INTERVIEW
コミューン|CEO 高田優哉

世界10兆円、新興のカスタマーサクセス市場を狙う、コミューンの挑戦。19億円を調達、そしてグローバルへ。

掲載日:2022/03/16更新日:2022/03/17
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2021年9月に19.3億円を調達、米国拠点を置くなど「攻め」の事業展開が注目されるコミューン。ユーザーを抱える“あらゆる企業”が潜在顧客となる「カスタマーサクセス市場」の開拓者、SaaSスタートアップとして存在感を高めている。世界10兆円、国内だけで2兆円と概算するカスタマーサクセス市場とは。そして、なぜ彼らに熱視線が注がれるのか。CEOである高田優哉さんにお話を伺った。

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狙うは、世界10兆円のCS市場

ビジネスの成長、その鍵を握ると言われるのが「カスタマーサクセス/LTV(Life Time Value)向上」だ。

かんたんに言えば「1度売っておわり」ではなく、いかに顧客・ユーザーに商品・サービスを利用し続けてもらうか。より高い価値を感じてもらい、高頻度・高価格で買ってもらえるか。そして、つながり続けられるか。

BtoBはもちろん、BtoCを含め、あらゆる企業が「持続的なユーザーコミュニケーション」に課題を抱える。そういったなかで注目されるスタートアップがコミューンだ。

「カスタマーサクセスの関連ツールという切り口では、国内マーケットは300億円~500億円。グローバルは桁が変わり、顕在的なマーケットだけで3000億円~4000億円と言われています。さらに潜在的なところを含めれば、10兆円~20兆円規模と試算(*)しています。かなり大きなことを言うようですが、この市場を狙います」

(*)『MarketsandMarkets』参照した上でのコミューン社概算(https://www.marketsandmarkets.com/Market-Reports/customer-success-platforms-market-140271118.html#:~:text=%5B306%20Pages%20Report%5D%20The%20global,20.4%25%20during%20the%20forecast%20period)

こう語ってくれたのが、コミューン社のCEO 高田優哉さん。2022年よりグローバル展開を本格化させるにあたり、近々米国に移住予定だという。

なぜ、彼らが提供するカスタマーサクセスプラットフォームが支持されるのか。どういったサービスを競合と位置づけ、どのようなマーケットを狙っていくのか。その展望について伺った。

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高田優哉(たかだ・ゆうや)コミューン株式会社 代表取締役CEO
1991年生まれ。岩手県野田村出身。パリ農工大学留学を経て、東京大学農学部卒業。幼少期には国連での仕事を夢見て、インターンなどに参加。その後、「ビジネスを通じて世の中を良くしていく」という志のもと、2014年4月BCGに入社。東京、ロサンゼルス、上海オフィスで戦略コンサルティング業務(主にヘルスケア関連)に従事。2018年、コミューン株式会社を共同創業。創業当初はサプリメント関連事業を手掛けてきたがピボット。カスタマーサクセスプラットフォーム『commmune(コミューン)』を提供。ノーコードでカスタマイズできる利便性、ユーザー活動・コミュニケーションを活性化する機能性を備える。2022年2月にはカスタマーサクセスコントローラー『SuccessHub(サクセスハブ)』β版をリリースした。

カスタマーサクセス強化は、バーニングニーズへ

高田さんによれば、いわゆる「カスタマーサクセス」は概念としても新しく、市場としても新興。今まさに立ち上がりつつある市場だという。いわば、すぐに解決したい課題、ニーズに火か着く「バーニングニーズ」に近い状況だと分析する。

「企業の営業活動を支えるCRM、SFA、MAツールなどセールスやマーケティングに適したプロダクトは既にたくさんあり、利用されていますよね。ただ、これまで「カスタマーサクセスを強化したい」という時のソリューションはほとんどありませんでした。ですが、今後はあらゆる企業がカスタマーサクセスを最重視していく時代へ。LTVの最大化を重要なKPIとして取り組むようになってきています」

彼らはこの状況を、事業ビジョンと重ねて「企業とユーザーが融け合う社会を実現する」と表現する。

「企業とユーザーが融け合う、というのは、一緒に協力し合う関係になるということ。これまで企業とユーザーはサービスを与える側、受け取る側という“価値交換する関係”でした。これからはそうではなく、同じ方向を向く共創関係になる。いわゆる企業による“押し売り”もなくなっていく。ユーザーに本当に価値があるプロダクト、サービスが選ばれる時代になってきています」

そしてこの日本という市場にも、カスタマーサクセス支援における大きなチャンスがある。

「日本企業が中長期のグロースを目指す上でカスタマーサクセス/LTV向上は非常に重要なテーマとなります。日本は一定のマーケットサイズを持つ国のなかでも圧倒的なスピードで人口が減っている。当然、企業数もどんどん少なくなっており、この流れは加速し、マーケットは縮小していくでしょう。良い例えかわかりませんが、大きな池で釣りしていたつもりが、いつしか干上がってしまい、池がどんどん小さくなる状態です。去年より1匹でも多くの魚を釣ろうにも魚がいない。そこにコストがかかり過ぎてしまう。こういった課題が顕在化してきています」

