INTERVIEW
FC今治 | 株式会社今治.夢スポーツ

農水省を経て「FC今治」へ。27歳の経営企画室メンバーが挑む、持続可能な地域社会づくり

掲載日:2022/08/16更新日:2022/08/30

愛媛県今治市を本拠地とするJ3サッカークラブ「FC今治」。その運営方針・取り組みは新たな「持続可能な地域社会づくり」のモデルとしても注目される。運営元は、元日本代表監督、岡田武史氏が会長を務める「今治.夢スポーツ」だ。今回お話を伺ったのは、同社で活躍する黒川浩太郎さん(27)。農林水産省を経て2019年に入社。パートナーシップ事業、里山スタジアムプロジェクトなど領域を横断して活躍する。その転職ストーリーと共に、今まさに新たな挑戦フェーズにある「今治.夢スポーツ」で働く魅力に迫っていこう。

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2023年、ホームスタジアム「里山スタジアム」誕生

今、地方創生の新たな挑戦が注目される「今治.夢スポーツ」。J3サッカークラブ「FC今治」の運営を基軸に、スポーツ/教育などの事業を展開。持続可能な地域社会づくり・経済における次世代のモデルケースを目指す。

2023年には、FC今治のホームグラウンド「里山スタジアム」が誕生する。目指すのは、何世代にもわたって愛される「まちのシンボル」だ。同プロジェクトにも積極的に参画する経営企画室メンバー、黒川浩太郎さん(27)はこう語る。

みんながどう楽しく過ごせる場所にしていくか。むしろ完成してからが勝負。「FC今治」がJ2、J1に昇格した時のことや、サスティナブルな経営を考えると、今よりさらに売上をあげていきたい考えです。特に企業に協賛いただくためのパートナーシップ事業は最も伸ばしたい領域。そういった意味でも今「今治.夢スポーツ」に加わることは、すごくやりがいがあり、面白いタイミングだと思います

もともと農林水産省で働いていた黒川さん。なぜ彼は「今治.夢スポーツ」に入社したのか。そしてどう活躍のフィールドを広げてきたのか。「今治.夢スポーツ」の取り組みと共に、そのストーリーを追っていこう。

今治.夢スポーツ1

里山スタジアムの完成予想図。サッカースタジアムを核に、地域とヒトをつなぎ、人々の感性を呼びおこす、次世代文化・交流拠点へ。【里山】空間は訪れる季節、時間ごとに違った風景を見せるという。地域の人々との共創をテーマに、アクティビティなどが体験できる開かれたスタジアムになる予定。地域や自然環境との連携、循環型の進化を目指す。

「物の豊かさより心の豊かさを」

もともと農林水産省で働き、法令・国会関係業務に携わっていた黒川さん。「今治.夢スポーツ」への入社のきっかけは、偶然、SNS経由で目にした求人だった。

▼2019年当時、黒川さんが入社時に参考にしたAMBI記事がこちら
岡田武史が挑む、今治創生プロジェクト「勝てるかわからない試合のほうが、ワクワクするじゃないですか」
https://en-ambi.com/featured/305/

入社の決め手となったのは、その企業理念だった。

「高校までサッカーに携わっていたこともあり、はじめはシンプルに「おもしろそう」と感じたのがきっかけでした。そこから会社について詳しく知るなかで、特に“次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する。”という理念にとても共感をしました」

もともと大学時代の講義を通じ、大量生産・大量消費の現代社会に違和感を持ち、農林水産省に入省した経緯もあった。振り返れば幼い時から有機農業などにも関心を持っていた。その中で「今治.夢スポーツ」が目指す、持続可能な地域社会・経済のあり方に惹かれていった。

「物質的な成長ばかりを追い求めても、サスティナブルではない時代が来る。そういった考えは常にあったように思います。 いかに今ある環境を大切にし、心の豊かさにつなげていけるか。ぐんぐん進むだけではなく、一度立ち止まって見つめていく。そういった部分への関心、やりたいことが重なりました。また、選考時には実際に今治を訪ねたのですが、『ありがとうサービス.夢スタジアム』なども見学することができ、すごくポジティブに感じたことを覚えています」

