「今は、ロジカルに課題を解決していくスキルを磨ける環境に身を置きたい」こう語ってくれたのは國府方 奈緒さん(28)。2023年7月にエムスリーに入社し、シニアアソシエイトとして活躍する。前職は、大手人材系企業で営業・マーケティングに関わっていた彼女は、なぜ次のステージとしてエムスリーを選んだのか。そして同社で得た成長機会とは。「変革を起こせる人になる」という理想に向かって歩み続ける、彼女の奮闘に迫った。
エムスリーについて
日本最大級の医療従事者向けプラットフォーム「m3.com」を運営。自社プラットフォームで得られるデータを活用した、医療業界の改善につながる価値あるサービスやプロダクトを創出している。
人材会社の営業・マーケターから、エムスリーのコンサルタントに
前職はどういった仕事をされていたのでしょうか?
新卒で人材系企業に入社し、新規事業であるスキルシェアサービスの営業を4年ほど、最後の1年は兼務でマーケティング組織立ち上げにも関わっていました。新サービスに関われたことは良い経験でした。会社全体としても特に営業がリードしていく組織であったため、熱意で人の心を動かしていく力、営業としてやりきるマインドは非常に磨かれました。
一方で、いまいち「武器」と言えるものがない感覚があったのも事実。この先ビジネスパーソンとしてもう一段成長していくには、どうしていくのが良いのだろう。そう考えた時、私はデータをもちいてロジカルに課題を解決していく部分が弱いと感じていました。データなどからロジカルに戦略を組み立て、アクションに落とし込んでいく。そうした一連の経験を積んでみたいと思い、転職を考えるように。転職活動をするなかでは、コンサルティングを提供している会社全般を見ていました。
いわゆるコンサルティングファームも選択肢にあったと思いますが、なぜエムスリーだったのでしょうか?
いわゆるコンサルティングファームも魅力的ではあったのですが、エムスリーは圧倒的に成長スピードが速そうだと思ったからです。というのも、早期から任せてもらえる環境があると聞いていました。そして、クライアントに対してはコンサルティングのアプローチを行うことに加え、そこで得た学びを自社サービス開発に活かし検証していける。両軸があるのでやることが幅広く、早くから実践経験を積める。ここは大きな魅力でしたね。
ちなみに、選考で出会った面接官の方に憧れたのも大きかったですね。落ち着いた中にも熱意があり、ロジカルで建設的なコミュニケーションをしてくれて。「エムスリーで働けば、自分もこんな風にロジカルと熱意を併せ持つような人になれるかもしれない…」そんな期待感も高まったことを覚えています。幸いご縁があり入社しました。
自身に足りていないスキルに気づいたのは、前職担当していたスキルシェアサービスの案件の中で、某大手外資消費財系メーカーのマーケターのキャリアに触れたことだった語る。「その方は、データから紐解きビジネス戦略を組み立て、アクションに落とし込んでいくことに長けていました。その経験を見込まれ、まったく異なる業界の新規事業をサポートするポジションに抜擢されたんです。その時、戦略立案からアクションに落とし込んでいく考え方は、あらゆるビジネスにおいて求められるベースとなるスキルであり、身につけられたら強い武器になる。そう確信しました。ちなみに、エムスリーは医療業界特化の会社ではありますが、私が求めるスキルをつけていくフィールドは十分にあると考えていました。そのため、担当業界の幅が狭まるといった懸念はあまりしていなかったですね」
膨大なデータが武器。エムスリーだからこそ、生み出せる価値がある
入社後は、どんな業務を担当されているのでしょうか?
ミッションは、クライアントに対して、自社サービス「m3.com」を活用したマーケティング戦略立案と実行支援を通して売上に貢献していくこと。適宜、サービスを作り替えカスタムしながら提案していく自由度があるのも特徴です。
特に、私が向き合うのは、製薬会社のマーケティング担当者の方々。みなさん、それぞれ「医師にもっと自社の薬剤を処方して欲しい」というニーズを持っていらっしゃるので、そのゴールに向けてコンサルティングを行っていきます。
基本的な流れとしては、「m3.com」上で医師へのアンケート調査を実施し、得た回答を分析して医師の傾向・属性を洗い出していく。各パターンに対して、どういったプロモーションを実施していくのがいいか、ご提案していくイメージです。
特に、印象的だったプロジェクトを事例に、仕事のやりがいを感じる瞬間について伺えますか?
