INTERVIEW
大阪府四條畷市|ICT担当公募プロジェクト

市民のために、ICT活用推進を。民間から四條畷市役所へ。変わらぬ「お客様の役に立つ仕事」への思い

掲載日:2022/04/18更新日:2022/05/09

2022年度、大阪府四條畷市において「ICT担当」の公募プロジェクトが始動した。同市では「小中学校の校務効率化」「保育施設等の入所事業」「住民情報・庁内情報データ連携」「災害情報システム導入」など、幅広い分野でのICT活用を積極的に進めている。その四條畷市、教育委員会でICT担当職員として働く松本茂さんにお話を伺った。

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ICT活用の先進都市へ。四條畷市の挑戦

ICTの有効活用により、市民・事業者に素早く、わかりやすいサービス提供をーー。

この指針・方針を掲げ、ICT活用を推進する大阪府四條畷市。とくに力を入れているのが、

・小中学校の校務効率化
・保育施設等の入所事業推進
・住民情報
・庁内情報データ連携
・災害情報システム導入

など。さらに全庁的に「公共施設マネジメントシステム導入」の検討にも取り組み、市民サービスの質向上を図る。

四條畷市は、これまでも「職員採用のオンライン面接」「住民票の写しのオンライン申請対応」など、先進的なICT化による取り組みで全国的に注目を集めてきた。

そんな同市に2020年9月に入庁、教育委員会にてICT担当職員として働くのが、松本茂さんだ。大手メーカー企業を経て、四條畷市へ。どのようなミッションを担っているのか。そして業務のやりがいとは。ICT推進プロジェクトの一例と共に伺った。

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令和2年3月2日から運営が開始された「四條畷市公共施設予約システム」。体育館、テニスコート、公民館、コミュニティーセンターなど公共施設の利用における利便向上・利用促進を図る。これまで四條畷市内の施設では、所管課毎に異なるデータ管理を行なっており、情報の一元化・共有ができていない課題があった。そこで「公共施設マネジメントシステム」を導入し、中長期的なマネジメントサイクルを構築・円滑化を図るプロジェクトも推進している。統一的な指標でシステムを管理することで、財政協議の時間の短縮化、計画書改定時おける試算、グラフ化等の業務効率化を図る狙いもある。さらには「施設カルテ」としてもオープンデータで取り扱うことで、民間主導による公共サービス提供(PPP・PFI事業)など、民間企業の参入意欲の促進に期待できる。

全ての児童生徒に学習端末を。

日本全国、各自治体が児童生徒たちに1人1台、学習用端末を配布していく「GIGAスクール構想*」。大阪府四條畷市において、その立ち上げ・実行を担ってきたのが松本茂さんだ。まずはプロジェクト概要から伺うことができた。

*GIGAスクール構想…2019年12月、文部科学省が発表した教育改革案。児童生徒たちに1人1台、学習用端末を配布すると同時に、クラウドを踏まえたネットワーク環境を整備していく取り組み。先進諸国のなかでも、教育におけるICT化の遅れが叫ばれるなか、日本全国で推進されている。

「四條畷市には小中学校が9校、約4000人の児童生徒がおります。2021年3月に児童生徒のみなさん全員への端末の配布を完了し、2022年3月に授業への活用が定着したところです」

こう語ってくれた松本さん。四條畷市に入庁してから約2年でプロジェクトを遂行した。この2年間で感じたやりがいとは。

「四條畷市には小中学校併せて9校あり、約4000人の児童生徒がいます。比較的小規模でもあり、エンドユーザーとなる子どもたち、先生方との距離も近く、連携しやすいのが特徴です。裁量を持って携わることができ、お役に立てる実感がありますね。機会は少ないですが、実際、授業で端末を使う様子を見ることも。喜んで使ってもらえて、さらに勉学に励んでいただける。これが一番のやりがいです」

