INTERVIEW
神戸市「イノベーション専門官」公募|2024年度

神戸市と海外スタートアップの「架け橋」に。神戸市 イノベーション専門官として働く彼女の志

掲載日:2023/12/11更新日:2024/01/09

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神戸市から世界に羽ばたくスタートアップを。その支援を担うのが、神戸市役所で働く「イノベーション専門官」たちだ。現在、7名が専門官として在籍し、全員が民間企業出身者。メンバーたちのバックグラウンドもメーカー、教育関連、産業DX推進企業など多様だ。今回お話を伺ったのは、2023年8月に入庁した福田志織さん。日系大手シンクタンクのコンサルタントを経て、海外スタートアップ日本法人にて勤務。その後、神戸市へ。そこには“企業や人をつなぎ、社会課題の解決に挑みたい”という彼女の志があった――。

これまでの経験を活かし、神戸市のために働く選択

まずは応募のきっかけから伺ってもよろしいでしょうか。

もともと家族と一緒に神戸で暮らしていたのですが、偶然、神戸市役所が「イノベーション専門官」の募集を行っていると知って応募しました。7年ほど前に神戸に移住し、これまでは神戸から、フルリモートの制度を使って東京などの会社で働いてきたのですが、神戸で暮らすなかで、日々おもしろい人や企業に触れる機会もあり、一度はこのまちのために働いてみたいと。なので、いわゆる「転職活動」をしていたわけではなく、応募をしたのも神戸市だけでした。正直に言えば、これまでのキャリアもわりと行き当たりばったり選択してきたところがあり、今回も自分の直感を信じて深く考えずに応募したのですが(笑)漠然と将来こういうことをやってみたいな、そのためにはどんなステップが必要かな、と考えていたところに「ピンと来た」求人でした。

特に惹かれたポイントがあれば教えてください。

惹かれたという表現が正しいかわかりませんが、「イノベーション専門官」の募集を見た時、今までやってきたことが「線」としてつながる感覚はあったかもしれません。前々職はシンクタンクで働いており、官公庁のお客様に対して調査研究・コンサルティングを行っていて。さらに前職は米国スタートアップの日本法人で働いていました。行政とスタートアップ、その両方を見てきた経験が多少なりとも活かせるなら、ぜひ挑戦してみたいと考えました。

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福田 志織さん2011年4月、大手シンクタンクへ入社し、官公庁を顧客としたコンサルティング業務や、自治体・スタートアップと連携した法人向け事業企画を経験。その後、民間企業、革新性の高いビジネスによる課題解決に挑むために、米国系スタートアップ企業へ転職。日本法人・フルリモート勤務にて経営企画やプロダクトマネジメントに従事。2023年8月より神戸市へ。

日々、自分の「世界」が広がっていくやりがい

現在の仕事内容について、やりがいも含めて伺ってもよろしいでしょうか。

イノベーション専門官の主な仕事は、大きく言うと起業家やスタートアップ企業の支援全般を行うことです。そのなかでも、私は「女性起業家支援」と「グローバル支援」に携わっています。

いずれも新しい取り組みなので、そもそもどういった人たちに興味を持ってもらえるか。どういった支援が必要とされているのか。さまざまな部署、機関、企業、人と連携し、試行錯誤しながらプログラムを運営しているところです。

たとえば、日本のスタートアップ企業の海外展開支援で言えば、事業開発支援プログラムの提供だけではなく、個別に大使館から情報を得たり、プログラムに参加しているスタートアップを協働可能性のありそうな企業におつなぎしたり。逆に日本進出を検討している海外スタートアップの日本展開支援や、彼らと神戸市内・国内企業のマッチングも図っていきます。また、海外スタートアップとの良い出会いのためには、海外の現地アクセラレーター、VCといった支援機関との関係づくりも重要なので、海外出張や視察受入れ対応も行います。

さらに、スタートアップとの協働を必要としているのは民間企業だけではありません。神戸市も、行政として今後、どのように環境問題に取り組むのか、行政サービスを含むまちのデジタル化をどう進めていくのかなど、さまざまな問題に今まさに向き合っているところ。市民の生活がよりよいものになるよう、スタートアップと行政の各部署をつないでいくことも大事だなと思っています。

優れた技術やプロダクトを持つスタートアップと神戸市、そして国内企業とのコラボレーションを応援することで、どのようにあたらしい価値を生み出していけるか、日々考えています。特に神戸市はある程度のマーケットサイズがあり、企業、行政、人、それぞれの距離も近い。国内外のスタートアップが拠点を置く上でちょうどいいサイズと場所でもあるはず。国内でもまだあまり先行事例のないグローバル支援に挑戦ができる。気持ちや思いを共有しつつ、一歩一歩、未来に向かって進んでいける。この実感が得られるのは、神戸市ならではのやりがいだと思います。

