コロナ禍において、移動は制限され、接触の回避が常態化。こうしたなか、現実世界の不便さを解決する手段として、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)への注目が高まっている。各社の最新動向に迫った。
VR/ARのグローバル市場は、2020年から24年までに市場規模が約1兆2,440億円から約7兆5,465億円に拡大するとの予測も。年率54%の成長が見込まれている(*)。
特に2020年から続くコロナ禍において、VR/ARへの関心は高まっていると言えるだろう。VRのヘッドセットなどの売り上げ状況・予測からも見て取れる。
例えばFacebook傘下のOculusのVRヘッドセットでいえば、最新モデル「Oculus Quest 2」のプレオーダー数は、前モデルの5倍に。2025年のOculus・Quest シリーズの年間販売台数は、2020年比4倍以上となる560万台に達するとの見方もある(*)。
同時にソフト面でも、提供されるコンテンツが多様化。従来はゲームが牽引してきた VR市場だが、近年はアイドルのライブやスポーツ分野などでVR配信が活発となっている。
スポーツ観戦を見てみると、2020年~2021年にかけて様々な領域で活用が進んだ。
2020年8月には、NBAとOculusが、VRを活用した試合観戦体験の向上を目的として複数年契約を締結。国内では、ソフトバンクが2020年7月、本拠地PayPayドームで開催する公式戦全60試合をVRライブ配信した。
またARを見ても、様々な展開が見て取れる。例えばKDDIは2020年11月、ARと現代アート作品を体験できるアプリ「AR×ART」を開始。5G登場でよりAR/VRが身近になることを見越して、5Gスマホと接続するだけで手軽にVRやARを扱えるARグラス「NrealLight」の発売も行っている。
コロナ禍を契機に、VR/AR技術導入の気運が高まっている今、働く環境としてもチャレンジングなフィールドが広がっていると言えるだろう。
もう一つ、VR/ARビジネスの潮流として、活用シーンの広がりについても見ておきたい。
これまでエンタメ領域を中心に利用されてきたVR/ARだが、あらゆる産業での活用も進んでいる。とくに急速な広まりを見せている領域の1つとしてあげられるのが、医療分野だ。
例えば、医療研修の場面においてVR活用が進められている。ジョリーグッド社が開発した医療研修向けの「オペクラウドVR」でいえば、手術室にいるかのような臨場感で執刀医の技を見ることを可能に。同時に名医の解説や、医療機器の情報も表示する。時間と場所を選ばず視聴でき、忙しい医師の研修を効率化、さらには技術の底上げにもつながっていくと期待できるといえるだろう。
また、ビジネスシーンでのVR活用も進んでいる。
例えばシナモン社が提供する、会議や展示会向けサービスの「NEUTRANS BIZ(ニュートランスビズ)」は、3DCGや全天球の360度映像といったVR技術を活用し、離れた場所にいる人との空間や体験の共有を実現する。VR空間の中でペンで空間にメモをしたり付箋を貼ることもでき、ブレインストーミングも、オフィスにいたときと近しい感覚で進められるという。コロナ禍、在宅勤務の広まりによって注目を集めている。
こうしたなか、採用市場においてもVR/AR関連職が見受けられるようになってきた。ぜひ実際の求人をチェックしてみて欲しい。
(*)2021年は「真のVR元年」に?消費者・企業・制作テクノロジー動向に見る、予想されるVRトレンド|MarkeZine
https://markezine.jp/article/detail/35344