累計調達額217億円ーー国内外で攻勢をかけるスタートアップ「キャディ」。調達・製造サービス「CADDi MANUFACTURING」に加え、新規事業「CADDi DRAWER(キャディ ドロワー)」でも、さらなる事業強化へ。同事業ではどのような製造業の「負」を解決し、市場にインパクトをもたらしているのか。DRAWER事業本部の副事業本部長 兼 西日本営業部長である小池智也さんにお話を伺った。
CADDi DRAWERについて
図面データ活用クラウド「CADDi DRAWER」は、製造業における図面データの“資産化”を通じ、設計・調達・生産部門における大幅なコスト削減、DX推進を支援。これまで「紙」や「ローカルデータ」で管理されてきた図面データの「活用」にフォーカス。独自の画像解析アルゴリズム・AIによる「類似図面検索(特許出願中)」とテキストデータの紐づけによって過去の図面データのスピーディーな参照を可能にした。「図面自動解析」では登録した図面内のテキスト情報(部品名/材質/サプライヤー等)等を自動でデータ化。さらに「発注実績情報自動紐づけ」によって発注価格とサプライヤー情報を参照できるなど革新的なプロダクトとして注目される。
まずは「CADDi DRAWER」のこれまでの成長について伺ってもよろしいでしょうか。
「CADDi DRAWER」は、2022年6月にリリースしたプロダクトですが、1年でMRR(月次経常収益)は10倍を超える規模(*)になり、組織も100人以上と拡大しています。立ち上げから成長に向け、まさに全力でアクセルを踏んでいるところです。
(*参照)note「CADDi シリーズC資金調達にあたって ~これまでとこれから~」
https://note.com/ryohaga/n/ne8bc5d48dce2
その成長の要因とは?
正直、まだまだこの成長のスピードに満足していないので要因の分析は早いかもしれませんが(笑)強いて挙げるなら「市場においてお客様が求めていたものを提供できているから」に尽きると思います。実際の商談の場でも、ポジティブな反応しかない、市場から必要とされているプロダクトだと感じています。
具体的には、どういった課題を解消しているのでしょうか。
製造業において最重要とも言えるデータが「図面」なのですが、じつは多くの企業はその「活用」に課題を抱えています。数十万といった図面を「紙」で管理していたり、データ化しているものの情報の紐づけが不十分であったり。巨大な海の中に断片的な「情報」だけが溜まっているような状態。それらを上手く活用し、経営・事業を変えていく。図面データを“資産化”していく。これが「CADDi DRAWER」が提供している価値です。
例えば、これまでも「社内フォルダ」に図面を保管したり、専用ツールもあったりしたとは思うのですが、それらとの違いとは?
「管理」ではなく「活用」に踏み込んでいる点が大きな違いです。図面データを、あらゆる周辺情報と紐付け、すぐにアクセスができるようにしていきます。類似した図面をすぐに探し出せるだけでも「探せないから、またイチから作り直そう」といったムダを削減できます。つまり「使える」ようにするわけです。
例えば、どの会社に、いくらで、いつ発注した際の図面なのか。どのような算段で作成したか。どういった不良・トラブルが発生したか。これらのテキストデータ・情報と、寸法、材料、材質、加工方法、製造における注意書き、図番など「図面自体の情報」を掛け算していく。そうすることで「図面データ」の価値を高め、資産化を促します。こういった特化型のSaaSプロダクトは、大企業が数億円、数十億円といった規模で開発しているデータシステムでもカバーができていないところ。そういった領域で勝負できているのも特徴だと思います。
「膨大な図面データの活用は、新たな図面作成の効率化のみながらず、インシデントへの対応・対策、受発注業務の効率化、技術継承…あらゆる面でインパクトにつながります。「CADDi DRAWER」は製造業全体の生産性を飛躍的に高めていくはずです」と語ってくれた小池さん。
続いて、今このタイミングで「CADDi DRAWER」に携わるやりがいについて伺わせてください。
