「ペーパーレス化」「教育現場へのタブレット導入」など、文具を取り巻く状況は大きく変化する。そういった中でも、大手文具メーカー各社の売上は堅調だ。その背景には、各社が仕掛ける新たな展開がある。取り組み内容と関連求人について見ていこう。
消費者ニーズが多様化する中、文具メーカー各社には新たな発想で商品開発をすることが求められている。
たとえば、その一例と言えるのが高機能シャープペンの存在だ。芯が回転してとがり続ける『クルトガ(三菱鉛筆)』、芯が折れない『オレンズ(ぺんてる)』など、各社は新技術を搭載した商品を次々開発している。1本500円~1000円するような高価格帯商品が販売数を伸ばした結果、2016年度のシャープペン市場規模は155億円(前年度比3.3%増)へと拡大した(*1)。
また、ターゲットに合わせた商品展開にも注目したい。たとえば、キングジムは女性向けの文房具ブランド『HITOTOKI(ヒトトキ)』を展開。カラフルでかわいい商品は、SNSでも反響を呼び人気シリーズとなっている。
販売チャネルも増える中「どんな商品に需要があるか」「どう売り出していくか」をいかに戦略的に考えるかが、文具メーカーの今後を左右すると言えるのかもしれない。
さらに、文具メーカーは海外展開にも積極的だ。実際に、大手文具メーカーは売上の大部分をすでに海外売上が占めているように。一例をあげれば、パイロットは全売上の約65%が海外売上によるもの、三菱鉛筆は約45%という数字になっている(*2)。
文具に限らず、家電メーカーや車メーカーなど製造業界各社が海外展開に注力しているが、中でも文具メーカーの海外売上比率は高い数字と言ってよいだろう。
こうした中、海外で爆発的な人気を誇る商品も増えている。たとえば、文字を消せるボールペン『フリクションシリーズ(パイロット)』は発売から8年で販売数10億本を突破した(*3)。『サラサクリップ05(ゼブラ)』『ジェットストリーム(三菱鉛筆)』といったボールペンの類も、海外観光客などから人気を集めている。
また『キャンパスノート』で有名なコクヨは2000年以降、中国・インド・ベトナム・タイで工場やショールームを次々と開設し、アジアへの展開を加速している。文具メーカーの海外展開は、今後もとどまることはなさそうだ。
たとえば『MONO消しゴム』などを手掛けるメーカーが、プロモーションプランナーを募集(2019年9月現在)。また、他メーカーでは海外営業企画、商品デザイナーなどの求人も見受けられた。
消費者ニーズが多様化する今、文具メーカーでは商品企画や販売戦略への工夫が求められている。文具好きな方にはもちろん、海外をフィールドに活躍したい人にとっても、文具市場は刺激的なフィールドと言えそうだ。
(*1)https://www.yano.co.jp/press/press.php/001784
文具・事務用品市場に関する調査を実施(2017年)│矢野経済研究所
(*2)2017年段階
(*3)http://www.pilot.co.jp/press_release/2014/05/30/10.html
「フリクション」シリーズ世界累計販売本数10億本突破│パイロット プレスリリース
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