INTERVIEW
農林水産省 輸出・国際局

世界の「農林水産業」に、輸出・国際業務で貢献を――JAXA、民間企業を経て「農林水産省」で見つけた道

掲載日:2025/01/10更新日:2025/01/10
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農林水産省 輸入・国際局での中途採用にあたり、特別インタビューをお届けする。今回取材したのは、新卒でJAXA入構、その後、民間企業での国際業務を経て、2023年9月に農林水産省に入省した小野 希美さん(輸出・国際局 新興地域グループ 国際専門職)。なぜ、彼女は農林水産省でのキャリアを選んだのか。そこには「より生活に近いテーマで、社会全体の役に立っていきたい」という思いがあった――。

農林水産省「輸出・国際局」について

農林水産省における「輸出・国際局」は、2021年7月に新設された局。6つの課で構成され、農林水産物・食品の輸出促進や農林水産省の国際関係の舵取り役・実行を担う役割を持っている。政府は2030年、農林水産物・食品の輸出額を2020年比3倍超となる5兆円への引き上げを目標に掲げており、その上で重要なのが、生産段階から物流、通関手続き、ロジスティクスなど輸出課題の解決。さらに各国との信頼関係を構築すること。そのため輸出・国際局では、輸出促進の施策とともに、国際関係(EPA、WTO、APECなど)にも関与。ODAや二国間関係の強化も中長期的なミッションと掲げている。特にいまウクライナ情勢を経て、農林水産物・食品の価格が高騰し、「食料安全保障」にも注目が集まるなか、食料の安定供給や国際貿易の円滑化など、輸出・国際局に求められる役割は拡大している。

仕事で社会に良い影響を。二度の転職を経て見つけたキャリアの選択軸

JAXAにて8年ほど国際調整等を経験。その後、インテリア雑貨ブランドを展開する民間企業を経て農林水産省(以下、農水省)に入省した小野さん。まずは農水省への入省に至った経緯から話を聞くことができた。

これまで異なる業界で働いてきたのですが、あらためて「社会により良い影響を与えていきたい」「社会の役に立つ実感が得られる仕事に就きたい」という思いを抱くようになっていきました。そういったなかで出会ったのが、農林水産省の輸出・国際局の募集です。

まさにAMBI経由で求人を知ったのですが、「農水省にもこういった仕事があるんだ」という驚きがあり、「興味あり」ボタンから選考に進むことに。実はそれまで農林水産業に対してそこまで強い関心があったわけではないのですが、選考が進むにつれて理解と興味が深まっていきました。海外旅行が趣味でもあるのですが、海外で日本食などの人気が高まっていることは肌で感じていましたし、身近に感じやすいテーマですよね。さらに語学力や国際関連業務の経験を活かすこともできると考え、農水省への入省を決めました。

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小野 希美|農林水産省 輸出・国際局 新興地域グループ 国際専門職
2013年、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)に入構。有人宇宙技術部門や広報部での勤務を経て2021年JAXAを退職、株式会社Francfrancに入社。セラミック食器の商品開発を担当。2023年9月に農林水産省に入省。国際地域課で東アジアを担当したのち、2024年10月より現職でインドを担当。 農水省入省時の選考について「どの職員の方も話しやすく、和やかな雰囲気でした。その場で職員の意見が尊重される風土があると感じたのですが、そこは入省後も変わらない印象です。」と振り返る。

日本の「農林水産業の未来」につながる仕事を

続いて聞けたのが、現在の担当業務について。インド政府との協議をはじめ、グローバルな環境で「日本の農業の未来につながる仕事」に携わっているという。

現在、南アジアやアフリカ、中南米などのエリアを担当する「輸出・国際局 新興地域グループ」に所属しており、私自身はインド担当として働いています。

その中でも主に「インドの農業のための技術協力・支援」を担っています。例えば、どうすれば日本製の農業資材、農業機械・製品を現地の農家さんたちに広く使ってもらい、役に立てるか。農業分野で深い協力関係を築けるか。モデルファームでの実証事業やインド政府との協議などに携わっています。

特に現地では日本製のトラクターや関連するアタッチメント、少ない肥料で農作物が育ちやすくなる特殊な資材など、日本ならではの技術が注目されています。インドには小規模な農業さんも多く、日本と同じように農業の担い手不足が大きな課題となっています。そういった意味でも、農業の効率化や作物の収量増加に貢献できる日本の製品や技術の普及はインド側からも期待されているところです。ただ、どうしても小規模な農家さんだと資金面での課題が大きく、新しい機材の購入にはハードルが高い。そこで、補助金のスキームなど、制度面をインド政府と協議していくのも私たちの重要な役割だと思っています。

