INTERVIEW
株式会社助太刀 | 取締役 COO 添田優作

売上340%、組織300%成長! 建設業界に「データ」でイノベーションを起こす「助太刀」の勝算

掲載日:2022/05/02更新日:2024/02/16
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市場規模60兆円を超える超巨大市場でありながら、深刻な人手不足が課題となる建設業界、その救世主となるか――。人材マッチングの「助太刀」が躍進を続ける。売上高は昨年対比約3.4倍(2022年2月期)、従業員数も約3倍へ。2022年8月には1フロア300坪超のオフィス移転を計画する。彼らが掲げるのは「建設現場を魅力ある職場に。」というミッション。強みは、唯一無二の人材データベース。建設業界にどのようなイノベーションを起こしていくのか。外資系コンサル等を経て、同社取締役COOを務める添田優作さん(38)を取材した。

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堅調な建設需要、人材不足の課題に「助太刀」を。

建設業界に人材マッチングの概念・仕組みをもたらし、躍進を続けているのが「助太刀」だ。創業5年で現場の職人をはじめ、登録者数は17万人超へ。圧倒的なシェアを誇る。

その業界動向について、同社取締役COOを務める添田優作さん(38)が解説をしてくれた。

「国内における建設投資額は毎年約60兆円ほどで推移しており、特にインフラ関連の建設は堅調な需要があります。近年は災害対策、国土の強靭化のための土木工事等も活発です。また、前々回の東京オリンピックが開催された1964年前後、高度経済成長期に建設された高速道路等、インフラの老朽化に伴う修繕、建て直し等も急務に。さらにコロナ禍によって物流センター、データセンター、5G基地局等の建設需要も高まりを見せています。一方で日本全体で労働人口が減少していくなか、建設業界全体でも人手不足がいよいよ深刻な課題となっています」

この大きな課題に対し、いかに「助太刀」は立ち向かい、ビジネス拡大を目指していくのか。彼らの独自性・強み、そして今後の構想について添田さんに伺った。

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取締役 COO 添田優作
東京大学 法学部卒。2007年ベイン・アンド・カンパニーに入社し、戦略コンサルティング業務に従事。2012年から3年間ベトナムに在住し、クッキングスクール・レストランの立ち上げやブライダルスタジオの経営を行う。2017年より株式会社夢真ホールディングスで常務取締役執行役員を務め、経営企画/M&A/人事制度構築/内部統制/IR/建設派遣技術者人材開発等管掌。2021年2月助太刀に参画した。

76職種を網羅。唯一無二の人材データベースが強み

まずはじめに伺えたのが同社の主力事業となる『助太刀』『助太刀社員』の概要、そして強みについて。

「いずれも法人のお客様が、いわゆる個人の受注者や工事会社、もしくは求職者を探せるツールです。収益でいえば、7~8割は法人によるもの。『助太刀』は月額3万円~の定額制で、何通でもメッセージを送れ、何人とつながっても料金は変わりません。『助太刀社員』は法人が求人掲載しつつ、スカウトを送り、正社員で働きたい人とマッチングしていくサービスです」

一見すると、それぞれ「スキマバイトアプリ」や「一般的な求人サービス」との差異はわかりづらい。しかし、そこには大きな違いがあるという。

「そもそも建設業界は、事前の能力評価や、書面での契約が法律的に必要となります。さらに安全書類の提出が求められることもあり、働き手がいきなり現場に入るのは非常にハードルが高いんです。もちろん、緊急性が高い現場は、スキマバイトや派遣スタッフのようなイメージで使っていただけるケースもありますが、多くは「長く付き合えるパートナーを探したい」といったマッチング。繁忙期に備えて取引先数や社員を増やしておきたいニーズに応えています」

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その強みは、屈指の人材データベースの質と量。建設業界ならではの構造に即したサービス設計により、高いマッチングの精度を実現している。

「『助太刀』は登録職種だけで76種類を網羅しています。建設業界における特徴として、外壁、内装、足場、解体…など、細分化された工程ごとに職人たちがいること。求められる技能レベルもさまざま。なので、マッチングの難易度が高い。そういった業界構造があるなか、細かくターゲティングできる媒体として『助太刀』が支持を得てきました。資格、技術名称など一部、職人さんに直接ヒアリングし、プロフィールを充実させるなどもしていて。今後は、人となりがわかる定性的な情報なども網羅し、職人さん同士の相性までマッチング精度を高めていければと考えています」

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「2022年4月にはアプリのアップデートも実施しました。たとえば『助太刀』に書くプロフィール情報をより網羅的にしていくために、UI改善なども行いました。アプリ施策なども裁量を持って高速でまわしていける。ここも助太刀ならではだと思います」と添田さん。

