INTERVIEW
農林水産省 輸出・国際局

航空会社・メーカー勤務を経て、 農林水産省 輸出・国際局へ。「幅広い国際業務」で築く次なるキャリア

掲載日:2025/06/23更新日:2025/06/23
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農林水産省(以下、農水省) 輸入・国際局での中途採用にあたり、特別インタビューをお届けする。今回取材したのは、航空会社、機械メーカー勤務を経て、2024年10月に農水省に入省した石神 那菜さん(輸出・国際局 知的財産課 係長 ※取材当時)。なぜ、彼女は農水省 輸入・国際局を次なるキャリアに選んだのか。そこには「幅広い国際業務でキャリアを築き、日本の産業に貢献していきたい」という思いがあった――。

「国際業務」を通じ、日本の産業に貢献を

前職、放送関連機器を扱うメーカーにて人事労務職として働いていた石神さん。まずは「転職を考えるようになったきっかけ」から話を聞くことができた。

もともと、新卒入社1社目は航空会社で働いていた経験もあるのですが、あらためて「海外との接点が多い、国際的な業務に携わっていきたい」という思いが強くなり、転職を考えるようになりました。振り返ってみると、実家がよく海外からの留学生を受け入れる「ホストファミリー」を行う家庭だったこともあり、子どもの頃から「海外」を身近に感じていたのかもしれません。そういった原体験もあり、国際業務でキャリアを築きたいという思いに至りました。

前職の企業でも一部ヨーロッパに事業展開していたものの、私自身は国内で完結する人事業務を担当しており、ほとんど海外との接点はありませんでした。また、国内シェア約9割を占める主力製品を有するなど、いわゆる安定企業でもあったのですが、だからこそ、挑戦や成長の機会が得づらいとも感じていました。より幅広い業務にチャレンジし、自分の強み、武器となるスキルを見つけていきたい。そういった環境に飛び込んでみたいと考え、転職を決めました。

さまざまな転職先の候補がある中、なぜ、次なるキャリアに「農水省 輸出・国際局」を選んだのだろう。

まず「農水省でも輸出・国際関連の業務に携われる」ということを知り、とても驚きましたし、興味を持ちました。また、私自身、福岡県の畑や海が広がる地域で育ったのですが、知り合いが農家であったり、漁港で働いていたり、醤油屋を営んでいたり、農林水産業がとても身近な存在でもありました。農水省での仕事を通じ、そういった地域で暮らす人たちに貢献していけるかもしれない。何か自分にもできることがあるならば、やっていきたいと考えました。

加えて、輸出関連でいえば、国内企業が海外に展開していく難しさも前職時代に感じていました。前職で扱っていたもの、分野は異なりますが、そういった国内企業の海外展開支援にも貢献していきたい。それらの思いが重なり、農水省 輸出・国際局への入省を決めました。

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入省前の“霞が関の印象”について聞くと「正直にお伝えすると、選考を受けるまで「お堅いイメージ」があり、自分とは遠い存在だと思っていました。」と率直に話をしてくれた石神さん。「ただ、選考を受けてみると輸出・国際局の職員のみなさんがとても優しく、和やかな雰囲気でもありました。いい意味でのギャップがあり、志望意欲が高まったことを今でも覚えています。」

日本の農林水産物・食品を保護し、その魅力を世界へ

こうして2024年10月、農水省 輸出・国際局へと入省した石神さん。現在、在籍している知的財産課での業務概要について聞いた。

私が在籍している知的財産課では、植物の品種を保護する「種苗法」と、農林水産物・食品の地理的表示を保護する「GI(地理的表示)」を所管しています。

その中でも、私自身は前者の「種苗法」に関する国際業務を担当しています。わかりやすいところだと「あまおう」や「シャインマスカット」などの品種が代表的ですが、いかに日本の優良な品種を知的財産として保護し、適切に海外で展開していけるか。不当に種や苗が流出してしまわないよう、国際的な基準に沿って、海外現地の制度整備を各国に働きかけ、促していくことなどが重要な役割となります。

