INTERVIEW
奈良県 生駒市長 | 小紫雅史

【8職種を公募】生駒市が目指す、次世代型の住宅都市。“次なる50年”に向け、協創によるまちづくりを加速――。

掲載日:2021/10/07更新日:2023/04/07

2021年11月1日「市制50周年」を迎える奈良県生駒市。節目となる今年、最高デジタル責任者(CDO)をはじめとする8職種の一斉公募を実施する。今回の採用プロジェクトにかける思い、そして「次なる50年」に向けたビジョンについて、生駒市の小紫雅史市長に伺った。

※既に応募受付は終了しました。

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・総合事務(常勤)
・DX推進(常勤)
・教育改革(常勤)
・コミュニティデザイン(任期付き)
・スマートシティ(任期付き)
・エリアマネジメント(任期付き)
・ファシリティマネジメント(任期付き)
・CDO(任期付き)
※2021年10月時点の募集です。求人の掲載状況は時期によって異なることがあります。予めご了承ください。
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次世代型「住宅都市」へのアップデートで暮らしの質をあげる

2021年、市制50周年を迎える生駒市。

少子高齢化や経済の低成長が続く時代にあって、成熟した生駒が、“持続可能な都市”であり続けるために掲げるのは「新しい価値・魅力」の獲得だ。

「私は、生駒市を次世代型住宅都市のモデルにしていきたいと考えています。日本は世界的に見ても課題先進国ですが、生駒市においてもまちの課題は多様化・複雑化してきている。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大は人々のライフスタイル、ワークスタイルを大きく変え、自然が身近な地域で、ゆとりのある暮らしを大切にする方も増えています。今こそ、生駒市が過去50年にわたり培ってきた地域資源を活かしながら、新しい価値や魅力の獲得に向けた動きを加速する時だと考えています」

こう語ってくれたのが、生駒市の小紫雅史市長。特に、今後の軸になっていくのは「多様な主体との協創」だという。これまでも「100の複合型コミュニティづくり」をはじめ、市民のまちづくりへのコミットを促す「自治体3.0」を実践。全国的にも注目を集めてきた。

「生駒市は、かねてから「市民と行政の協創」を信念として取り組んできました。高齢者が高齢者を支える介護予防事業、まちづくり拠点として位置づけている図書館で本を媒介にした市民プロジェクトの創出、市民PRチームによるまちのプロモーションなど事例は数多くあり、一定取り組むことができた部分だと思います」

今後、市民と行政にとどまらず、企業、団体、学校、地権者など価値観の異なる多様な主体が有機的に連携するネットワーク型の“まちづくり”をさらに進めていきたい考えだ。

「これからは、本市にある国内屈指の研究機関「奈良先端科学技術大学院大学」をはじめとする大学や専門機関、開発事業者、企業、地元店舗、NPOなど様々な立場の方々が協力してまちづくりに取り組むことができれば、さらなるまちのアップデートができるはず。たとえば、介護、健康寿命、孤立などの複雑な問題も、それぞれの知見や資源を活用すれば新しい解決の糸口が見つかることがあるでしょう。今までも、異なる立場の方が出会い、対話することで多くの地域の魅力が生まれ、地域課題の解決につながりました。より多くの方が輪になって、魅力的な掛け算を増やすことで、付加価値が生まれ、魅力的で持続的なまちになっていくはずです」

中でもニュータウンの高齢化や公共インフラの老朽化は、生駒市の課題の一つだ。

「まちびらきから何十年もたったエリアには空き家、空き地、空き店舗などの課題もあります。高度経済成長期につくってから40年近く経つ古い公共施設も多い。そういったエリアや施設を、今までのように再整備やハードの更新だけで考えず、コミュニティ活動やライフスタイルの提案などソフトと一緒に考えていく。次なる50年の“まちづくり”はハードとソフトの連携が欠かせないと考えています」

“次なる50年”に向け、はじめの一歩を共に踏み出す職員として今回【8職種】の一斉公募を実施する。

生駒市が描くビジョン、そして今まさにこのタイミングで入庁することで得られるやりがいについて、小紫市長に伺った。

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生駒市では概ね20年後の将来的な課題を見据え、その課題解決もしくはその課題による影響を緩和するため戦略的に推進する施策を定めています。

