INTERVIEW
農林水産省|デジタル企画官(任期付き)

SIer、コンサル企業を経て「農林水産省」へ。デジタルの知見を日本の農林水産業のために活かす選択

掲載日:2025/01/20更新日:2025/01/20
求人掲載中

農林水産省(以下、農水省)での中途採用にあたり、デジタル戦略グループ・デジタル企画官として働く岸本将人さんを取材した。なぜ、彼は民間ではなく、農水省でのキャリアを選んだのか。そこには、農水省が推進するDXへの興味、そして自身の経験・知見を活かし、社会に価値提供をしていきたいという思いがあった――。

デジタル領域の経験・知見を活かし、社会に価値提供を

これまでSIerやコンサルティング会社に在籍し、一貫してシステムに携わってきた岸本さん。なぜ、次なるキャリアとして農水省を選択したのか。まずはその経緯から聞くことができた。

これまで、特にインフラ、データベース領域を主軸に、システムの構想策定から運用保守フェーズまでシステムライフサイクル全体に携わり、また、その中でプロジェクトリーダーやPMOといった役割も担うことができました。そういったなかで芽生えてきたのが「これまでとは違う立場で仕事をしてみたい」という思いです。大規模なプロジェクトに携わることが多かったのですが、どうしても顧客との距離感が遠く感じられたり、自身の業務内容においても大きな変化がないと感じていたところがあり、キャリアや業務において変化がほしかった、というのが正直なところかもしれません。

そして、次のキャリアを考えるなかで「社会貢献」というと大げさですが、経験・知見を活かし、社会に何らかの価値提供していける領域があればやってみたいと考えるようになりました。たとえば、私自身、地方出身ということもあり、地方のために何かできることはないか。そんな時に偶然目にしたのが、農水省の求人でした。農水省のデジタル化の取組にも興味がありましたし、一次産業における課題解決は地方のためにもなる。私の経験や知見を活かすことができるなら、仕事にも意義を見出すこともできる。自分にとっても満足度が高いのではないかと考え、農水省への入省を決めました。

maff2501_02

岸本将人さん(農林水産省 大臣官房デジタル戦略グループ デジタル企画官)

目指すは「データ駆動型農林水産行政」の実現

続いて聞けたのが、担当業務について。また、「やりがい」とは。

現在、農水省では「データ駆動型農林水産行政」の実現を目指すべく、データマネジメントの推進に携わっています。

省内において、これまでもデータはさまざまな形で集計や分析に活用されてきましたが、それらのデータは必ずしも分析に適した形で整備され、管理されていないのが現状です。これらの状況を改善し、より効率的で高度なデータ活用につなげていくために、データの管理に関する方針や施策を検討し、遂行していくことがメインミッションです。現在は、データマネジメント施策の一環としてデータ基盤の構築を進めています。いかに省内にあるさまざまなデータを上手く活用し、行政の施策推進・検討に活かすことができるか。方針策定、基盤構築など、いわゆる企画立案から実行まで、関係部局と連携を図りながら携わっています。

率直にお伝えすると、省内のデジタル化やデータ活用はまだまだ民間企業と比べて、進んでいるとは言えないのが実情です。ですので、まずは少しずつその重要性を関係部局、ステークホルダーに伝え、理解を得ながら、一つひとつ進めているところでもあります。そういった意味だと、現場のニーズを探り、新たな取組を提案する「省内営業」のような仕事も必要です。また、どうしても長期間にわたる取組ですので、日々の仕事のなかでは、わかりやすい達成感や、やりがいは得づらいのかもしれません。ただ、データ基盤構築やデータの活用方法などを自分たちから働きかけ、提案し、動かしていく。そこから新たなプロジェクトが進むこともあったりと、プロアクティブな動きができますし、そういった点はやりがいに感じられると思います。

また、どちらかというと「やらなければいけない業務」に分類されるのかもしれませんが、調達のための手続き、予算要求や、場合によっては有識者検討会への参加など行政機関ならではの業務に携わることができるので、私自身は楽しみながらできているところです。

やりがいの一方、事前に知っておくべき「厳しさ」とは。

民間企業であればトップが「やろう」となれば物事が進みますが、行政はさまざまなステークホルダーに話を聞くことが求められます。いざ新しい取組を実行しようとなっても、時間的余裕がない、関係者との調整がむずかしい、リスクが大きい、心理的な抵抗感がある…など、必ずといっていいほどさまざまな課題にぶつかります。それぞれの立場や役割のなかで「このやり方が正しい」があるもの。それでも粘り強く合意形成し、長期的な視点で向き合い取り組んでいく。そこにはチャレンジする価値があります。もちろん、自分一人で全てを担うわけではなく、グループで連携し、調整を図っていきます。時には交渉ややりとりに慣れているプロパーの職員に頼るなども大切です。そういった巻き込む力や調整能力が求められると思います。

maff2501_01

「誰が何を得意としているのか、どのようなことをお願いしていけるのか、把握しながら、頼っていくということも重要だと思います。」と岸本さん。「また、企画や提案が求められる場面もありますが、それだけではありません。急な事務作業などにどんどん対応していくこともあります。非常に重要な対応もありますので、事前にそういった業務が発生することも知っておくといいかもしれません。」

いかに「大きな流れ」につながるものを残せるか

そして最後に聞けたのが、今後の目標について。

前提として、私は任期付き職員となります。いつまで自分が在籍できるか、期限が決まっているもの。だからこそ、残りの在籍期間を意識しつつ、少しでも「データ駆動型農林水産行政」の実現に近づけるよう、取り組んでいければと思います。個人的には、いい意味での「蟻の一穴」となるような、何かしらの流れ、きっかけを作ることかできればいいなと思っています。任期終了後に大きな流れにもつながっていくようなものを残すことが目標ですね。

また、「行政機関で働く」という経験はなかなかできるものではないですし、今後のキャリアの可能性を広げるきっかけになると考えています。さまざまな行政機関・自治体においてDX推進がテーマになっていますし、共通する課題も多い。何よりも「行政の動き方・進め方」がわかっているというのは、民間側、行政側、いずれで携わるにせよ必要としてもらえるはずで、公共領域におけるDX人材として今後のキャリアを築いていけるという可能性も広がります。仮に民間に戻るとしても、民間とは役割や文化が異なる組織で働いたことは自身の経験として間違いなくプラスになるので、それらを今後のキャリアにも活かしていければと思います。

この記事を読んだ人におすすめの記事
最近ご覧になった求人に基づいたおすすめの求人
若手ハイキャリアのスカウト転職