インドは既に農業大国ですが、効率的により多くの農作物を作れるようになれば、さらに発展する可能性があります。その結果「食料安全保障」といった観点から国際社会にも恩恵があるとも考えられます。そしてなにより、日本にとっても、インドをはじめ海外の大きな市場での成功事例が生まれれば、日本の農業界全体の活性化や発展などに貢献ができると考えています。

やりがいを感じたエピソードでいくと、入省まもなく国際地域課に配属となったのですが、そこで東アジア地域を担当した時の仕事はとても印象に残っています。中国、韓国、台湾、マカオなどの東アジア地域は、既に日本食や日本産の農水産物が普及していますが、日本での震災や原発事故を受け、厳しい輸入規制が掛けられているエリアでもあります。現在も完全撤廃には至っていないのですが、外務省とも協力しながら規制緩和に向けた交渉を緻密に進めていくといった業務を経験できました。当然、相手国・地域も規制緩和には慎重になります。そういった中、段取り、タイミング、協議内容など慎重に精査し、相手国・地域に対してアプローチし、働きかけを行っていく。その結果、一歩ずつ議論が進み、担当地域での規制緩和が発表され、チーム全体で成果につなげることができました。ニュースにもなりましたし、何よりも日本の農家さん、事業者さんからうれしい声を寄せていただくことができました。そういった声が何よりもうれしかったですし、まさに「私がやりたかった、多くの人に影響を与えていく仕事」だと感じました。また、同じ熱量でミッションに向き合い、協力してくれる上司や同僚が農水省にはいる。そういった仲間と良いインパクトを生み出す取り組みができる。ここも私が感じる農水省で働くやりがいですね。

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やりがいの一方で、ミスマッチをしないためにも事前に知っておくべき厳しさについて「非定型な業務が多く、走りながら考える、考えながら走るといった仕事との向き合い方が求められます。」と話をしてくれた小野さん。「わからなくてもまずは飛び込んでみて、必要な情報やつながりを自ら取りにいく姿勢が求められると思います。前例がないことに挑むことも多いですし、必要とされる情報も膨大です。まわりも全てを教えることは非現実的。その場その場でやるべきこと、必要な情報を見極め、乗り越えていく瞬発力、適応力、キャッチアップ力が必要になります。一方で新しい環境に飛び込み、どんどん吸収する必要があるため、そういった状況を楽しめる方にとってはとても刺激的ですし、おもしろいと感じられる環境だと思います。」

「日本の農業を守っていく」という役割を果たしたい

そして取材後半に聞けたのは、今後の目標について。

日本の農業を守るために、もっと世界中に日本の野菜や果物を届けていきたいです。 当然、海外で「日本産」の人気が高まるのは一個人としてうれしいです。同時に、それだけではなく、農水省職員として少し広い視野で見た時に、日本の農業が活性化していくためには「輸出」が重要な新しい扉となると私は考えています。国内の需要と供給ももちろん大切ですが、国内だけでは消費量に限界があり、それだけではこれからの農業を守っていくのは難しい。だからこそ、世界中に日本の農作物が広まり、食べてくれる人の絶対数が増えれば、日本の農業も活性化していくはずです。とはいえ、輸入規制があったり、価格が高かったり、障壁がまだまだ高い。その障壁やハードルを少しでも低くしていきたいです。

また、農水省内での仕事でいえば、さまざまな部署・角度から「輸出拡大」に関わっていけることも魅力だと思っています。例えば、世界各国の大使館や領事館、国際機関などに派遣されたり、出向をしたりできるポストもあります。基本的にそれらは公募で決まるため、ぜひ積極的に手を挙げていきたいですね。実際、派遣や出向から帰ってきた先輩達を見ていると現地情報に明るく、人脈を持っており、非常に頼りにされていますし、やはり発言一つひとつにも説得力がありますよね。私もそういった存在になりたいですし、「日本の農業のために」という目的に対し、その時々の立ち位置から向き合っていければと思います。

最後に聞けたのは、仕事に対する価値観について。小野さんにとっての「仕事」とは一体どういったものなのだろう。

「社会全体に関われる立場で、日本に貢献する」という役割が、私にとっての仕事だと思っています。どう自分が社会に関わりたいか、どう貢献したいかについて、異なる業界で経験を積みながら考えた結果として、社会とつながり、良くしている実感を仕事で得ていきたいという軸を見つけることができました。ただ、紐解いていくとそこまで大きな話ではなく、家族や友人など身近にいる人たちがずっと笑顔でいてほしい、そういった思いが根っこにはあるのかもしれません。それを実現していくためにも、広くみんなのためになる仕事をし、社会を良くしていきたい。農水省での仕事はその思いを叶えていけると場所だと思っています。そしてあらためて「日本に貢献していく」という役割を果たすために、これからも農水省でがんばっていければと思います。

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