基本的には、相手国の農水省、知財特許庁のような機関がカウンターパートとなり、直接やり取りをしています。もちろん、国内外で法律整備・承認にはさまざまなプロセスが必要となるため、一筋縄ではいきません。国と国の交渉にもなるので、長いスパンで取り組むもの。そういった中でも、妥結に向け、ハイレベルな会合での議論に向けた調査、資料作成、調整などを行っています。その結果として、日本の輸出拡大に貢献し、日本のプレゼンス向上にも寄与していく。そういった目標の達成を目指しています。

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続いて、輸出・国際局での仕事の「やりがい」について石神さんはこう話す。

非常にスケールの大きな仕事に携わることができており、日々やりがいを感じています。たとえば、ASEAN諸国などで年に1回開催される国際会合や、経済連携協定(EPA)などの交渉に参加するなどがその一例です。たとえば、入省から1年と経たずに植物品種保護に関する条文に関する交渉、スイスにある品種保護に関する国際機関との調整などにも携わることができました。

また、そういった取り組みが実を結び、海外の方々にも「日本の果物や野菜はおいしい」と知ってもらうことにつながります。農業の活性化、新産業の創出、日本の国益のために「志」を持って取り組める。ここも大きな働きがいになっているように思います。ちなみに、入省前はいわゆる「公務員」の仕事に対し、事務作業が多く、前年の業務を踏襲していくイメージを勝手ながらに持っていたのですが、全く違いました。実際には、それまでに誰もやっていないことにチャレンジしていくことの方が多いです。もちろん、そこに至るまでのさまざまな取り組み、経緯、施策があるため、それらを踏まえつつ、バトンを受け取り、変化にも対応しながら、課題に向き合っていく。非常に刺激的でもあり、成長の機会が豊富にある環境でもあると思います。

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やりがいの一方で、ミスマッチをしないためにも事前に知っておくべき「厳しさ」について、「想像以上に多くのインプット、キャッチアップが求められるため、そのあたりは事前に知っておくといいと思います。」と話す石神さん。「たとえば、来年度予算案や事業を検討する際、輸出・国際局が所管する制度や法律だけを見るのではなく、そもそもの農政の基本理念や政策の方向性を示す『食料・農業・農村基本法』の理解を深める必要があります。閣僚会議での提言、新しい動きなどの把握も重要です。また、日々の業務でメールなど英語を多用しますが、植物品種、知的財産に関する専門用語も多いです。そもそもの知的財産の基本的な知識も必要ですし、現在も日々勉強を続けています。」

自らの「成長」を、社会への貢献につなげていく

取材後半に聞けたのは「仕事を通じて実現していきたいこと」について。

輸出・国際局では目標の一つに「輸出額拡大」を掲げているのですが、私自身も業務を通じて、その目標達成に貢献していきたいです。結果として、たとえば、海外のスーパーマーケットにて、適切に保護された日本の優良品種の農林水産物・食品が当たり前に販売されている、そういった光景を見ることができたら、とてもうれしいですね。

最後に、石神さんにとっての「仕事」とは、一体どういったものなのだろう――。

私自身は、仕事を「成長していく場」だと捉えています。新卒入社した航空会社で働いていた時に、コロナ禍で「ある日突然、仕事が無くなる」という経験しました。その先のキャリアが全く見えなくなり、当たり前ではあるのですが、「ずっと同じ会社で、同じ仕事をし続けられるわけではない」ということを肌で感じました。だからこそ、さまざまな社会の変化に適応できるよう、仕事を通じて成長し続けていきたい。どこででも活躍できるようになりたい。その点、輸出・国際局での仕事は多岐にわたりますし、異動を含め、多様な経験が積むことができます。そして、ここで得た自身の「成長」をしっかり社会への貢献へとつなげていく。そういった存在になれるよう、輸出・国際局での仕事と真摯に向き合っていければと思います。

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