INTERVIEW
Goodpatch

コスメの新ブランド立ち上げも。彼女が「Goodpatch」で切り拓く、UXデザイナーの新たな道

掲載日:2024/02/09更新日:2024/02/09
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UI/UXに強みを持つデザインカンパニー、Goodpatch。今回取材したのは、同社でUXデザイナーとして活躍する江原美佳さん(29)だ。クライアントである化粧品会社にて、コスメの新ブランド立ち上げなども牽引し、Goodpatch社内初となるビジネスモデルの確立にも挑む。本質的なニーズを捉え、ユーザー体験の最大化を図る「UXデザイン」の可能性をさらに切り拓く江原さん。彼女を突き動かすもの、そして「志」に迫った。

UXデザインとは?
UXデザインとは、サービスや製品などを使うユーザーの本質的なニーズを発見し、サービスの理想的な体験を提供することを目的とした方法論。「デザイン」というとビジュアルを扱うイメージもあるが、UXデザインはユーザーが製品やサービスを通してどんな課題を解決し、どんな価値を得られるのか、一連の「体験」を設計(デザイン)する。具体的には、インタビューやプロトタイプテストなどで得た定性情報などを通じ、ユーザー心理を正しく捉え、愛されつづける顧客体験をデザインしていく。Goodpatchでは、制作物や成果物を納品するだけでなく、デザインパートナーとしてクライアントに伴走し、ユーザーを起点とするサービスづくりの文化やプロセスをもクライアントにインストールすることで、サービスの持続的成長への貢献を目指している。幅広い知識が求められるため、あらゆるビジネススキルを生かすチャンスがある。実際、Goodpatchに在籍するUXデザイナーの出身業界はメーカー、コンサルティングファーム、広告代理店、調査会社など多岐にわたる。デザイナーのほかにも、営業、PM、経営企画、事業企画、マーケティングなど、さまざまな職種からUXデザイナーに転身するケースもある。

元電通の営業がUXデザイナーに。Goodpatchに求めた成長環境

まずはGoodpatch入社の理由から伺ってもよろしいでしょうか。

クライアントの事業課題に対して解を出すための武器となるスキルを増やしたい。そのためにまず「UXデザイン」についての専門性を高めたい。そう考え、Goodpatchへの入社を決めました。新卒では電通に入社し、3年ほど営業として働き、退職後デザイナーに転身したのですが「エンドユーザーの本質的なニーズを適切に捉える」「良い体験ができるようにユーザーとの接点をなめらかに設計していく」ということが、事業においていかに重要か肌で感じて。それがまさに「UXデザイン」だったんですよね。

一見すると「UXデザイン」はデザインという言葉もつくので「画面やポスターなどのビジュアルを作るデザイン」も連想してしまうのですが、違うものであると。

そうなんですよね。インタビューやプロトタイプテストなどで得た定性情報を通し、真のユーザー心理を正しく捉え、愛され続ける顧客体験をデザインしていく。特にGoodpatchの場合は、ユーザー起点のサービスづくりと、そのプロセスをクライアントにインストールし、サービスの持続的成長に貢献していく。これがUXデザイナーの役割でもあります。同じ志を持った仲間たちと切磋琢磨できる環境に身を置き、専門性を追求するならGoodpatch以外には考えられませんでした。

選考過程でわかったことでもあるのですが、UXデザイナーはもちろん、UIデザイナー、 戦略構築に長けるストラテジスト、ブランド構築などに力点を置くBX(ブランドエクスペリエンス)デザイナーといった職種で活躍しているメンバーもいて。プロジェクトによって多様な強みを持つメンバーとチームを組むことができるのも面白いなと感じましたし、心強いな、と。何より優秀な仲間の近くで働くことでスキルを盗ませてもらえる(笑)。ここでならレベルアップしていけると思いました。ちなみに、応募をしてみるとわかると思うのですが、すごく丁寧にフォローしてもらえるし、連絡もスムーズ。選考が進むにつれ、どんどんGoodpatchのファンになってしまって。「選考のUXまですごいんだ」と感動しました(笑)。ここも志望度が高まった理由の一つですね。

