大手企業を中心にベンチャーやスタートアップ企業出身の人材を積極的に採用する動きが活発化している。その背景に何があるのか?
テクノロジーの進展により、既存のビジネスを凌駕する勢いで成長する企業が急増している昨今。さらに2020年、コロナ禍の影響でビジネス環境が劇的な変化を遂げる中、そのスピードはますます加速しているといっていいだろう。
大手企業としても生き残りをかけ、抜本的な既存事業の見直しや新たな事業・サービスの創出を進める。
一方で、現状の組織構造の硬直化やイノベーションタイプの人材不足といった課題を抱える企業も。こうした中、固定観念や常識にとらわれずに新しい発想を生み出し、カタチにできるベンチャーやスタートアップ企業出身者の存在が必要とされている。
ベンチャー・スタートアップ企業出身者に求められるものとはなにか。それは「事業における成果を出すにあたり、必要な意見やアイデアを発信できる」「成果を重視し、その達成のために周りを巻き込んで行動できる」といった能力だ。
当然、大企業としては、厳しい競争のなか、成果を出してきた人材こそ、固定化した企業風土を変えてくれる存在だと期待されている。
同時に、大企業には大企業なりの慣習、仕事の進め方、カルチャーがある。ベンチャー出身者として、そういった既成の風土・仕組み・組織を否定するだけではなく、いかにシナジーを生み出していけるか。こういった部分が求められていく。
最後に、ベンチャー出身者が大企業で働くメリットとして、もっとも大きいのが「大企業のなかのリソースを活用できる」ということ。そのため挑戦の機会が得やすい。たとえば、資金面でなかなか実現できなかったことも、スピード感を持って予算を得ることも企業によっては可能だ。また協力を得たい専門領域に特化した人材が社内にいることも多い。
「もう少し大きなフィールドで勝負をしたい」と考えるならば、大企業は選択肢になり得るはずだ。