キャディ社内で自分が言うのもヘンな話ですが、「もう一社、スタートアップを立ち上げる」くらいの覚悟で挑戦をしています。「CADDi DRAWER」は新しく立ち上げるスタートアップであると。そう考えると、おもしろくないわけが無いですよね。お客様もエンタープライズ企業から、小さな町工場までさまざま。当然ですが、抱える課題感は全く異なります。ソリューションは企業によって異なりますし、プロダクト側はマーケットの声を直接反映させながら進化させ、セールス側はBizDevのような役割で事業機会そのものを創出していく。自らで価値をつくり出していける。ここは大きなやりがいになるはずです。
私自身、日々お客様と商談を行なっていますが、「CADDi DRAWERがあれば何ができるか」とディスカッションが盛り上がることも珍しくありません。会社をどう変えていきたいか。事業をどう伸ばしたいか。未来に向けた話し合いに発展していく。ここは非常に楽しいですし「図面データの活用」には、それだけの可能性があります。
キャディのミッションは「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」ことにあります。サプライチェーンを変革する「CADDi MANUFACTURING」、データを資産化する「CADDi DRAWER」の両輪で製造業を変えていく。デジタルによってさまざまな無駄を削減し、生み出した人材、時間、お金を、その企業の「成長」に投資いただき、一緒に製造業を変革していける。多くの企業と同じ志で未来を作っていけるのは醍醐味ですし、自身のキャリアにとっても大きな財産になるはずです。
「CADDi DRAWER」誕生のきっかけについて「自社での課題を解決するために開発されたものだった」と語ってくれた小池さん。「キャディが手掛ける調達・製造サービス「CADDi MANUFACTURING」では、受注から図面の分析、工場への発注、検査、納品まで手掛けており、膨大な図面データを取り扱っています。その管理についてソフトウェア的なアプローチで解決するために生まれたのが「CADDi DRAWER」でした。まさに自分たちが感じていた課題から生まれ、お客様から「ぜひ私たちにも使わせてほしい」と事業化へ。ものづくりのオペレーションで培った知見、そしてソフトウェアのテクノロジーを掛け合わせたプロダクトと言えます。社内の人材も、トヨタなど製造業出身者とIT業界の出身者、それぞれのプロフェッショナルが集まっている。この環境もキャディならでは強みです」
最後に、ご自身の仕事に対する価値観についても伺わせてください。小池さんにとって「仕事」とは何か、何のために働くのか、教えてください。
こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、どれだけ楽しめるか、遊びのように働けるか。それが私にとっての「仕事」のような気がします。誰もやっていないことをやる。困難なことにチャレンジする。常に新しいこと、エキサイティングなことをし続けていたい。
自身のキャリアを振り返ってみても、家業だった運送会社でのドライバー・取締役、そこから物流コンサルに転職し、ソフトバンクグループでの事業立ち上げ、キャディでは人事の責任者、セールスの責任者…と、職種も、業界も、常に新しい挑戦しかない(笑)
そもそも同じ人間であれば、根本的な「能力差」はあまり無いはず。徹底的にやればできる。あとはどれだけコミットできるか。こうして挑戦と変化を繰り返していくこと自体が楽しいですし、仕事の醍醐味だと思っています。そういった意味でも、キャディは挑戦と変化の連続。次の「新しいこと」に向け、私自身も仕事を楽しんでいければと思います。
小池さんが語る「目指す組織・求める人物像」について
キャディは社員数が500人を超えましたが、社内の雰囲気はスタートアップそのもの。一定の成功を収めた会社に思われがちですが、社員全員が「まだまだこれから」という強い思いで日々挑戦を続けています。特に「CADDi DRAWER」は新規事業です。メンバーに良く伝えているのは「私たちは2年目のスタートアップ“DRAWER株式会社”だ」ということ。顧客と向き合い、プロダクトを磨き上げ、“自分の力”で事業を成長させていく。製造業を「CADDi DRAWER」で変えていく。未来のスタンダードをつくる。すでにアメリカやベトナムでの展開をはじめていますが、世界に通用するプロダクトに磨き上げていく。まさに今が勝負のタイミング。バックグラウンドに関わらず、こういった環境を楽しめる方、当事者意識を持って挑戦したい方とぜひ一緒に働いていければと考えています。