INTERVIEW
UUUM株式会社

UUUMの新規事業が始動。クリエイターが年商数十億円規模のブランドを生む「P2C」の勝算

掲載日:2022/04/11更新日:2023/04/07
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数多くのトップクリエイターを抱え、そのマネジメント事業、広告事業を軸に成長してきたUUUM。同社が、本格的に乗り出していくのが「P2C事業」(Person to Consumer, PtoC)だ。クリエイターや著名人と同社がタッグを組み、ブランドをプロデュース。ファンはもちろん、それ以外の人にも手にとってもらえるブランド・プロダクトを創出していく新規事業だ。ヒトが起点となるブランドから年商数十億円規模のコンシューマーブランド創出を目指す事業である。UUUMの100%子会社であるP2C Studio株式会社の代表取締役社長を務める重本 隆之さんに、その事業の可能性について伺った。

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※「新規事業(P2Cブランド)/インフルエンサーマーケティング/ブランドマネージャー」のポジションについては、UUUM株式会社に在籍、P2C Studio株式会社に出向しての勤務となります。

クリエイター個人が起点となり年商数十億円超のコンシューマーブランドを生みだすーーUUUMのP2C事業の可能性

クリエイターとUUUMがタッグを組み、その世界観を表現したブランドをプロデュースしていく。

いわゆるP2C事業と呼ばれる新領域を強化するUUUM。TVCMだけでは若者や嗜好が細分化したスモールマス層にリーチすることが難しくなってきた今、大規模なファンベースを持つクリエイターがブランドをつくることにより、人々の購買が活性化していくーー今後P2Cマーケットの拡大が期待されている。

「まずはクリエイターと協業をして年商数十億円規模のブランドを生み出し、それらが永続的に愛されるブランドとなることを目指しています。すでにトップクリエイターや芸能人のような著名人たちと10以上のプロジェクトを動かしています」

こう語るのは、P2C Studio代表を務める重本 隆之さんだ。

UUUMが社運をかけて挑むP2C事業、そしてその可能性について重本さんに伺った。

P2C(Person to Consumer)
YouTuberやインスタグラマー、芸能人などのインフルエンサー(=Person)に代表されるヒトを起点としてブランドを立ち上げ、商品・サービス展開を行なう事業のこと。インフルエンサーが、自分のYouTubeチャンネル・Instagram・TwitterなどのSNS、ブログ、メルマガなどを通じてそのブランド・商品コンセプトや目指すゴールを発信し、自身の影響力をビジネスに活かしているケースが多い。商品を直接消費者に販売するという点では「D2C」と共通しているが、P2Cは販売するのはあくまで個人(=Person)であるヒトが起点となることが特長。

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重本 隆之
コンサル、新規事業の立上げ責任者などを経験。前職は総合PR代理店ベクトルの子会社Direct Techにて役員を務めP2C事業の立上げ・推進を担当。人気YouTuberとコスメブランドを立ち上げ、1年でリップ65万個を販売するなどヒットブランドに成長。P2Cのビジネスモデルの持つ優位性や市場拡大可能性に強い魅力を感じ、UUUMの取締役に自らP2C事業の立上げを提案。2020年12月にP2C事業立上げの新規事業責任者としてUUUMへ入社し、2021年6月にP2C Studioが子会社化されたのと同時に同社の代表に就任。

「トップクリエイター×大規模流通」で、スピード成長を

もともと前職時代にP2C事業に関わられたと伺いました。なぜUUUMで事業をやろうと?

UUUMは、YouTubeクリエイターのマネジメント会社として業界を牽引する会社であり、日本有数のトップクリエイターが60名以上在籍している。さらに、上場企業としての信用や大手企業と取引をしてきた実績に加えて資金力もあります。これだけの好条件が揃えられるのならば、P2C市場の形成・拡大の大きな波が生まれていく市場のど真ん中で業界トップカンパニーを目指して勝負ができると思ったんです。

私は前職時代に、モデル兼人気YouTuberの古川優香さんプロデュースのコスメブランド『RICAFROSH』の立上げ・拡大に携わっていました。2020年2月に1,680円でリップを販売開始し、1年間で累計65万個を売り上げました。つまり、10億円の売上規模のブランドに1年間で成長したことになります。

今後、こうしたクリエイターなど「ヒトが起点となるブランドづくり・モノづくり」の売り方が一つの大きな流れになっていく、それを肌で感じました。そして、P2C事業をどこでやっていくのが良いかと考えたとき、先ほどお伝えしたように、勝てるアセットが揃っているのは、UUUMだと思いました。

具体的には、どういった戦略を描いているのでしょうか?