もし、同社に入社していなければ、そのまま農林水産省に残っていたという。当時応募したのも、同社1社のみだった。

「農林水産省での仕事においても決して大きな不満があったわけではありませんでした。ただ、自分がやりたいことに携われる部署に配属されるか。その時に良い上司や政治家がそろっているか。法改正案を提出したり新規に予算をつけたりすることができる流れがあるか。先々を考えた時、どうしても確率は低くなってしまう。そうであれば「今治.夢スポーツ」に入社し、今しかないチャンスに賭けたいと考えました」

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建設中の里山スタジアムと、黒川 浩太郎さん(27歳、パートナーシップグループ/経営企画室)
東京大学(法学部公法コース)では租税法と刑事訴訟法のゼミに所属、グループワークで調査・発表を実施。2017年、新卒で農林水産省に入省。消費・安全局総務課で1年、同植物防疫課で1年。国会関係業務・法令関係業務・総括業務を担当。2019年、SNSのニュースフィードの求人を経由し、株式会社今治.夢スポーツへ転職。「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する。」という理念に共感。現在、パートナーシップの拡充や畑作業、その他の各プロジェクトに尽力する。

パートナーシップ事業推進を担い、初年度から活躍へ

こうして今治.夢スポーツに入社した黒川さん。職種へのこだわりはなかったと当時を振り返る。当然、あらゆる業務が未経験。入社時に任されたのが、パートナーシップ事業における営業活動だった。

そのなかでも初年度から関わったのが、選手ユニフォーム「胸スポンサー=トップパートナー」の獲得。ユニ・チャーム社の協賛を得た経験が印象深いという。

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2022年 FC今治ユニフォーム

2020年からスタートし、2022年現在もパートナーシップ契約は継続。なぜ、こういった活躍につなげられたのか。控えめにこう振り返ってくれた。

「入社した2019年の秋、2020年のトップパートナーが決まっていない状況でした。四国中央市でお付き合いのあった経営者の方に素直にその状況をお話ししたところ、知り合いの方を辿っていただき、ご紹介いただけて。なぜ、ご紹介いただけたのか。後から聞いたところによると「FC今治は、口先だけではなく、本気で地域のために頑張ってくれている。だから一肌脱ごうと思った」と。共感・信頼といった「目に見えない資本」が大きな仕事につながる、そういった貴重な経験ができました

「FC今治」では、四国中央市内にある高校にて地域協働学習に参画。高校生に地元の魅力、地元企業を知ってもらう取り組みに協力していた。そういった活動の積み重ねが、地域に受け入れられ、愛されている所以だろう。

「パートナーシップ事業は、想いが重なる企業と協働し、双方の企業理念を実現していくことをミッションとしています。ですので、パートナーシップをお願いしていく上でも、単に「看板が出せる」「応援してほしい」と伝えるだけではありません。「FC今治」が地域社会の役に立ち、パートナーシップを結んでいただける企業も、その活動を通じ、世の中に役に立っていく。双方の理念達成につながる活動をし、発信していく。まさに共感いただき、協働していく。そういった関係構築は心がけているところだと思います」

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里山スタジアムプロジェクトでは、ぶどう畑づくりも

パートナーシップ事業推進を担う営業として入社した黒川さんだが、その活躍の舞台はさらに広がっている。

経営企画室では、パートナーシップ事業の推進に加えてさまざまな企業との協業検討、社内重要会議運営などを担当。さらにスタジアムへの来場者数アップのためのホームタウンプロジェクトにも加わる。