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慶應義塾大学経済学部卒業後、電通で営業を3年、その後、デザイナーへと転身した江原さん。キャリアチェンジの背景として「サービス・プロダクトの開発段階から関わっていく仕事がしたかった」と語る。「電通では国(パブリックセクター)のプロジェクトを担当していました。予算もインパクトも大きな案件に携わることができ、やりがいはありましたしここで課題解決の基礎を叩き込んでもらいました。一方クライアントの事業自体に踏み込むことや、広告コミュニケーション以外のソリューション提供が難しいことに対するモヤモヤがありました。同時期に京都芸術大学の通信コースに入学し、改めて自分でコンセプトを考えながら手を動かしてものをつくる楽しさに気付いたんです。デザインから物事に関わってみたいな、と。とはいえ、デザインは未経験。一般的な応募からの転職は難しいのではないかと考え、まずは知人の紹介で、デザイナーとして活躍している人のアシスタントになる選択をしました」

コスメの新ブランドを立ち上げ。Goodpatch初のビジネスモデル創出・推進へ

実際、UXデザイナーとしてどのような仕事をされているのでしょうか。

UXデザイナーなので、大きくいえば「ユーザー体験」をデザインしていくのですが、じつはかなり多岐にわたっていて。プロジェクトによっては新規事業立ち上げ、ブランド立ち上げ・商品企画などを行うケースもあります。

たとえば、現在はクライアント企業である化粧品会社と、新しいコスメブランドの立ち上げや、新商品の開発を進めているところです。どういう商品があったらいいかのアイディエーションから、コンセプト考案、ブランド・商品のネーミング、キャッチコピー開発、容器・パッケージデザイン、キービジュアルや店頭什器のデザインなど、トータルで携わっており、2024年春(現時点の予定)のローンチに向けて進んでいます。私の役割はプロジェクトリード兼UXデザイナーで、ほかにもUIデザイナー、コピーライター、アートディレクター、事業戦略を立てていくストラテジストが参画しています。じつはGoodpatch初のビジネスモデル*でもあって。すごくおもしろい挑戦をさせてもらえています。

Goodpatch初のビジネスモデル*…いわゆるレベニューシェア(成功報酬)型の事業共創モデル。Goodpatchでは、いわゆるクライアントワークに関しては「デザインパートナー」として、クライアント企業の課題に応じてデザイナーをアサインし、デザイナーの稼働時間に応じた対価を得る準委任契約を結んでいる。一方、レベニューシェア型の事業共創モデルの場合は、事業そのものをクライアント企業と共に創ることで、収益に応じて、その一部をレベニューシェアとして得る。日本ではデザインへの投資が重要であると認識している企業は増えつつあるものの、デザイナーに「制作の一部だけ委託する」という考え方が根強く残っているのが現状。Goodpatchとしては、そうした構図が残っていることこそ、デザイナーの価値が社会的に認知されにくい要因の1つと考えており、新たな事業共創モデルを確立することができれば、デザイン業界にとっても大きな一歩になると考えている。

業界としても新しいモデルに成り得ると。ちなみにこのプロジェクトが立ち上がった背景や経緯について伺ってもよろしいでしょうか。

じつはそのプロセスも変わっていて。もともと私自身、コスメやファッションが好き。同じくコスメや美容好きの同僚と「スキンケアサークル」を社内につくり、「どんなユーザーのペインがあるのか?」「私たちが本当に欲しいコスメとは何か」「世に出ていないものとは何か」と無邪気にブレストしていて。別のところで、シニアデザインディレクターが化粧品会社と「何らかの形で事業共創できないか」と動いていて、スキンケアサークルに声をかけてもらい、課外活動的な位置付けでスタートしました。そこで、スキンケアサークルのなかで出てきた案を提案したところ、すごく高く評価していただけました。「メーカーの中にいると実際に売るまでの壁を知ってしまっているからこそそんなアイデアは出ない。自由な発想でアイデアをくれるのはありがたい」と。とはいえ、ユーザー体験を良くすることに意識を向けるあまり、事業や組織の課題をスルーしてしまうことのないようバランスを取り進めています。

受け身ではなく、自分から旗を立てにいく。自分の「好き」もみんなに知ってもらう。じつは社内サークルも「スキンケア・コスメ関連の案件なら江原に相談しよう」と思ってもらえたらいいなと、入社3ヶ月目で立ち上げたものでした。「やりたい」があれば、みんながバックアップしてくれて、挑戦を応援してくれる。今回のプロジェクト立ち上げで実感を持って学びましたし、これもGoodpatchの良いところだなと思います。