要するに「新しい魚を釣るのが難しい状況=新規顧客獲得が難しい状況」だ。ここで重要になるのが「魚一匹あたりの価値を見直すこと=既存顧客との持続的な関係構築」というわけだ。

「一人ひとりのお客様、ユーザーに向き合い、どういった価値を提供すれば、収益を高めていけるか。まさに死活問題に。米国から始まったカスタマーサクセスの考え方、企業活動ですが、日本市場での成長スピードのほうが早い。ここはまさにニーズに火が着きかけている現れ。総人口が減れば、当然、雇用コストも、採用の難易度も上がり、セールス活動に人海戦術が使えない。そういった観点からも、さらにカスタマーサクセスの支援は求められていくはずです」

日本の市場環境を踏まえ、コミューンが提供する事業には大きな意義があると高田さんは言う。

「今後、日本の産業を持続的に成長させていこうと考えた時、カスタマーサクセスのニーズを満たすことは非常にクリティカル。私たちは市場を牽引し、先頭を走っている自負があります。私たちが成長することで、多くの事業者様のさらなる飛躍につながっていく。そういう意義があると考えています」

企業とユーザーのコミュニケーションインフラ

より具体的には、どのようなサービス、機能でカスタマーサクセス領域の強化を支援しているのだろうか。

「企業がユーザーと一括でコミュニケーションをとれる場、インフラをイメージいただくといいかと思います。たとえば、それまでヘルプページ、サポートセンター、イベントサイト、メルマガなどそれぞれのツールを使い、担当者がバラバラに使っていたものを一元化できます。ユーザーからフィードバックを得たり、データに基づき個別に“とってほしいアクション”をプッシュできたり、コミュニティ内でユーザー同士が教え合ったりと、双方向なコミュニケーションを実現します。ここはどうしても「売る時に最適化したツール」では行き届かない部分。まだまだ、デジタルな領域において、企業とユーザーのコミュニケーションインフラが未整備。データを分析していく上でも、それらを蓄積していくインフラが必要だと考えました」

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カスタマーサクセス(CS)プラットフォーム『commmune』。それまでの「売る」に最適化したツールで行き届かなかったインタラクティブな場、リッチなコミュニケーションを実現する。LTV向上はもちろん、マーケティング、セールス、プロダクト開発に活きる事例も出てきている。「たとえば、完全食品を販売するtoCサービスの事業者様でいえば、“お友達紹介数”の増加につながりました。また、ネットショップ運営事業者様でいえば、膨大なユーザーフィードバックをプロダクト開発に活かしていたりもします。こういった新規ユーザーの獲得を効率化したり、プロダクト開発に好影響を与えたり、カスタマーサクセス以外の側面においても効いてくるのはコミュニティの価値だと思います」と高田さん。

プロダクトの独自性は「toB」と「toC」のハイブリッド

コミュニティ、Q&A、ナレッジ、トレーニング、イベント、メール…カスタマーサクセス領域でこれらを一元管理していく。こう言葉にすれば、模倣されやすいようにも感じる。彼ら独自の強みはどこにあるのだろう。

「たとえば、大手であっても、似たプロダクト、サービスを開発するのは、かなり難易度が高いと思います。まず使う企業様が異なれば、提供するサービス利用者の「サクセス」の定義もバラバラ。それらに最適化しないといけないわけです。私たち自身、3年半ほど特化してやってきましたが、ようやくデータがたまり、少しずつ最適解が見えてきたところ。それでもまだまだ理想形には遠い」

その難易度の高さは、BtoBプロダクトと、toCサービスのSNSを同時につくるようなものだという。

「企業向けのツールとして提供していますが、その先にはエンドユーザーがいます。つまりCRMのようなデータ連携が必要な“BtoB向けのプロダクト”と、エンドユーザーがコミュニケーションしやすいUXの“SNS”を同時につくるイメージ。CRMに強い企業はエンドユーザー向けのUXが苦手ですし、SNSやUXが得意な企業はBtoBプロダクトを作ったことがない。どっちも満たすのは容易ではありません。この両立を諦めずにやり続けてきたことが私たちの強みかと思います」

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「社員にとって会社はキャリアを実現するための“乗り物”だと考えています。ぜひ、コミューンを成長させることで、自分の市場価値、キャリアの実現につなげてほしい」と高田さん。「確率論でいえば、今入社し、定年まで働くメンバーはほぼいないと思っていて。むしろ定年まで働く気満々の方はフィットしない(笑)遅かれ早かれそれぞれの道を歩むことになる。それであれば、「キャリアの重要な1ページをコミューンで過ごして良かった」と思ってもらいたい。人生の重要なハイライトになる、それが会社として目指すべき姿だと思っています」