やりがいの一方で、ミスマッチをしないためにも「事前に知っておくべき厳しさ」があれば教えてください。

日々多くのことを学び、大量のインプットをしていきます。ここは人によっては大変だと感じる部分かもしれません。日々やり取りするのは、国内外問わず、第一線で挑戦している方々です。先端技術・分野について議論したり、評価を求められたりすることも少なくありません。めまぐるしく変化する経済、ビジネスの動向、海外を含めた事例、政策などを、幅広く知っておく必要もあります。特にクライメートテック(気候テック)の技術動向についてはこれまでなじみがなかったので、本や記事、同僚から教えてもらったPodcastなどで勉強中です。

さらに、キャッチアップした情報をもとに、海外スタートアップや支援機関に対し英語でプレゼン、交渉、調整も必要になります。前職は米国発のスタートアップでしたが、むしろ今のほうが英語のインプット・アウトプットは多いかもしれません。なかなかチャレンジングな環境ではありますが、日々学びながら頑張っています。

一方で、私もそうなのですが、新しい出来事、出会い、発見に日々ワクワクできる方であれば、やはりやりがいのほうが大きい仕事だなと思います。もちろん大変なこともありますが、すごく楽しい環境であることに間違いありません。スタートアップはもちろん、大企業、中小企業、VC、海外の支援機関、市役所内の各部署…さまざまな人たちと日々お話をし、点と点がつながって新しいことが生まれていく。その瞬間に立ち会えるのは何よりもの喜びです。それらが大変さを乗り越えていく上でのモチベーションにもなっているような気がします。

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神戸市のイノベーション専門官は、3年間の任期付きとなる。「私は3年間という期間に区切って集中して仕事ができるとポジティブに捉えて応募しました」と語ってくれた福田さん。「3年後に社会がどうなっているのか、自分が何に興味があるのか、スピードが早い世界の中で想像することは難しいですよね。なので、ここで培った経験やスキルを、そのときの社会や自分の興味につなげて、3年後にまた新たなキャリアを選択したり、模索したりしていければと思っています」

絶えずある社会課題に、向き合い続けていく

今後、仕事を通じて実現したいこと、目標があれば教えてください。

人々の経済格差や環境問題など、社会には絶えず課題がありますが、それらを解決するために、ビジネスにどういう可能性があるのかというテーマに関心があります。もともと私は学生時代に教育社会学を専攻していて、ビジネスには一切興味のない学生だったのですが(笑)、学生時代やシンクタンクで勤務していた時期に、子どもの貧困や、就労困難な方の就労支援など、教育・福祉・就労が交わる領域での社会課題に対し、ビジネスの手法を用いて取り組む熱意ある方々との出会いがありました。もちろんこの領域の課題はビジネスだけで解決できるものではなく、政策・制度として対応すべき部分が多くありますが、あえてビジネスの手法を使うことで、制度とはまた異なるアプローチやスピード感で社会課題に挑むことができるのだと学び、大変感銘を受けたのがスタートアップビジネスに関心を持ったきっかけでした。

近年では、「ソーシャルスタートアップ」などと名乗っていなくても、ほとんどのスタートアップが社会の何らかの課題解決を志向しています。いまは行政の立場から、スタートアップ支援を通じて、さまざまな社会課題が少しでも解決に向かうよう貢献したいと思っています。神戸市での任期が終わる3年後、どういった社会になっているのか、その先にどのようなキャリアを選択するか、まだわかりませんが、社会課題×ビジネスの可能性を探求したい、という自分の興味関心は、今後も大事にしていきたいと思っているところです。

最後に、福田さんにとって「仕事」とはどういったものか。捉え方や価値観について教えてください。

「自分がやりたいこと」と「社会が求めていること」が重なるところ、結節点のようなものかなと思います。ただ単に自分が「したい」と思ったことをやっても、誰も求めていないものだったら、仕事にはならないかもしれない。なので、自分が心からワクワクすること、かつ、「社会」というと大げさですが、ほかの誰かに必要としてもらえたり、価値を感じてもらえたり、喜んでもらえるようなことがしたい。ここまでのキャリアでわかったのは、私は「0」から「1」を次々に生み出せるような天才ではないということ。ただ、これまでの経験、スキルを掛け算しつつ、目の前の人と向き合い、つなげていくことはできる。そして「1」が生まれるような支援や、「1」を「10」にするための支援はできるかもしれない。そんな「自分なりの価値」をこれからも模索していければと思います。

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