建設現場を魅力ある職場に。

マッチング精度に強みを持つ彼らだが、見据えているのは、さらにその先だ。

「既に高いスキルを持つ人と法人のマッチングは需要もあり、成果にもつながりやすい。ですが、それだけでは広がりがありません。そうではなくて「この技能を磨けば、このぐらいの給料がもらえる」「土日休みも選びやすくなる」など、キャリアパスや働き方の選択肢をつくっていくことを目指しています。今すぐは仕事に困ってない人でも、5年後も同じ取引先だけでやっていけるのか。どのくらいの市場価値があるのか。ステップアップできるのか。こういった不安を解消したい。そういった観点もあり、国土交通省が推進する「建設キャリアアップシステム(CCUS)」と連携・提携を開始しました。CCUSを持つ方は『助太刀』上に表示できます。いずれCCUSとの連携を強化し、一緒に技能者が、技能・経験に応じて適切に処遇される建設業を目指していきたい。まずはITを活用した高いマッチングができる市場を創造し、正しい情報を可視化し、非対称性をなくす。その中で個々人が成長できるような教育事業の展開も考えています」

*建設キャリアアップシステム(CCUS)…建設業共通の制度インフラとして、建設業団体と国交省が連携して官民一体で推進。技能者の資格や現場での就業履歴等を登録・蓄積し、技能・経験が客観的に評価されることで、技能者の適切な処遇につなげるため仕組み。「若い世代がキャリアパスや処遇の見通しをもてる」「技能・経験に応じて給与を引き上げる」「技能者を雇用し育成する企業が伸びていける」建設業を目指すもの。

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マーケットプレイス、フィンテック、ECにも展開を。助太刀のプラットフォーム構想

そういった「助太刀」で働くことのおもしろさはどこにあるのか。一般的なSaaSとの大きな違いは「手段に囚われずに業界を深掘りしていけるところ」だと添田さんは言う。

「私たちはとことん業界内での使われ方、状況を把握し、それに合わせたサービス設計を行っています。アプリなのか、Webなのか。SaaSなのか、従量課金型なのか。そういった「手段」を超越し、建設業界をどんどん深ぼっていける。ここはすごくおもしろいと思います。SaaSでありつつ、人を見つける/探すという意味だとマーケットプレイスの要素も強い。toBはオフィスでの使われ方、toCはアプリでの使われ方を現場にも出て考えていく。そこのシームレスな設計をしていきます」

さらに、個人がプロにリフォームや工事などを直接発注できるマーケットプレイス開発の可能性もゼロではないという。

「あくまで私の考えですが、個人が直接プロに簡易的な工事や作業などを依頼できるサービスを組み込むこともおもしろそうですよね。どのぐらいの技能がある人なのか。本当にその人は信用できるのか。「助太刀」で進めている信用スコアの可視化によって、そういったマーケットプレイスを開発していく可能性もあると思っています」

さらに同社では既にフィンテックやECなどの展開も推し進められている。

「当然、最も優先順位が高い課題は、人手不足の部分ですので、マッチングをやっていきます。ただ、ある程度のデータが蓄積されてきた時、すでに始めているフィンテックやECの事業にも広がりを持たせることができます。「助太刀」さえ入れておけば、あらゆる現場で必要な物は揃う。そういったプラットフォーム化を目指します。たとえば、職人さん自身にどういった技術があり、どこで誰と仕事したか、これまで世の中にはなかった情報です。そういったものがどんどん溜まっていくことで、給与や労災、工具売買・レンタルなど、あらゆるビジネスを生み出す基盤になる。そもそも建設業界に関連したビジネスは幅広く、深掘りしがいのあるはずです」

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世の中を良くしていくために、全体最適で課題解決を。

そして取材の終盤で伺えたのが、添田さん自身の「志」について。さまざまなキャリアを歩むなかで、彼は「助太刀」で何を実現しようとしているのか。

「仕事をする上でのベースは、世の中全体を良くしたい。そのための“全体最適”の実現に貢献したいという思いがあります。さまざまな仕事や役割を経験してきましたが、どうしても“部分最適”になってしまい、全体に対するインパクトが弱かったり、むしろマイナスになってしまったりする。日本の労働市場全体に照らしても言えることですし、特に建設業界は顕著かもしれません。

たとえば、日本の雇用慣行はメンバーシップ型と呼ばれ、新卒一括採用、終身雇用、年功序列賃金など、職に就くというよりひとつの会社に所属することを前提とした労働市場を形成してきました。

他方、アジア14ヶ国を対象にした調査では現在の職場で継続して働きたい人も転職したい人も日本が最低とのことです。また熱意を持って仕事に取り組むエンゲージメントスコアも日本は139ヶ国中132位です。

(参考)日経新聞 日本企業の「偽りの優しさ」https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60032360V10C22A4TCT000/

こうした事象を見ても、雇用の安定を重視するあまり個人のやりがいや意欲、ひいては社会全体での適材適所、産業間の労働移動のダイナミズムといったものを捨象しすぎてしまったのではないかと感じます。

建設業界における有効求人倍率でいえば、2021年で既に6.01倍と異常に高く、いよいよ需給が逼迫してきています。助太刀は、ここを全体最適的なアプローチで解決していけるポテンシャルを持っている。そこに一歩ずつ向かっている実感が大きなやりがいですし、仕事をする意味だと考えています」

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