INTERVIEW
千葉県 中途入庁者 特別インタビュー

千葉県が「副業人材」を3ポジションで公募。広報・データ利活用・観光マーケに求める「民間の力」

掲載日:2024/02/08更新日:2024/02/08
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2024年2月、千葉県による「副業人材」公募がスタート。今回募集を行うのは「統計データ利活用推進」「広報・情報発信」「観光マーケティング・地域連携推進」の3ポジションだ。同公募にあたり千葉県庁で働く森泰雄さんにお話を伺った。森さん自身、公募経由で2023年2月に入庁。副業でオープンデータ利活用推進員として働く。なぜ、彼は入庁を決めたのか。どのような仕事に取り組んでいるのか。千葉県庁での「働きがい」と共に伺った――。

▼募集ポジション一覧
(1)統計データ利活用推進事業
(2)広報・情報発信業務(広報刊行物や職員の広報力向上に関する助言、指導)
(3)ビッグデータ等を活用した観光マーケティングや地域連携の推進事業

民間企業で培った経験を「行政」で活かす選択

まずは千葉県庁に応募された理由から伺ってもよろしいでしょうか。

そうですね。もともと「行政の仕事にすごく興味があった」というのが一番の理由です。本業はIT企業で働いているのですが、行政のオープンデータに触れる機会もある中で興味を持っていました。千葉県に限らず、行政データは見づらいところ、扱いづらいところがあると感じていたのが正直なところ。貴重なデータをたくさん保有し、公開しているのに「もったいないな」と感じていました。

たまたま私自身、20年ほど千葉県に住んでいたこともあって「自分だったらこんなことがやりたい」「千葉県庁で働くみなさんと実際に話がしてみたい」と思い、応募をしました。実際、面談のなかでは「本気でデジタル改革を行う」「オープンデータ利活用に積極的に取り組んでいく」というお話があり、ぜひ一緒に取り組みたいと入庁を決めました。

副業といった形態について、どのように捉えましたか?

「副業で働ける」というのは、私にとってはすごくポジティブでした。むしろ副業でなければ応募していなかったかもしれません。私自身、本業でもデータ関連の仕事をしているのですが、そちらにも大きなやりがいを感じていて。同時にこれまでの経験、培ってきたデータに対する考え方が行政で活かせるならやってみたいと。副業だからこそ挑戦しようと思うことができました。

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千葉県庁にて「オープンデータ利活用推進員」として働く森泰雄さん(2023年2月入庁)。選考時の面談について「いわゆる硬い面接という雰囲気ではありませんでした」と語ってくれた。「やりたいことが伝えやすいように簡単な資料を用意した上で面談に臨みました。もしそれが千葉県の役に立つ、求められているものであれば一緒に働かせていただき、もし違えば、“求められていなかったんだ”がわかればそれはそれでいいかなと(笑)ですので、フラットな意見交換の場に近かったように思います。お話できて楽しかったですし、逆にいろいろと質問いただき、本気で取り組もうとされていることが感じられた面談でもありました」

多彩なデータを、地域課題の解決につなげていく

県庁での仕事で感じるおもしろさ、やりがいがあれば教えてください。

まず、さまざまなデータを扱うことができる部分は、すごくおもしろいですね。たとえば、千葉県は工業、農業、漁業も盛んですし、全国でも上位の生産額や産出額を誇っています。さらに同じ千葉県内でも、東京に近いエリア、自然が豊かなエリア、空港に近いエリア…それぞれの特徴や傾向が、市町村別の各データからも垣間見えます。これらのデータをうまく利活用すれば、地域課題の解決、新たなサービスの創出につなげていけると考えています。もちろんまだまだ発展の途中ですが、そういったところに向かって仕事に取り組めるのは、大きなやりがいになっています。

また、自部署の人たちだけではなく各課、県内市町村、他県の自治体、官公庁、民間企業、教育機関…さまざまな人たちと話す機会があり、考え方の幅や視野も広がっていく。さまざまな知が吸収でき、自身の成長にもつながっていると思います。

ちなみに実際に働いてみて良いギャップでもあったのですが、解決したい課題があり、理にかなう提案ならスピーディーに意見交換もしつつ「やってみよう」とどんどんカタチにしていける。県庁内のみなさんに協力いただきながらさまざまな企業との連携にもつながっています。そういった取り組みからオープンデータ利活用の道筋が見えてきて「役に立っている」と実感できる瞬間があり、すごく楽しいなと感じています。

