今、スタートアップと自治体の連携が加速している。その背景にはなにがあるのか。具体的な取り組みとともに、関連求人を見ていこう。
「地方創生」を軸にキャリアを検討している方にとって、全国の各自治体によるスタートアップとの連携の動きは抑えておきたいポイントだ。
そもそもなぜ、いま自治体がスタートアップとの連携を加速しているのか。その背景の一つには、国策として自治体によるスタートアップ支援を推し進めていることがある。
世界的にみてもユニコーンが少ないと言われる日本。グローバルで活躍できるスタートアップを数多く生み出し、国力を高めることを目的に、2020年7月、内閣府はスタートアップ・エコシステム拠点都市の形成戦略を発表した(*1)。
スタートアップ・エコシステムとは、シリコンバレーで生まれた言葉で、「行政の力がなくとも、大企業や大学の研究機関、公的機関などがネットワークを作り、スタートアップを生み出しながら発展していくシステム」を指す。
この拠点として選ばれたのが、東京都・横浜市などの首都圏、名古屋市・浜松市などの中部地域、大阪市、京都市、神戸市などの関西、そして福岡だ。
国は、これら拠点都市域内のスタートアップに対し、起業からイグジットまでシームレスな支援を実施。
こうした支援とともに、拠点都市では、それぞれ5社以上のユニコーン企業を生み出すことをミッションに掲げ、多彩なメニューを用意していく。
では、自治体によるスタートアップへの支援・連携にはどういった狙いがあるのか。
その1つとして挙げられるのが、若者の人口流出を食い止め、地域活性化の突破口となることへの期待だ。いま多くの自治体に共通する課題として、働き口が不足し、年々若者の人口が減少傾向にある。
新たな産業が生まれれば、さらなる雇用創出が期待できる。加えて、スタートアップによる先端的なビジネスモデルは、意欲を持った若者が自身のキャリアを描く上で魅力的な選択肢として選ばれる可能性もあるだろう。つまり若者が働き、生活する場所として選ばれ、地域の活力向上につなげていく。こうした地域活性化の一つの手段として、スタートアップ支援・連携が進められているといえる。
続けて、具体的な自治体によるスタートアップへの支援・連携の事例について取り上げてみよう。
特に積極的な動きが見られるのが、拠点都市としても選ばれている神戸市だ。
同市では、2016年より、アクセラレータープログラム「500 KOBE ACCELERATOR」を開始。これはシリコンバレー発の世界的なベンチャーキャピタル『500startups』と連携した短期集中型起業家支援プログラムだ。
とくにコロナ禍には、いち早く新型コロナ対策を目的にスタートアップと連携。「ストップCOVID-19×テクノロジー」というプロジェクトとして、全国のスタートアップからアイディアや技術を募集した。
中でも、コロナ禍での外出自粛で休止した神戸の日本語教室の外国人受講者と、対面でのコミュニケーション機会を制限され孤立化する神戸のシニアとをつなぐサービスには、問い合わせが殺到。実証実験は当初3ヵ月限定の予定だったが、すでに8ヵ月ほど継続しているという。
こうした神戸市では、2021年2月現在、スタートアップ支援の中枢を担う「イノベーション専門官」の採用が行われていた。
その他、弁護士ドットコムなどでも自治体と関わって地方創生に取り組んでいける募集が見受けられる。少しでも興味を持った方は、まずは求人票にある「興味あり」を押してみることをおすすめしたい。そうすれば、事前の合格可能性を受け取ることが可能だ。
参考:
内閣府|世界と伍するスタートアップ・エコシステム拠点都市の形成
https://www8.cao.go.jp/cstp/openinnovation/ecosystem/index.html