正直、まだまだ駆け出しなので、プレッシャーもある。ただ、何よりのモチベーションになっているのが、挑戦させてくれる会社の環境、そして常に支えてくれるチームメンバーです。今までにない新しいビジネスモデルで進めていくことに決まったのも、外資系消費財メーカーやコンサルティングファームを渡り歩いてきた敏腕シニアデザインディレクターが強力に推進してくれたから。さまざまなバックボーンを生かした最強のチーム。何が起こってもこのメンバーならやりきれる。そういった確信がありますね。

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新たなビジネスモデルに挑戦する魅力について「クライアントと同じぐらいの熱量と目線で、責任を持って開発から関われる」と語ってくれた江原さん。「社外の人間であり、デザイナーという立場で、しがらみなく『ユーザー視点だとこうしたほうがいいと思う』と率直な提案ができるんです。クライアントも、忌憚ない意見を求めてくれているので、普段からフレッシュな目線を持てるように意識していますね。実際に店頭にいって商品を体験してみることはもちろん、ときには、友人や家族を店頭に連れていったり商品を使ってもらったりして感想を聞くこともあります。そうした声もききながら、商談前から『ここは良かった/微妙だった、他社はこうしている』など、分析していますね」

1つでも多く「ときめき」を設計したい

今後、江原さんご自身として実現していかれたいこと、目標があれば教えてください。

会社全体の目線で言えば、いわゆる従来のクライアントワークだけではなく、まさに今手掛けているようなビジネスモデルの次なる事例も増やしていきたい。新たなパートナーシップを組み、 さまざまな企業と事業共創する事例をつくっていくことで、貢献していける存在になれればと思っています。

また、個人的な思いとしては、ビジネス視点、ユーザー視点の両方を兼ね備えたブランドの伴走者になりたいと考えています。自分が関わったからには、ただ良い商品をつくるだけではなくプラスαとして「ユーザーがときめくようなもの」を 1つでも増やしていきたいです。

たとえば、私は「このプロダクト、ユーザーの心の機微、繊細さが分かっているな…」と思った瞬間にときめきます。最近、ダイエットのために食生活を記録・改善するアプリを使っているのですが、その日の頑張りをSNSなどでシェアする時に自分の体重部分を目隠しできる仕様になっていて。体重は人に知られたくないけど、頑張りは知ってもらいたいじゃないですか(笑)。その配慮に「なんてきめ細かい…!」と、ときめいてしまいました。

私自身も、こうした「ときめき」を設計していきたい。特に私は、自分の好きな領域でもある、コスメ・ファッションなど消費財の領域を突き詰めつつ、人々の毎日の暮らしがもっと楽しく、豊かになることに貢献していきたいですね。

最後に、記事の読者にメッセージがあればお願いします。

これは個人的な思いですが、デザイナーを志す女性がもっと増えて、人気の職種になるといいなと思っています。

「デザイナー」というと、いわゆる「長時間労働、体力勝負、美大卒でないとなれない」といったイメージがあるかもしれませんが、Goodpatchにおいてはそんなことはありません。どうしてもプロジェクトが佳境になると立て込むこともありますが、それも自分次第でコントロールしやすいため、そこまで負担に感じたことは私はありません。 子育て中の社員や、フルリモートで地方に住みながら働いているメンバーも多いです。

そもそも会社自体の姿勢として、良い労働環境、いきいきと働くデザイナーを自社から増やしていき、デザイン業界を変えていこう、プライベートも大事にしながら活躍できるようにどうすればいいか都度一緒に考えて進めていこう、という風土があります。あまり心配せず、飛び込んでもらえればと思います。

特に、UXデザイナーに関して言うと、個人的には女性に親和性の高い職種ではないかと思っています。というのも、メインユーザーが女性のビジネスを展開している企業は非常に多く、ユーザーの課題や本質的なニーズ、理想的な体験をサービスやプロダクトに反映させたいというニーズも高いからです。日々感じていること、ご自身の興味・関心を生かしやすい仕事なのではないかな、と。社内でも「女性のデザイナーが増えたら、社会はより良くなるのでは」とよく話しているんですよね。私としても、ぜひ一緒に働けると嬉しいです。

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