何よりも大事にしているのが、ビジネスとしてのスケール感を実現できるかです。

僕らは、1年間で10億円規模へ成長が期待できるブランドをつくりたい。そのために、クリエイターとのブランド協業を始める最初の段階から、「そのクリエイターを知らない人でさえも、買ってくれるようなブランド」にしていくための戦略を描き実行する、ということを前提に事業を進めています。

ブランドをプロデュースしたクリエイターのことを知らない人でさえも、そのブランドを買ってもらうためにどういった戦略が必要なのか。私が重視する戦略のポイントは4つあります。

1つ目は、大きな影響力があり、かつ人の心を動かせるクリエイターと一緒にブランドを立ち上げることです。SNS時代となり、クリエイター個人のSNSからの発信力がマスメディアなどの旧来メディアの発信力とは違うコミュニケーションの手段として大きな力を持つようになりました。10万フォロワーのクリエイターとブランドを立ち上げるのか、100万フォロワーのクリエイターとブランドを立ち上げるのかでは、影響範囲に差が出てきます。しかし、「人気者」と「認知者」という言葉で表現をされることもありますが、クリエイターとしての認知度や発信力は高くても、そのクリエイターが発信をした内容で実際に人が購買行動を起こす場合とそうでない場合があります。行動変容まで実現できるクリエイター=「人気者」なのかは、エンゲージメントなど多様な視点から分析をする必要があります。様々なクリエイターがブランドを立ち上げる時代になりましたが、成功するブランドとそうでないブランドが生まれている要因として、クリエイターが「人気者」なのか「認知者」なのかという差と影響力の規模感があるわけです。

2つ目は、クリエイターにとってそのブランドを出す理由・正当性があるのかです。トップクリエイターは、トップクリエイターになるまでのそれぞれの物語や思いがあります。その過去の出来事や物語から、ブランド・商品を出すという一連の流れが綺麗につながっているかどうかが重要となります。つまりクリエイターにそのブランド・商品を出す理由や正当性がしっかりとある場合はクリエイターのブランドへの熱量が高くなり、またそれを応援するファンたちの熱量も高まります。それがクリエイターの商品へのこだわりやマーケティングへの注力度合いにも好影響を与え、ファンも気持ちよくブランドの商品を購入することで販売実績の初速をつけることができるようになります。それが結果的として成功するブランドの実現へとつながっていきます。

3つ目は大規模流通との連携です。インフルエンサーのSNSからアプローチがしやすいオンラインのECのみに閉じることなく、オフラインのタッチポイントである店舗に面を広く持てるようにすることで、買いたい時に気軽に買ってもらえる購入環境作りに注力をしています。そして、バラエティショップ、大手コンビニ、ドラッグストアチェーンなどの各業界に強い大手卸・大規模流通チェーンと連携してブランドローンチ段階から店舗へ商品を展開していきます。

店舗でも商品を置いておくために、かつほしい時に商品がすぐに手元に届けられるように私たちが積極的に事業投資の一環として在庫投資を行ない大量の在庫を持ちます。ブランド開始段階から大手流通との連携ができていることで一定数の売上見込みが立つため、在庫投資を積極的にできます。大量生産による一個当たり製造単価抑制により価格競争力のある形で商品開発ができるわけです。

クリエイターの数百万規模のフォロワーがいるからこそ実現できる発信力と、UUUMの上場企業としての信用力や財務基盤があるからこそ、大手流通を巻き込み実現できる戦略の一つであるといえます。

