INTERVIEW
グリー株式会社|経営企画

メタバース領域、海外ユーザー比率が8割強へ。10年後に覇権を握るために、グリーが貫く「長期志向」の挑戦

掲載日:2022/04/01更新日:2022/04/01

「ゲーム領域」「メタバース領域」「広告・メディア領域」を3本柱の事業に位置づけ、売上を拡大。大胆な投資にもアクセルを踏むグリー。「直近、事業のコンディションは全体的に非常にいい状態。さらに攻める上でも採用強化を図りたい」こう語ってくれたのが、執行役員/経営企画部長の杉山綱祐さん(33)だ。メタバース領域参入を舵取りした立役者の一人でもある。杉山さんが語ってくれたのは、10年後、グリーが世界で覇権を握るための長期志向での挑戦だ――。

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10年後の覇権を握るために。

「インターネットを通じて、世界をより良くする。」

このミッションを掲げ、多角的なインターネットビジネスを推し進めるグリー。現在、「ゲーム領域」「メタバース領域」「広告・メディア領域」を事業の3本柱に位置づけ、売上は拡大基調へ。そして未来への投資にも大胆に踏み出している。

「常に技術動向に目を配り、機会があれば思い切って市場に参入し、大胆に投資していく。10年後の覇権を狙って長期志向で投資し、挑戦し続けられる。ここがグリーの強みだと思います」

こう語ってくれたのが、執行役員/経営企画部長の杉山綱祐さん(33)だ。2016年、データアナリストから経営企画へ。それまで、ゲーム領域中心だった同社の事業展開において、「広告・メディア領域」「メタバース領域」への参入・事業立ち上げを牽引した立役者の一人だ。

大きな理想を実現していくために、10年スパンで投資し続けられるか。失敗しても、勝つまでやり続けられるか。

「グリーの場合、創業者である田中良和が代表として現在も陣頭指揮をとり、リスクをとった挑戦の意思決定ができる。ここも大きな特徴だと思います。資金力、そして開発力の強みを生かし、新たな機会に投資ができます」

その言葉を裏付けるように、2018年8月に開始したバーチャルライブ配信アプリ「REALITY」は既に63カ国・地域で展開。海外ユーザーが8割超を占めるという。また、「メタバース事業への100億円投資」の発表も大きな話題となった。

2021年から2022年にかけ、ゲーム領域でもヒットタイトルを世に送り出し、さらに広告・メディア事業でも、おでかけ情報サービス『aumo』が好調。小売店舗向けマーケティング支援のSaaSにも乗り出した。

「メタバースを中心に、グローバルで数億人規模のユーザーに利用されるサービスを創り上げたいと考えています」

どのようにしてグリーは10年後の覇権を狙うのか。杉山さんに詳しく伺った。

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グリー株式会社 執行役員 経営企画部 部長 杉山綱祐
2012年新卒入社。理論物理学専攻。大きな裁量と社員の人柄、急成長中の企業での実体験の貴重さに魅かれて、グリーに入社。粘り強さと飽くなき向上心をもって、グループの経営に参画。自ら社長を担っていると捉え、会社の舵を取る。

ゲーム領域、再び好調へ。日本発IP・開発力を生かしたヒット続く

直近、2022年6月期 第2四半期の決算短信(連結)が発表されたグリー。売上高で、331億8400万円*と前年同期比2.9%増と順調に売上が拡大している。

*2021年7月1日から12月31日の連結経営成績(累計)

2021年10月に株式会社バンダイナムコエンターテインメントより配信が開始されたゲームタイトル「転生したらスライムだった件 魔王と竜の建国譚」が好調に立ち上がったことも好業績の要因だ。

「マーケットそのものがグローバル全体で成長しているものの、当然、コンソールゲーム開発会社はじめ、スマホゲーム市場でも巨大な資本を持つ中国企業、韓国企業はじめ、競合も多く、外部環境的には依然として厳しさはあります。ただ、日本発のIPや、これまで培ってきたゲーム開発力の積み上げが強みとなっており、新たな技術への投資を続けており、その掛け合わせによって、グローバルでも戦えるはずです」

そこでは当然、ブロックチェーン、NFTをはじめとする新たな領域も視野に入るはずだ。

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2月10日にリリースされた『ヘブンバーンズレッド』は、シナリオライター麻枝准氏による完全新作によるドラマチックRPGとして話題を集め、わずか3日でDL数100万を突破。リリース後もさらにDL数を順調に伸ばし、既に2022年における大ヒットの見通しとなっている。

メタバース領域での挑戦

続いて伺えたのが、グリー100%子会社REALITYを中心とした「メタバース領域」での挑戦。バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」は63カ国・地域で展開。8割超が海外ユーザーが占め、グローバル展開を本格化させている。

「2018年にスタートした時点では、正直、ここまで海外で受け入れられるとは思っていませんでした。なぜここまで受け入れられたか。考察ですが、スマホ1台で「アバター作成」「コミュニケーション」「ライブ配信」ができるサービスが他にほとんどなく、早期に仕掛けることでフィットしたのではないかと考えています。アバターのテイストにしても、全く違和感なく海外で受け入れられていて。Netflixをはじめ、今や全世界に日本発のアニメも配信されており、受け入れられる土壌も出来ていたのかもしれません」

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バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」を入り口に、メタバース事業を本格化させていく。利用者はアバターで雑談、ゲーム実況などライブ配信を行なうことができる。視聴利用のみも可能で、配信者へのコメント、ギフトで配信を盛り上げる。最大8人まで通話ができるビデオチャット機能もリリースされた。

