INTERVIEW
日本貿易振興機構(ジェトロ)

メーカー出身の彼女が「ジェトロ」で抱く志――日本企業の海外展開支援で「日本のものづくり」を世界へ

掲載日:2024/07/18更新日:2024/07/18
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日本貿易振興機構(ジェトロ)にて、2024年度の経験者採用・公募がスタートした。4ポジションで計10名採用を予定する。同募集に伴い、海外展開支援部 販路開拓課(機械・環境産業班)にて、課長代理として働く飯塚 南さんを取材した。もともと建機メーカーで働き、インド駐在なども経験してきた彼女。なぜ、新たなキャリアにジェトロを選んだのか。そこには「公的機関の立場から、広く日本企業の海外展開を支援していきたい」という熱い思いがあった――。

採用予定10名|日本貿易振興機構(ジェトロ)|2024年 民間人材公募プロジェクト

1)総合職…ジョブローテーションあり。将来的には地方や海外での勤務を含め、様々な可能性の中で長期的なキャリア形成を想定
2)プロモーション担当…日本産の農林水産物・食品のブランディングを担う
3)ヘルスケア担当…日本のヘルスケア産業を海外に広める
4)補助金事業担当…ASEAN加盟国にて日本企業が行う大型実証や生産設備導入を支援

「日本の経済・社会の更なる発展に貢献すること」を目指し、日本と世界の経済を繋ぐべく、政府関係機関である日本貿易振興機構(ジェトロ)。75の海外事務所と約50の国内拠点から成る国内外ネットワークを活用し、イノベーション創出支援、農林水産物・食品の輸出促進、中堅・中小企業の海外展開支援、最新の海外ビジネスの調査・研究、地方創生への貢献などに取り組む。日本の貿易をさらに伸ばし、日本経済・社会を発展させていくために、多様なバックグラウンドや専門性を持つ職員公募を行う。

「国をあげてのものづくり企業支援」に挑戦したい

2022年5月にジェトロに入構した飯塚さん。もともと建機メーカーで働き、インド駐在・新規事業戦略を担うなど活躍してきた彼女。ジェトロ入構の動機には、前職時代に抱いた「日本企業の海外展開を支援したい」という思いがあった。

公的機関、「国」としての立場から日本のものづくり企業の海外展開を広く支援していきたい。それがジェトロでなら実現できると考え、入構を決めました。

前職時代にインド駐在を経験しているのですが、そこで受けた衝撃も大きかったように思います。現地の人たちは、私が日本人だとわかった途端に日本の名だたる自動車ブランドの名前を挙げてくれたりもして(笑)いかに日本のものづくりが世界で愛され、信頼されているか、実感することができました。ただ、どうしても日本企業の場合は「個社ごとの戦い」になっており、海外勢に対抗できていない課題感もありました。

たとえば、中国や韓国の建機メーカーでいえば、一台数千万円するような建設機械をインド市場に展開するにあたり、「3ヶ月間は無料で使っていい。気に入ったら購入してほしい」という売り方をしており、すごく衝撃を受けました。まさに政府から資金的な援助があってこそできる売り方。「オールチャイナ」「オールコリア」で国をあげてシェアを奪いにくる“勢い”を目の当たりにしました。

もちろん、そんな風に売ってもメンテナンス体制がなければ、シェアは伸ばせません。品質、メンテナンス体制でいえば日本勢が強く、 結果として購入いただき、継続的に使っていただけることが多くありました。建設機械に限らず、そういった「品質とフォロー」という日本企業の強みを活かしつつ「国をあげてのものづくり支援」ができれば、日本企業のプレゼンスは競争が激化する海外でもより高めていけるはず。そういった思いをジェトロで広く叶えたいと思いました。

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新卒で建機メーカーに就職し、広報・経営企画を経験後、インド 現地法人にてマーケティング・輸出入業務を担当したという飯塚さん。帰国後には建設機械のリモート操作に関わる新規事業の戦略立案なども担当してきた。ジェトロ入構に際し、理事長との最終面接があったと振り返る。「日本のものづくり企業は海外でどうすればシェアを上げていけるか。そういった意見を求められたと記憶しています。まさに自分がインドで経験したことを踏まえて必死に答えたのですが、自分の目で見て、肌で感じた危機感、強い思いを直接お話できたところは良かったのかなと思います。」

「海外ビジネスが生まれる瞬間」に立ち会うやりがい

こうしてジェトロに入構した飯塚さん。現在、海外展開支援部 販路開拓課(機械・環境産業班)にて、課長代理として活躍する。その仕事内容・ミッションとは。

主に私が担当しているのは、中堅・中小企業の海外展開支援です。とくに機械・環境分野をはじめとするメーカー企業様のご支援が中心となります(*)。現在はタイ、インド、チェコ共和国を中心に、現地の見本市・商談会への参加支援などを行っています。また、海外のバイヤー・代理店・販売代行企業のリサーチやマッチングなども積極的に行っており、海外展開を強化したいというものづくり企業の支援を担っています。