目指すは「時価総額30兆円」のグローバル企業

このカスタマーサクセス領域をさらに攻めていくにあたり、市場の覇者である『Salesforce』の存在は無視できないだろう。

「『Salesforce』は先ほど申し上げた営業管理、営業支援などの、いわゆる「売るまでのコミュニケーション」に圧倒的な強みを持っていますが、「売った後のコミュニケーション」であるカスタマーサクセス領域に関しては、一部提供をしているものの、特化しているわけではありません。ここを私たちとしては狙いにいきたい。彼らはグローバルでの売上として約2兆円。時価総額は25兆円~30兆円ほど。彼らが「売るまで」に強みを持つチャンピオンなら、私たちは「売った後」のチャンピオンを目指す。今後「売った後」のマーケットにおいても同規模くらい大きくなっていくはず。ですので、売上2兆円、時価総額30兆円を目指したいです」

そして2022年、グローバル展開のためにCEOである高田さん自身、米国へ。コミューン社としてもセールス、カスタマーサクセス、米国事業立ち上げ(ビジネスサイド)、コーポレートなど全方位で採用強化を行なう。

「2022年は勝負の年だと位置づけています。そのアクセルを踏むためにも、80人ほどの社員を倍以上にしたい。これまで社員割合における30%以上を開発チームとしており、ここは変えずに強化します。グローバルで勝負ができる、強いプロダクトをつくっていく。グローバルでのライバルたちは100億円調達しています、既にユニコーンですといった会社も。彼らにどうやって勝つか。プロダクト開発の目線が自ずと上がりますし、このフェーズからグローバルに挑戦しているスタートアップは多くないと思いますので、ものすごくおもしろいはずです」

またビジネスサイドのやりがいも大きい、と高田さんは語る。

「まずCEOである私が米国にいるので、日本市場をどう攻めていくか、より大きな裁量を持ってチャレンジできる環境です。正直『commmune』は決してわかりやすいプロダクトではないですし、単価も安くない。つまりお客様の期待値が非常に高い。そのなかでいかに確度の高い提案ができるか。いかに質を高めながら、スケールさせられるか。事業機会を生み出していけるか。米国市場に挑戦するためにも、日本事業の売上と収益を伸ばすことは必須。根幹は日本での成功にかかっています」

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2022年2月、新サービスとして効率的なカスタマーサクセスを実現するアクション基盤『SuccessHub(サクセスハブ)』β版の提供を開始した。電話・メール・チャットツール・メッセンジャー…煩雑な顧客とのやりとりを一元化し、カスタマーサクセス担当者の業務負荷を軽減する。「『SuccessHub』は新規事業ですが、こちらも開発、セールス、CSと採用を強化します。広報や人事などは『commmune』と共通しますし、予算もあり、事業のフロントの部分にフォーカスできる環境だと思います。アセットが活用できる分、期待される成長スピードも速い。プレッシャーはあると思いますが、飛躍的に伸ばしていく経験ができるはずです」

ビジネスで世の中を良くしたい

そして最後に伺えたのが、高田さん自身の仕事観について。ボストンコンサルティンググループでの勤務経験を経て、なぜ、起業という道を選んだのか。

「答えはすごくシンプルで、世の中を良くしたいからです。子どもの頃からずっと“自分が世の中を良くしていかなければいけないんだ。そのために国連で働こう。”とずっと信じて過ごして暮らしてきて。もともと岩手県の沿岸の野田村という小さな村の出身なのですが、自分の将来に対してまわりの人たちも期待してくれたし、自分の可能性を疑いもしませんでした。それは、田舎だったからこそだと思います。誰かと比べられることも、出る杭を打たれることもなく、のびのびとした環境で育ちました。ただ、実際に国連などのインターンを経験してみて、ビジネスを通じて世の中を良くする方が自分に合っているなと。よりパッションを持てることがわかり、コンサルティングファームでビジネスを勉強して、起業をしました」

そんな高田さんにとって仕事とはーー。

「もしかしたら私は他の人よりも少し「死」を身近で感じているところはあるのかもしれません。というのも、東日本大震災の津波で、生まれ育った村が全て流されてしまった経験をしていて。人はかんたんに死んでしまうし、それがいつ来るかわからない。ただ、たとえ死んでしまっても奪えないものがある。その人が何をやったか。どんな働きをしたか。つまり「仕事」です。私が好きな吉田松陰の言葉で、「奪うことができないものは志である。 滅びないのはその働きである」という言葉があり、まさにそういった生き方がしたい。死を前に、意味のあることをする。生きた証は、自分がどういった働きをしたかだけ。そういった思いを忘れず、日々仕事と向き合い、挑戦し続けていきます」

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