里山スタジアム建設では、土地借り入れについて市役所と調整も担った。ユニークなところでいえば、「ぶどう畑づくり」にも今まさに挑戦しているところだ。

「じつは里山スタジアムの借り入れ敷地内に広い斜面があり、"放っておくと草ばかり生えてくる。どうしよう"という話がありました。その時、岡田が「ぶどうを育て、ワインにして飲むのはどうか」と。「だれも本気にしてくれない」と嘆くのを見て、「とりあえず苗木を選ぶとしたら…」など提案していたら、いつの間にか私が主担当になっていました(笑) 正直、ちゃんとしたぶどうが育つかはわかりません。答えは早くて3年後の収穫時。ただ、里山は人の営みによって生物多様性が変わって維持されていくもの。人が自然に働きかけ、何か生きる糧を得て安定的に循環する。そういった意味合いがありますので、ぶどう畑がその象徴的な存在になっていたらいいですね」

さまざまな事業・プロジェクトでその存在感を発揮する黒川さん。なぜ、そういった動き方ができるのだろう。

「そもそも会社のメンバーは全員、職種にこだわらず、いろいろやっています。それが当たり前の環境と言えるかもしれません。アドバイザリーボードメンバーである田坂広志先生の「人は必ず死ぬ。人生は一度しかない。人はいつ死ぬかわからない」という言葉や、社員どうしの約束「プロミス」の一つである「遠い夢を追い、近くの目標を見つめ、今できることに全力を尽くす」という言葉をみんなが意識している。事業にしても、プロジェクトにしても「一番上手にやれる人」がやればいい。たまたま、私にできそうなことに手をつけていったら、今のような役割を担うことになったというだけだと思います」

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ぶどう畑と黒川さん
さらに「今治.夢スポーツ」が運営する野外体験教育プログラム「しまなみ野外学校」も自主的に手伝いも行っているという黒川さん。「ヒューマンディベロップメントグループのグループ長は、ツアーガイド、野外教育、震災復興のボランティアなどの経験が豊富な人で、近くで学びたいと思ったことがきっかけでした。いかに人の暮らしを自然のリズムと調和させられるか。これからの人生を次世代の教育に力を使おうと考えている人で、すごく尊敬していて。彼らのワークスペースの近くに勝手に席を置きはじめたら、補助金申請、契約書、提案書作成など私が得意なところ、事務処理などでお手伝いできることが見えてきて。彼らが現場のプログラムを磨くことに集中できるようなお手伝いができたらいいなと思っています」

みんなで分かち合う感動を。誰かの役に立つ心の豊かさを

そして取材の後半に伺えたのは、黒川さん自身の仕事観について。彼にとっての「仕事」とは、どのようなものなのだろう。

「仕事は、重要な一つの生きがいになっていいと思っています。ワークとライフを分けるよりも渾然一体。遊ぶように仕事をしてもいいですし、仕事をするように遊んでもいいのではないでしょうか。また、個人的には、どんどんお金を求めるような物質的な成長を目指すより、自分の心の動きに気づき、生きている実感、次世代に何かを残す想像力が働く。そういったゆとりある社会であってほしい。スポーツを通じ、あるいは野外体験教育や環境教育といった教育事業を通じ、持続可能な社会づくりに貢献したい。仕事を通じ、そういった世の中づくりに貢献していきたいですし、それができる会社だと思っています」

黒川さん自身、どういった時に、同社の理念にも掲げられている「心の豊かさ」を感じるか。取材の最後に伺うことができた。

「たとえば、応援するサッカーチームが勝利のために一生懸命がんばっていて、届かないかもしれないけれど、ボールに足をもう少し伸ばす。それをみんなで応援する。分かち合う。この感動は、一つの心の豊かさだと思います。より穏やかなものでいえば、ぶどうの苗木や土に向かっている時間、普段だったら目もくれない夕焼けの美しさに立ち止まって気づくこともそう。もう一つ、人の役に立っている、自分の力が少しでも足しになり、誰かが笑顔になったり、目標を達成できたりすることも私にとっては大切なこと。誰かに感謝されること、そして私自身も相手に対して「ありがとう」と言える。そういった人との関わりの中にこそ、私が思う心の豊かさはあるのかもしれません」

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