コロナ禍、在宅時間の増加に伴い、家での時間をより楽しく、いかに充実させられるか、多くの人が目を向けはじめた。なかでもおもちゃに対する価値も、新たに見直されたといっていい。生活様式も変化とともに、おもちゃの商品戦略にも変化が見られる。大手おもちゃメーカーでは、商品企画で積極的な採用を行う傾向も。実際の求人とともに、各社でどういった取り組みが行われているのか、見ていこう。
コロナ禍による生活様式の変化に伴い、おもちゃメーカー各社による新たなニーズを捉えた商品戦略が見られるようになった。
例えば、休校期間が長期に及ぶなか、ニーズの高まりが見られたのが教育玩具だ。
セガトイズでいえば、本格的にマウスを使うパソコン型玩具『マウスで着せ替え! すみっこぐらしパソコンプラス』を発売。保護者の在宅勤務をみて、親と同じくパソコン型トイが使いたくなったという声が増えているという。そのほか、スマートフォンと連動し、プログラミング的思考を学べるロボット、論理的思考がパズルなどの需要も増加しているようだ。
もう1つ、ユニークな動向として見られるのが、コロナ禍の生活様式の変化を盛り込んだおもちゃだ。
タカラトミーでは、『リカちゃん リカペイでピッ! お買い物パーク』の発売を開始。これは、セルフレジに商品を持って行き、リカちゃんが持つスマホ型デバイスで「リカペイ」で精算する、というお買い物遊びができる玩具だ。リカちゃんのアイテムも、マスク、ビニール袋ではなくエコバックがあるほか、並ぶ場所にはソーシャルディスタンスのマーキングが施されるなど、新しい生活様式がリアルに再現されている。
この時代のニーズを捉え、新たな商品を仕掛けていく。こうしたなか、大手メーカーによる「商品企画職」の積極的な採用姿勢も見受けられる。
もう1つ、おもちゃ業界でのキャリアを考える上で抑えておきたいのが、デジタルを活用した新たな施策について。
例えば、バンダイナムコは2020年10月、ECサイト「アソビストア」上でのオンライン博覧会を開催。同社が仕掛けるアニメやゲームの声優らによるトーク番組などの娯楽要素を組み合わせることで、売上向上を狙う。
また、各社ではデジタルプラットフォームの活用も盛んだ。
例えば、タカラトミーでは、ペットボトルのキャップを使って遊べる玩具シリーズ(任天堂の「ニンテンドースイッチ)と連携可能)の発売をTwitterで告知。そこから話題となり日本でのキーワードのトレンド1位も獲得 (*1)、オンラインショップでは数時間で予約分が完売した。今後は公式YouTubeチャンネルでオリジナルアニメを配信予定だという。
他にも、コロナ禍では子供の成長・発達に応じて、ぴったりのおもちゃを届けてくれる「おもちゃのサブスク」も広がりを見せるなど、様々な動きが見て取れる。
この変化が激しい時代、いかに消費者のニーズを捉え、新たな商品を展開していくか。ブランド・商品との出会いの場をどのように演出し、購買までのプロセスを設計していくか。新たな発想が求められるなかで、非常にチャレンジングなフィールドが広がっているといえる。ぜひ実際の求人をチェックしてみてほしい。
参考:
(*1)バンダイナムコ、ECサイトでオンラインの「博覧会」|日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65018770V11C20A0X30000/