4つ目は、クリエイターからの情報発信に加えて積極的なマーケティング投資をして、クリエイターの情報発信だけに頼らない包括的なコミュニケーションプランを実現する統合マーケティングを展開することです。クリエイターの情報発信のみに頼ると広告費を抑制することはできますが、クリエイターのファン以外に届かなかったりクリエイターからの情報発信がないと売上の山ができなかったりと事業拡大性や安定性が担保できません。広告代理店・PR代理店と連携してメディアの取材を多く受けたり、実店舗での販促イベントや新商品発表会を行なうなど、販促投資も大々的に行なっていきます。

これら4つのポイントを抑えた形でP2Cブランドを展開することは、個人レベルではかなり難しいはずです。

というのも、大手流通企業で商品を取り扱ってもらおうとなれば、初回発注から数万個単位で在庫を確保しておく必要があるため、在庫投資だけでも数百万円から数千万円はかかります。仮に、OEMメーカーさんに数千万円を支払う段階までいけたとしても、数千万円を超える金額規模の在庫投資が商品売上として回収をするまでのキャッシュフローを管理して販促投資などもしていくのは難易度が高いと思います。商品が売れて売上が上がった場合でも、その資金の大半を追加発注のために再度在庫投資に回し、また売上が上がったら資金の大半を在庫投資をして……の繰り返しになる。キャッシュフローを回していくだけで精一杯になる可能性が高く、ビジネスとしてスケールさせていくことへリソースを集中させることが難しい状態になってしまいます。だからこそ、これらを全てクリアできるUUUMとタッグを組むことは、クリエイターにとっても大きなメリットになると考えています。

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また、僕らは短期的に10億円規模を稼げればいい、と考えているわけではありません。目指しているのは、何十倍もの金額規模が動くビジネスです。

グローバルで言えば、おもちゃレビュー動画で人気の少年YouTuberライアン・カジくんの事例が代表的です。彼は動画からの年収で20億~30億円は稼ぐと言われるほどの人気者。おもちゃブランド『ライアンズ・ワールド』を作り、米大型スーパー「ウォルマート」やディスカウント百貨店チェーン「ターゲット(Target)」など大手小売店でも販売しています。大規模流通とも連携し、おもちゃブランドの売上は165億円、ライアンくんへのロイヤリティは27億円にものぼると言われています。

ほかにも、人気モデルのカイリー・ジェンナー”が立ち上げたコスメブランド『KYLIE COSMETICS(カイリーコスメティクス)』 は、立ち上げから1年半で売上457億円を実現したと言われています。

クリエイターなどヒトを起点としたブランドによって、数百億円規模のお金が動く。こういった市場が、アメリカでは既にできています。僕らは、こうした世界観を日本で実現していきます。

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P2C Studioが手掛けた、第一弾のP2Cブランド商品が竹脇まりなさん監修の『MARINESS Protein(マリネスプロテイン)』。「宅トレを当たり前の世界にする」を掲げる竹脇さんと夫のダーウインさんが目指すブランドの世界観に合ったプロダクトを選定し、提案するところからプロジェクトが始まった。プロダクトを開発していく上では、誰をターゲットに設定し、プロテイン市場においてどういったポジショニングで勝負していくか、パッケージデザイン、ファンへのコミュニケーションも含んだコミュニケーションプラン設計など、全てクリエイター本人とディスカッションしながら創り上げていった。2021年12月にマリネスプロテインを販売開始をし、販売開始から2時間で、ECのみで販売数1万個を突破。現在ロフト、ドン・キホーテなどの大手流通の店頭でも販売している。P2C StudioではP2Cブランドの拡大に向けて協力企業は、今後さらに増やしていく予定だ。

理想は『エアジョーダン』のようなブランドを創ること

さらにその先に見据えるビジョンとは?

目指しているのは、クリエイターのファンだけではなくて、幅広い人から10年、20年という時間軸を超えて永続的に愛してもらえるようなブランドをクリエイターと創っていくことです。

P2Cブランドが市場における一定のシェアを獲得することで、世の中に対して、新しい価値観や考え方、モノの見つけ方を提供していきたい。従来のような、商品をつくり、TVCMで販促して大量認知を獲得していくだけがヒットブランドを生み出す方法ではないことを、世の中に示していきたいと考えています。