(1)生活構造に関する方針
人生の歩み方が変化し、個人のライフスタイルや価値観が多様化していくことを踏まえた行政サービスを展開します。

(2)社会構造に関る方針
人口減少・少子高齢化の進行による影響を少しでも緩和できるよう、まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づいて分野横断的に施策展開を図るとともに、多様な主体が活躍し、協創できる環境を整備します。

(3)都市構造に関する方針
生活・社会構造の変化を見据え、ベッドタウンからの脱却につながるよう都市機能を見直し、持続可能な都市構造に向けた取組を推進します。

 

「働き盛り世代」に選ばれるまちへ

生駒市まち・ひと・しごと創生総合戦略には、25~44歳の「働き盛り世代」に焦点をあてて、「子育てしやすいまち」「希望の仕事をできるまち」「住みたいまち」の実現を目指している。

「働き盛り世代のみなさんが、地域にコミットしながら、楽しく幸せな暮らしを営むことには、大きな可能性があると考えています。ここに行政の持てるリソースを充てていくことが、“次なる50年”に重要だと考えています」

多くの郊外住宅地が、「仕事は都心、家は郊外」と職住分離の形で発展してきた。生駒市も高度経済成長期に、大阪で働くサラリーマン世帯が多く移り住んで来た「ベッドタウン」だ。

その世代が高齢化し、利便性を求める共働きのサラリーマン世帯は「郊外住宅地」より職場に近い都心を選択するため、これまで市の発展を支えてきた層に向けた従来の事業展開だけでは頭打ちになっている。

「働き盛り世代のみなさんにとって暮らしやすいまちとは何か。これは、給食費や医療費の無償化や補助などを拡充することとイコールではありません。もちろん暮らしの安心・安全を守ったり、生活を便利にしたりする行政サービスは必要ですが、それだけでは生活の質や、幸福感は向上しないでしょう。学びや食、家庭菜園、買い物、週末起業、小商いなど働き盛り世代の能動的な活動をたくさん生んでいけるまちでありたい。そして、どんな暮らしを志向している方が生駒を選び、これからの生駒を共につくってくださるか、その方々の幸せにつながる施策とは何かを模索していきたいのです。世代を限定することは、違う世代の切り捨てではありません。この世代は、仕事はもちろん、子育て、教育、親世代の介護なども考える世代です。必然的に全世代について考えることにもなります」

「大阪のベッドタウン」として職住分離の暮らしを前提としてきた生駒市が、「住む」だけではなく、「働く」「遊ぶ」といった要素も増やし、多様な生き方や多様な暮らし方が実現するまちに変わっていこうとしている。これは、まちづくりの大きな転換期だともいえる。

「これまでの画一的な生活スタイルを前提に考えていては、市として立ち行かなくなってしまいます。ワーク、ライフ、コミュニティが融合していくこれからの生駒は、循環や多様性がキーワードです。生駒で過ごしたいと思う人が増えない限り、働き盛り世代は外に出ていくし、訪れる人も増えないでしょう。これまでのように人口や企業誘致といった数値だけではなく、心の豊かさ、幸せ、楽しさなど個人の主観を重視し、共感を生み、協創を実現できる"住宅都市”になっていきたいと考えています」

コロナ禍において、「地域」に目を向ける人、働き方、生き方を見つめ直す人も増えていると聞く。

「生駒市は、大阪で勤務している方が多くいるのですが、テレワークが増え、家族が揃う時間や子育てに関わる時間、地元で買い物や外食をしたり、お庭づくりやDIYを楽しんだりすることが増えるなど、ライフスタイルに変化が生まれました。オンとオフがはっきりと切り離されない生活で、これからの暮らしを考え直した人や自分の住む街を今までとは違った視点で見るようになった人は多くいらっしゃるでしょう。そんな気持ちの変化が、個人レベルでは週末起業として新しい仕事を始めたり、地元に農園を借りたりすることにつながるでしょうし、マーケットとしては住宅地の中にシェアオフィスやカフェなどの飲食店といった場が生まれていって、まちがおもしろくなっていくはずです」