そして当然、ここでプロジェクトは終わりではない。

「2022年度以降は、さらに教育に貢献していくために、ICTの利活用を進めていくフェーズ。たとえば、先生方の「校務環境の再構築」、いわゆる業務の効率化をどう支援していくか。たとえば、一例ですが、業務内容をヒアリングし、その整理からお手伝いしていくことも視野にいれています。あくまで一般的な話ですが、課題を抽出しながら、ICTで解決できる部分は活用し、やり方を変えることで解決される部分はアドバイスをするなど、企画に落とし込んでいく。そして来年度、さらにその次の年度…と計画を立て更新していく。ここが2022年4月以降の大きな目標の一つですね」

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「この2年間で各学校のネットワーク環境の整備をしたり、ソフトウェアのインストールなどに対応したり、想定外のことが起こるなどありましたが、当初の計画通りに遂行でき、ホッとしているというのも正直な感想ですね(笑)」と松本さん。セキュリティや障害対応、アップデート、破損対応なども四條畷市のほうで対応。維持・運用業務の強化にも取り組んでいくという。

いかに投資対効果を設定していくか

続いて気になるのが「民間と自治体との違い」について。いかに限られた予算内で最大の投資対効果を得ていくか。そこには知恵や工夫も求められる。

「自治体におけるICT化の推進は、毎年度、決まった予算のなかで行なわれます。その予算のなかでいかにサービスレベルを担保していくか。この視点が非常に重要になりますね。たとえば、費用が足りないなかでも、何らかの工夫をしたり、調整をしたり、妥協点を見出していく。そもそも、そうならないよう、予算を立てる時に考え抜くことも欠かせないと感じました。最終的に、予算をどのように活用したか、議会への報告もあります。予算を立てる時も、実行状況も、きっちり確認していく部分も重要になるかと思います」

さらに「今後の課題」として伺えたのが継続性を維持していくための体制について。

「ICT化は導入して終わりではなく、継続性こそが重要になります。民間企業であれば、そこにもある程度の規模で投資したり、アウトソースしたりも可能。ですが、自治体の場合は比較的小規模で自分たちの手で運用していく部分も多い。いかにICT化を継続し、利活用をさらに進めていけるか。ここはこれからの課題ですし、やりがいがある部分だと捉えています」

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四條畷市のICT推進担当には、どういった人が向いているのか。そういった質問に対して「現場で自ら手を動かすことを楽しめる方が向いていると思います」と松本さん。「パソコンのセットアップやサーバーの設定、障害対応など、ICTインフラの構築から運用までかなり広い範囲で担当します。さらに、これからどんなことが起こっていくか未知の部分も。そういった状況にも前向きに、情熱を持って取り組める方と一緒に働いていきたいですね」

コロナ禍を経て。ITで、子どもたちへの学校教育に貢献を

そもそも松本さんは、なぜ民間企業から四條畷市へと転職してきたのだろうか。

「四條畷市がGIGAスクール構想の実行、立ち上げのメンバーを募集しており、そこに興味を持ち、応募しました。私にも息子と娘がおり、コロナ禍においてオンライン授業などもスタートしていて。そういった姿を見て、イメージがしやすかったですし、非常にやりがいがあるミッションだと感じました。家庭の事情もあったのですが、通勤しやすい市役所ということもあり、四條畷市を志望しました」

民間から自治体へ。当然、職場環境やカルチャーなども大きく異なるはず。そこに不安はなかったのだろうか。

「不安はあまり感じませんでしたね。民間企業の場合はビジネスですが、いずれにしても、ICTの世界では、端末を使っていただく全てのみなさんが「お客様」という考え方。そういった意味では「お客様の役に立っていく」という本質はそこまで変わらないと考えていました。また、自治体職員として働く身内がいたり、学生時代に社会保険事務所でアルバイトしていたり、より身近に自治体の仕事や、存在意義を感じていたところもありました」

そして最後に伺えたのが、松本さん自身の「仕事に対する価値観」について。彼にとっての仕事とは――。

「私にとって仕事は「お客様に喜んでいただくためのもの」が前提にあります。その上で、自己実現していく手段でもある。人生の中で「私はこういうことに取り組んだんだ」と言えることを仕事にしたいですね。さらに家族あっての仕事でもある。収入面も含めて、家族で幸せに暮らすための礎。「お客様」そして「自分」と「家族」、この3つを大切にしつつ、これからも仕事に向き合っていければと思います」

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