2022年、マンガ業界の一つのトレンドとして注目される、縦型スクロールのデジタルコミック「Webtoon(ウェブトゥーン)」。日本でも事業として参入する企業が見受けられるように。求人と合わせて見ていこう。
韓国発祥のWebマンガ「Webtoon (ウェブトゥーン、WebとCartoonを組み合わせた造語)」。
「縦スクロール」であることが特長で、日本であれば右上から左下、アメリカであれば左上から右下、のような国による「マンガの読み方の差異」の影響を受けない。
さらに、出版が前提とされていないことからフルカラーで表現されることが多く、モノクロ作品と比べ臨場感と迫力を味わうことができるのも魅力だ。
スマホの小さな画面でもリッチな読書体験ができることから、「新しいマンガの形」として、アジア・欧米に広まり、世界的に人気が上昇している。
事実、世界のWebtoon市場は、2028年までに約3兆5,330億円(262億1,359万米ドル)に成長するという予測も(*)。2021年は約4,951億円(36億7347万米ドル)であることを考えると、今後急激な成長が期待されていることがわかるだろう。
(*)ウェブトゥーンの世界市場:規模・現状・予測 (2022年~2028年)
https://www.gii.co.jp/report/qyr1060036-global-webtoons-market-size-status-forecast.html
※2022年6月20日現在、1ドル=134.78円で計算
さらに注目したいのが、Webtoonから世界的なヒット作も続々と登場している点だ。
たとえば、Netflixがドラマ化して日本でも爆発的にヒットした『梨泰院クラス』をはじめ、『Sweet Home ー俺と世界の絶望ー』『わかっていても』『キム秘書はいったい、なぜ?』、これらも原作はWebtoonだ。
世界の市場を牽引するネイバー社、カカオエンターテイメント社では、自社サービスでしか読めないオリジナル作品を映像化し、グローバル認知度を獲得することにより、IP戦略を推進。加えて、ライセンス収益や、読者層の拡充へとつなげていくという。
世界的にWebtoonに注目が集まるなか、日本でも2021年以降、Webtoon市場には企業の参入が相次ぎ、目覚ましい動きを見せている。
たとえば大手出版社を例に見てみると、2021年8月にはKADOKAWAが縦スクロールの電子コミックを配信する「タテスクコミック」レーベルをリリース。小学館では2021年12月に縦スクロールマンガのアイデアを募集するプロジェクト『TOON GATE(トゥーンゲート)』を開始した。
もう一つ注目したいのが、これまでマンガ事業を手がけてこなかった企業の参入が活発となっている点だ。
たとえばソーシャルゲーム事業を主軸とする「ドリコム」や、YouTubeアニメの制作・配信などを手がける「ソラジマ」などが一例として挙げられる。
Webtoonは編集者のもと、原作やネーム、着彩など各工程を別のクリエイターにより分業する「スタジオ型」の制作体制が用いられるケースが多い。フルカラーという白黒以上の工数が必要とされるなか、週刊連載をする必要もあるためだ。
これは編集者とマンガ家の二人三脚で制作してきた従来の制作スタイルと異なり、出版社にも新たなノウハウが必要とされているといえる。
ある種フラットな競争環境である今、新規企業にもチャンスが広がっているはずだ。ぜひ実際の求人をチェックしてみてほしい。