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市民が「つくる」「つながる」「発信する」まちづくりを

もうひとつ、ユニークなのが生駒市の将来都市像「自分らしく輝けるステージ・生駒」。他の自治体ではあまり見かけないものだ。

「どんどん世の中は便利になっていますが、その分、受け身でいる時間が増えているように感じています。しかし、受け身ばかりだと、楽しさや生きがいを感じる暮らしは実現しないかもしれません。例えば料理。作られたものを買って食べるよりも、自分で作ってふるまってみたり、使う野菜を育ててみたりすると、時間はかかりますが、満足感は格別です。「手伝ってほしい」「参加してほしい」と発信してみたら、新しいつながりが生まれるかもしれません。「消費する」だけでなく「つくる」暮らしをする人、「受動的」ではなく「能動的」に暮らす人が増えると、地域内の経済循環も活性化するでしょう。個人の一つひとつの行動が、“まちづくり”につながっていくのです」

小紫市長は、「市役所」の役割の一つとして、こういった活動を起こし、つないでいくことをあげている。

「まちで活動しようと考えている人の背中をそっと押したり、能動的でクリエイティブな活動をしている主体をつないで、それぞれの知識や情報、資金などの資源を共有するために働きかけたりする「コミュニティデザイン」のできる職員がますます重要になっています。

また、活力のある地域を自らつくろうという市民が活躍できる魅力的な場所や都市空間の形成(エリアマネジメントやファシリティマネジメント)にも行政の力が必要でしょう。多様な活動が持続的におこるハードを整備することで、市民による行動を後押しし、課題解決や価値創出につながっていくのです。

ICTやAIなどの技術も、単なるデジタル化の推進ではなく、これまで述べたような本市のまちづくり戦略や、市民等の想いやアイディアを具体化するために役立てることで、本当の意味でのDX(デジタルトランスフォーメーション)が実現するはずであり、「人の温かさや手触り感のあるスマートシティ」を実現していきたいと考えています。」

 

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「地域課題をビジネスの手法によって市民が解決するプロジェクトも増やしたい。その支援も考えていく」と小紫市長。「例えば、住宅地にキッチンカーがきて料理をふるまってもらえたら、テレワーク中の人、子育てで大変なパパやママ、ひとり暮らしの高齢者に喜んでもらえるかもしれない。100の複合型コミュニティづくりの一環として取り組めれば、買い物支援や地域コミュニティの活性化にもなり、新しい出会い、活動、ビジネスも生まれるかもしれません」

生駒市を「自分らしく輝けるステージ」に

そして最後に伺ったのが、まちづくりの転換期に生駒市職員として働く魅力について。「職員自身も自分らしく輝ける生駒市役所という職場にしたい」という言葉で語ってくれた。

「変化が激しい時代ですので、10年先さえどうなっているかは誰にもわかりません。ただ、50年先を意識しながら、次の5年、10年を考え、郊外型の住宅地をどう個性的で魅力的に再生していくのか、地域ごとのニーズに合った場所をどう増やしていくのか。終わりのない課題に向き合い、アクションを起こしていくことは、とてもエキサイティングです。そして、人々の幸せとは一体何か、どんな人生を生きるか。考えを巡らせながらより良い“まちづくり”をみんなで実践していく経験は、かけがえのないものになるはずです。基礎自治体は、市民の一番身近な行政機関です。地域でまちの方々の声を直接聞き、顔の見える関係を築きながら、みなさんの経験・スキル、ネットワークを活かしてほしいと思います」

将来都市像として掲げる「自分らしく輝けるステージ・生駒」は、今回の募集で入庁する方にも当てはまる部分だ。

「私自身、市制50周年というタイミングで市長をさせていただき、本当に幸運だと感じています。今までの50年を振り返りつつ、新しい50年をどうやってつくっていくかを、まち全体で考えていくタイミングで入庁される方にも大きなチャンスだと思います。民間企業とは違った中長期のスパンでまちの未来を考えたり、市民力の高い本市の現場でコミュニケーションを重ねたりすることでキャリア面でも大きなプラスとなるはず。また、仕事と家庭と地域での暮らしが相互に関係する「自治体」という職場に身を置くことで、仕事だけでない自身の人生全般について考える機会にもなるでしょう。入庁される方にとっても、生駒市が自分らしく輝けるステージになるはずです」

 

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