一方で、自ら積極的にコミュニケーションを取り、主体的に関わり、提案していくことは本業以上に大切だと感じています。私の場合、週1日勤務が基本なので、限られた時間のなかで関係性を構築し、プロジェクトが進捗するように考えて動いていく。職員のみなさんが何をどう進めていくといいのか、ボールを拾いやすくするためにも、自ら発信し、意見交換し、必要なことはお願いしていく。ここは副業だからこそ求められることかもしれません。

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データ利活用の前段階「知ってもらうこと」にフォーカス

入庁から1年ほどですが、実際に取り組まれてきたことについて伺ってもよろしいでしょうか。

まずは利活用の前段階として「こんなデータがあるんだ」「こんな活用ができるんだ」と「知ってもらうこと」にフォーカスをあて、取り組んできました。たとえば、県庁内に向けたものだと各課・市町村で働く職員のみなさん向けに先行事例などを紹介する、オープンデータ利活用セミナーを行いました。そして、並行して取り組んだのが「これからの活用」を踏まえたデータの棚卸し。各課が個別に保有するデータの内容や形式は整理されていたのですが、さらにデータ単位(リアルタイム・四半期など)や位置情報の有無、現時点での活用有無を記載いただくことで「より深掘りすべき/できるデータ」か「活用がしやすい/しにくいデータ」か、ここが区別でき、発展させやすいようになるといいなと取り組んできました。ここからは「データを使いたい」という民間企業や教育機関などへの実際の提案、利活用の検討にも取り組んでいければと考えています。

もう一つ、県庁外に向けた取り組みでいうと、千葉大学と共同でのアイデアソンも実施しました。これも「まずはオープンデータについて知ってもらおう。考えるきっかけにしよう」と企画したもの。発案者は私となっていますが、企画にあたり大学側と県庁側で「求めていること」をすり合わせたり、学生が行う県庁職員インタビューに協力いただいたり、職員みなさんの協力があってこそ実現できたもの。少しでも学生たちが県庁のことや千葉県に関心を持つきっかけになったり、職員側も「大学生はこういった疑問や視点を持っているのか」と知る機会になったり、もちろんオープンデータへの意識を高めてもらうきっかけになっていたらうれしいなと思います。

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森さんが企画立案・実施した千葉大学との「データ利活用アイデアソン」

「人に喜んでもらう」ための仕事を

続いて、今後の目標について伺ってもよろしいでしょうか。

引き続きオープンデータの有効な利活用を目指していきたいと考えています。県庁の職員みなさんにとっても、企業・県民のみなさんにとってもプラスになるデータの使い方を見つけ、それを実現できるように取り組みたいです。もちろん一朝一夕で実現できるものではないと思いますので、着実に前に進めていければと思います。

そして先々の目標だと、ゆくゆくは千葉県庁の職員みなさん自身がデータに強くなり、自走していただける体制を目指していけたらと考えています。働きながらも感じるのですが、やはりみなさん「行政のプロ」なので、私一人がやるより、データの扱い方や考え方を身につけ、それぞれで動くことができたら、何倍、何十倍といった力になるはず。みなさんの力を合わせれば、もっとより大きなインパクトにつながり、オープンデータ利活用は推進されるはず。そういった環境が構築できるよう、設計をしながら進めていければと思います。

最後に森さんにとっての「仕事」とはどういったものか、その捉え方について伺わせてください。

私のなかで仕事は「人に喜んでもらうこと」なのかなと思います。もちろん仕事をしていくなかで、個人としてさまざまな経験や知識が得られることは楽しいです。ただ、やはり一人では完結しないもの。得てきた経験や知識が誰かの役にも立っていたり、「一緒に仕事をしてよかった」と喜んでもらえたりすることがうれしいし、そこを目指したいですね。

もちろん新人の頃はとにかく目の前の仕事をこなすことしかできませんでした。個人的な成果に目がいき、周りを見る余裕もありませんでした。ただ、さまざまな経験を積むなか、少しずつ視野が広がっていったように思います。いろいろな人たちを巻き込み、一緒に仕事をしていくなかで気づいたのは、まわりに喜んでもらったり、楽しいと思ってもらえたりした仕事ほど成果が出るということ。結果が出ると全員のモチベーションも上がりますし、プラスの発想になり、良いものになっていく。私自身、データを扱う仕事がすごく好きな理由は、データを活用しながら、さまざまな人たちとつながり、役に立っていくことができるからなのかもしれません。これからも誰かに喜んでもらえるために「データ」と向き合っていければと思います。

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