(*)ジェトロの海外展開支援部 販路開拓課には、ファッション・雑貨・伝統工芸品・化粧品などを扱う「ライフスタイル産業班」、医療機器など扱う「ヘルスケア産業班」、そして飯塚さんが所属する「機械・環境産業班」の3つがあるという。ジェトロ全体では、越境EC等デジタル事業の活用による海外販路開拓支援、新輸出大国コンソーシアムなどを通じた全国の自治体や金融機関などとの連携支援、見本市・商談会の開催、専門家によるハンズオン支援など「海外市場に勝てる企業の育成」に取り組んでいる。

実際の支援を通じ、海外ビジネスが生まれる瞬間に立ち会うことも少なくない。見本市での成果含め、そこには大きなやりがいがあるという。

以前、タイの見本市を担当したのですが、そこに初めて参加された日本企業様から「現地の企業・代理店との商談に加え、大学から“取引したい”と反応があり、商談が進んだ。まさかこういった可能性があるとは思わなかった」といった声をいただき、私たちとしてもすごく嬉しかったですね。

また、さまざまな企業様の出展支援をしていますが、次世代を担う若手社員の方々が現地に同行するケースも多く、そういった姿を目にするのも胸が熱くなりますね。「人を育てる」という日本企業ならではの経営者のレガシーが受け継がれ、その会社の未来への足がかりになる。そういった瞬間に立ち会えるのはジェトロならではのやりがいと言えるかもしれません。

やりがいの一方で、ミスマッチをしないために知っておくべき「厳しさ」についても伺うことができた。

民間企業との大きな違いでいえば、税金によって成り立っている組織でもあるので「どういったお金の使い方をしているか」「どういった活動をしているか」「どういった成果につながっているか」といった説明責任が問われます。資料一つとっても透明性、客観性、正確性が求められます。承認や決裁の手続きの回数も民間企業と比べて決して少ないとは言えません。なので、正直、見本市・商談会にしても本番を迎えるまでは地味な事務作業も多いと思います。私自身は「これもものづくりの現場で働くみなさんのためになる仕事だ」と自分に言い聞かせながら日々向き合っていて(笑)、このあたりは事前に知っておくとギャップが少ないかなと思います。

もう一つ、ジェトロはさまざまな産業・分野をカバーしていることもあり、一見するとそれぞれの部署の役割が細かく分かれ、独立して動いているように見えるかもしれません。私も入構当初、他部署とは距離があるのかな?感じていたことも。ですが、自ら情報を取りにいったり、声をかけたりすることで、快く協力をしてもらえますし、連携ができます。ですので、受け身ではなく、主体的に自ら働きかけるスタンスは大切だと思います。

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ジェトロで働く魅力の一つに「人」についても挙げてくれた飯塚さん。「みなさんエピソードトークがおもしろいのが共通項のように思います(笑)。やはり海外出張や赴任が多いからかも。私自身、入構から約2年が経ちますが、今の班だと一番の古株。みなさん異動していってしまうので多少の寂しさはありつつ、多様な経験ができる良い環境だと思っています。また、人の異動が多くても、プロジェクトが滞りなく進む。そういった体制・組織的な強さはありますね。」

これからの世界に「日本のものづくり」を引き継ぎたい

最後に伺った、これからの目標、そして「仕事との向き合い方」について。

これからの世界に「日本のものづくり」を引き継いでいきたいですし、そこに貢献できるよう一生懸命働いていきたいなと思っています。もともと建機メーカーで働いていたこともあり、きっと原点には「ものづくりは楽しい」「現場で働くみなさんのために働きたい」という思いがあって。前職時代にも一見すると気難しそうな「技術一筋で数十年やってきた」という方がおり、はじめは打ち解けられないのですが、少しずつ信頼してもらえて「いつもがんばってるね」とアメ玉をくれるようになりました(笑)。そういったみなさんの顔がいつも思い浮かぶんですよね。国の発展のためにはまず土を掘り、道路や建物を建てる必要があって。もちろん土木や建設に関わらず、さまざまな分野で「礎」を築いてきてくれた人たちがいる。そういった人たちの思いを大切に、国を支えてきた技術や業界を、これからの時代も価値のあるレガシーとして残していきたい。それも「国」を背負いながら、企業目線でビジネス支援ができる、唯一無二のジェトロだから実現していけると考えています。よく理事長も「ジェトロの名刺は、どこでも使えるパスポートのようなもの。存分に使ってほしい」と言っているのですが、通常では会えないような人と会えたり、行けない場所に行けたりもします。あとはそれをどう使っていけるか。いかにビジネスとして継続できる仕組みがつくれるか。そういった意味だと、私にとっての「仕事」は自分が描く「こういう世界になってほしい」を実現していくためのものなのかもしれません。ご飯を食べるためだけのライスワークではなく、ワクワクするライフワーク。世界中の人たちに「ジャパンブランド」がよりポジティブに受け入れられたら素敵ですし、これからもそこに貢献していけるよう、仕事に向き合っていければと思います。

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