行なうことで地域経済活性化に貢献していくという(*)。
(*)ZUU、横浜FCとスポンサー契約および業務提携についてお知らせ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000103.000031688.html
国内医師の3人に1人が参加するドクタープラットフォーム『MedPeer』を運営するのがメドピア社。『MedPeer』は、薬剤評価、症例相談、症例検討会など医師による活発な情報共有がプラットフォーム内で行なわれる。いわば医師たちの集合知、医師向けのソーシャルネットワークサービスを提供することにより、医療現場の課題解決を促している。2020年10月には、AIや深層学習技術開発のPKSHA Technologyと合同会社「メドクロスア株式会社」を設立(*)し、注目が高まっている。
(*)日本経済新聞|<マザーズ>パークシャが6%高 メドピアと合弁会社を設立
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL29HNA_Z21C20A0000000?unlock=1
2017年に3.5億円の資金調達を実施し、マーケティングDXを目的としたSaaSツールなどを提供するのがWACUL社だ。同社が提供する「AIアナリスト・シリーズ」なら、Google Analyticsのデータを元に、課題発見から改善提案まで自動で行なうことが可能。アクセス解析ツールと連携し、データを自動で分析してくれる。サービスローンチして約5年間で、累計33,000サイト以上に導入されている。
トータルEC支援ソリューションを提供するのがオークファングループ。オークション・ショッピングの相場検索・価格比較サービス「aucfan.com」をはじめ、仕入れのための法人向けサービス「NETSEA(ネッシー)」、従来廃棄されていた商品をオトクに購入でき、かつ購入者が選んだ社会貢献活動団体に売上の一部を寄付できるショッピングサイト「otameshi(オタメシ) 」、ネットショップ運営一元管理ツール「タテンポガイド」などを提供。顧客は、小売・流通業の大企業から副業・個人ユーザーまで幅広い。2020年4月には、小売業向けのSaaS「在庫管理AI zaicoban」をリリース。世界で年間100兆円分にものぼる廃棄ロスの課題に挑む。
2020年10月には東証マザーズ上場、子育て向け健康管理アプリを運営するカラダノート社。たとえば、妊娠中に感じる不安の解消をはかる『ママびより』、陣痛間隔を計測するアプリ『陣痛きたかも』、赤ちゃんの月例によって食べていいもの・食べられる状態を分かりやすく伝える『ステップ離乳食』などを提供。ママ層を中心に80万世帯のデータを蓄積している。今後は55~65歳の“初孫世代”も取り込んでいくほか、他社との提携・M&A、アプリの月額課金制への移行も見据えるという(*)。
(*)カラダノートの佐藤社長「子育てアプリ 月額制検討」|日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65067730V11C20A0000000/
そのほか、2020年12月現在、「カンム」「AI inside」「自律制御システム研究所」なども募集をしていた。成長企業に参画するチャンスを逃さないでほしい。