そのために、色々な方法を試したいと考えています。たとえば、UUUM専属のクリエイターに限らず、他の事務所に所属する色々なクリエイターさんとも組んでいきますし、芸能人の方とのブランドづくりも進めています。直近では、錦戸亮さん、赤西仁さんとフレグランスブランドを立ち上げて販売も始まりました。次々と新しい商品領域でブランドを多様なクリエイターと組んでチャレンジしているところです。

これは僕の夢でもあるのですが、マイケル・ジョーダンとNIKEによって生まれた、『エアジョーダン』のようなブランドを創っていきたいんです。

『エアジョーダン』は、ヒトを起点として始まりましたが30年以上経NIKEっても未だに愛され続けている誰もが知るブランドです。とくに『エアジョーダン1』はマスターピースとして、トップデザイナーズブランドとのコラボモデルが販売されればプレミアがついて取引をされてそれがニュースになっています。

とはいえ、今の10代~20代の人たちは、マイケル・ジョーダンが起点となったブランドだとは認識していると思いますが、必ずしも彼の熱烈なファンだから『エアジョーダン1』を履くわけではないと思うんです。つまり、彼のつくりあげたエアジョーダンブランドの世界観に、ファン以外の人も憧れ、手に取ってしまう。そういった構造を実現している代表例だと思います。

いまP2Cの領域は、まさにこれから成長していくと期待される市場です。『リザード』など自身のプロデュースしたブランドが20億円以上の売上を実現している人気クリエイターのヒカルさんや、僕が前職時代にいたベクトル子会社のDirect Techなど、先行プレーヤーもいます。ただ、僕としては、P2Cのマーケットを大きくするためにも、あらゆるプレーヤーが切磋琢磨して、この新しいものの作り方、売り方を広めていく形が理想なのではないかと考えています。

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P2C studioとしては40~,50名が在籍する。急成長を実現できる人材の採用に注力をしており、2023年には100名規模の組織を目指していくという。社員のバックグラウンドとしては、食品・化粧品・アパレルなどのメーカーやインターネット広告代理店などの大手企業出身者も在籍している。

100億円を目標に。ダイナミズムが感じられる仕事を。

いま、このフェーズで入社し働くことで、どんな醍醐味があると思いますか?

現在、P2C事業を担っているのは、全体で20名ほどです。今であれば、商品開発だけ、物流などのフルフィルメントだけのように事業全体の一部だけではなく、ブランドマネージャーとしてP2Cブランドのど真ん中でモノの流れ全体を見ながらブランドづくりに関わっていくことができます。

売上で言えば、来期には数十億円、その次は更に大きな規模を目標にしています。これは決して絵空事ではありません。『MARINESS Protein(マリネスプロテイン)』を筆頭に、各プロダクトがスケールしていくダイナミズムを間近で感じられるはずです。

もう1つは、誰もが知る商品を生み出していける面白さです。数十億円規模で商品を売ると、その時点で「ファンの人だけが知っている商品」「知る人ぞ知る商品」ではなくなっているんです。たとえば、身近な人から、「◯◯の商品、コンビニで見たよ」といった声をかけられる。そういった機会も増えてくるでしょう。

最後に、重本さんにとって仕事の原動力となっているものとは?

お話をさせていただく大手流通企業やメーカーの方々の中には、「本当に売れるの?」と懐疑的な方もいらっしゃいます。そういった中で、結果を出し、売れることを証明しに行く。つまり、「誰もやったことのない規模感で、新しいビジネスモデルを作り出し、市場を創り上げていく」ということ。僕にとっては、ここが一番面白い部分です。

自分なりに「勝ち筋だ」と信じているこのビジネスモデルが、正解なのかどうかの答え合わせをしにいけている、とも言えるかもしれません。

そして、現状では「自分の見立てが正解になりそうだ」と思えています。 大変なことは多いですが、最高にエキサイティングなフィールドだと思います。

ここまでビジネス観点でお伝えしてきましたが、日々の喜びという観点でいえばInstagramなどを通して、届けた商品によって、いろんな人に喜んでもらえている世界を見ることができる。自分の仕事が誰かの役に立っていると実感できる。「誰かの喜びや幸せを今生み出せていることを肌で感じられる」そんな幸せを強く感じることができる点が、仕事の原動力になっていると思います。

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