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今回の採用においてコーポレート部門強化も積極的に図るという杉山さん。「コーポレート部門の採用を積極的に行えるのは、まさにグループ全体のコンディションがいいから。事業の健全な成長を促進するためにも、基盤の強化が重要だと捉えています。それぞれの事業を子会社化して運営していますが、人事や広報、経理、法務、リスクマネジメントなど、コーポレート部門はグリー本体が持つ形態。子会社と密接に連携して仕事をする経験は、キャリアにとってもプラスになるはず。管理というと守りのイメージもありますが、ある意味“攻め”でもあります。今まさに再成長の過程にある当社ですが、「ものづくり」に徹底してこだわる風土、意欲が高い社員へどんどん権限委譲をしていくカルチャーがある。グループ会社が多くチャンスが多い。ここもチャレンジングな環境で働きたい方にとっては大きな魅力のひとつだと思います」

失敗しても諦めない。すべては最後に勝つためのプロセス

多岐にわたるポジションでの募集を行なうグリー。どういった人材がカルチャーフィットするのか、杉山さんの視点を伺うことができた。

「長期志向、という言葉で表現してきましたが、これは「やると覚悟を決めたら、失敗してもやり続ける」ということなんですよね。経営の考え方としても、長く戦い続けて、最後に勝つ。多少の失敗は気にしない、というか、あくまでプロセスであると考えます。これを「挑戦し続けられる良い環境」と感じられる方は活躍ができると思います。当然、新しい機会があれば、手を挙げてチャンスを掴みにいく。一方で、チャレンジすること、そして失敗することがつらいと感じる方だともしかすると、あまりフィットしないのかもしれません」

そしてもう一つ「つくる」にこだわり抜くカルチャーがグリーには脈々と根付いているという。

「創業者の田中が自分でつくったSNSがグリーの原点でもあります。そこには“自分たちでつくった、自分たちが良いと思えるものを売る”という、すごくシンプルなビジネスの思想があるように思います。ですので、なによりも社員全員「つくること」や「コンテンツ」へのこだわりは並外れている。そこへの愛が共有でき、得意分野をかけ合わせることのできる仲間が揃っている。ぜひここにも共感いただける方と働きたいですね」

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「あなたはこの会社をどうしたいと思っているか」

そして取材の終盤に伺えたのが、杉山さん自身のエピソード。彼はいかにして33歳という若さで執行役員、経営企画部長という要職を任されるに至ったのか。そこには「経営の圧倒的な当事者」となった、ある1日があったーー。

「もともとはコードも書いたり、データ分析をする、今でいうデータアナリストに近い仕事をしていたんですよね。そこから、2016年頃に経営企画部に異動となって。当時はまさにゲーム事業が振るわず、業績が悪化していた時期。経営判断としてさまざまな事業の取捨選択を考えなければいけない時期でもありました。莫大な投資をしてきた新規事業や海外のゲームスタジオをどうしていくべきか。私なりに数字に基づきながら、代表である田中に客観的な報告をしたのですが、そこですごく真剣に指摘されたんですよね。「あなたはこの会社をどうしたいと思っているんですか?」と。それまで、さまざまなリスクや、シビアな経営判断が迫られるなか、どこか他人事にしてしまっていて、会社のことを自分ごと化して考えられていませんでした。経営企画というと戦略立案、スマートな課題解決が仕事だと思われがちですが、全くそんなことはない。泥臭く、さまざまな人の立場、視点に立って一つひとつ物事を進めていく。その頃、真剣に田中と議論し、意見を聞き入れてもらえたことで、経営の視点、重さを知ることができたと思います」

そして2018年、ゲームだけではなく、広告・メディア領域、メタバース領域へと事業ポートフォリオを転換していった。その立役者の一人が杉山さんだった。

「財務的な視点でいえば、ゲーム領域のみでは収益がヒットに依存するため、どうしても不安定になってしまう。そこで、広告・メディア領域では積み上げていくことで経営の安定性を高める。そして、メタバース領域で未来への一手として勝負ができると考えました。ただ、これはあくまで結果論。出発点となった田中との議論は「グリーは何者になりたいのか」「この会社は何のためにあるのか」という部分でした。「ゲームが当たってよかった」ではなく、どこに向かっていくのか。そして、できること、強みは何か。その結果行き着いたのが「ゲーム」「メタバース」「広告・メディア」の3本柱でした」

仕事=難しい方程式を解き続けていきたい

最後に伺えたのが、杉山さんの仕事観について。彼にとっての「仕事」とはどういったものなのだろうか。

「私にとって仕事は“好きなこと”でしょうか。仕事って長く続け、積み重ねることで能力が磨かれ、与えられる影響範囲も大きくなるもの。だからこそ、いかに続けられるか。ただ、うまくいかないことが大半ですよね。そういった時でも「この仕事が好きだから気長にやっていこう」と思えることが大切かなと思っています。そもそも私はゲームやインターネットサービスが好きでグリーに入りました。間接的にでも良い製品を生み出し、フィードバックをもらえることがすごく楽しい。もうひとつ、課題を解決して感謝されることももちろんうれしいのですが、とにかく「面倒くさいこと」「難しいこと」を紐解きたい。昔からパズルや将棋、囲碁、シュミレーションゲームなどが好きだったのですが、近しい感覚かもしれない。まさに経営企画という職種は難しい方程式の連続。さまざまなオプションを考え、それらを解き明かしていく。そういったことをずっと考え続けていくことが好きなのかもしれません」

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