そうですね。自分の何倍も薬剤のことを考えている、知識も豊富なクライアントから「新しい気づきを得た」「新たなアプローチの可能性が見えました」と言ってもらえたときは、本当に嬉しい。膨大なデータを武器にもつエムスリーだからこその提案ができたとき、やりがいを感じますね。
特に印象に残っているのは、入社初期に担当したクライアントのプロジェクト。本件に限らず、クライアントの多くは、「ある属性の医師から自社の薬剤が選ばれなかった」という事実は把握していても、「なぜ選ばれなかったか」までは特定はできていないことが多いです。そこで、「m3.com」で医師のアンケートをとり、回答を分析していくと、「選ばれなかった理由」としていくつかの仮説が浮かび上がってきます。
たとえば、そもそもまだ薬剤を認知していないのかもしれない。あるいは、薬剤を認知はしているものの副作用などの懸念材料があり処方を躊躇しているのかもしれない。なかには、昔から使っている競合薬剤があり、新薬にきりかえようと思っていないという可能性もあります。それぞれの医師の属性が見えてくると、当然適切なアプローチも変わってきます。
各属性に対して、どこで何を伝えていくとよいのか、粘り強く示唆を出していきました。その結果、クライアントがこれまでまだ試したことのなかった訴求の方向性が見えてきました。実際にどういったプロモーションを行っていくかは未だ検討段階ですが、自分の示唆から議論の発展につながっていった手応えを感じられています。
「成功事例をなぞった提案で、本当に価値を出せる?」上司の一言で、変われた
一方で、入社当初、特に苦戦した部分があれば教えてください。
オーナーシップを持ち、目の前のクライアントに合わせて、仮説を立て、ベストな施策を考え試算しぬく。コンサルタントとして至極当然のことのようでいて、真の意味でここをやり抜くのは想像以上に難しい。入社当初、自分の未熟さに愕然としたのを覚えています。
特に忘れられないのが、入社して3ヵ月目のころ上司にもらったフィードバック。経験も浅いからまずは過去の成功事例を真似してみよう、と作成して提出した提案資料に「過去事例をなぞった提案で、本当に今目の前にいるクライアントに価値を出せると思っている?」と問われ、何も反論できませんでした。
そして、周りのメンバーを見渡せば、成功事例を単に横展開している人はいませんでした。「本当にその打ち手でいいのか」「なぜその打ち手が良いと言えるのか」自分のなかで消化し、説明できるまで、上司との壁打ちを重ねたり、仲間同士でアイデアを出し合ったりしている。ときには、別部門のMR出身の社員に相談しに行き、「薬剤について教えてください。当時、医師はこういう反応を示しており、自分はこんな仮説を立てているのですがどう思いますか?」とフィードバックをもらいにいっている。同年代のメンバーのオーナーシップの高さを目の当たりにし、「このままじゃダメだ」と思いました。
そこからどのようにして「考え抜く」ことを、ものにしていったのでしょうか?
まず、「主語がクライアントになっているか」を常に意識するようになりました。それを実践する上で大事だと思っているのが、少しでも曖昧さをはらむポイントを全て洗い出し、詳らかにすること。なぜそうなっているのか。背景にはどういった理由があるのか。全て自分の言葉で説明できるまで、つぶさに考え、整理するようにしています。
正直、忙しくなると「これはまあ大丈夫かな」と見過ごしてしまいそうになる時もあります。ただ、そこをグッとこらえ、一度立ち止まって考えることが大事。まだ苦戦中ではありますが、前の自分と比べれば、「今回のクライアントには、この施策でこんな価値を与えられるはず」と、文脈と合わせて説明できるようになってきました。少しずつではありますが、自信もついてきましたね。
エムスリーの好きなカルチャー・風土についても語ってくれた。「1つは、ナレッジシェアが盛んな点です。業務上必要な知識はシステムにまとめてありますし、ロジカルシンキングや構造化スキルなど抽象度の高いことに関しても先輩方に聞けば習得方法を教えてくれます。『私も最初は苦労したけど、こんなトレーニング方法でうまくいったよ』と実体験をもとに教えてもらえるのは心強いです。もう1つ、『誰が言うかよりも、何を言うか』が重視されるカルチャーです。端的に言えば、上長や部下の立場は関係なくフラットに意見を言い合える。メンバーから出たアイデアのほうが筋の良ければメンバーのアイデアが採用されます。私の前職ではそういう風土はなかったため、良い意味でカルチャーショックでした」
いつか「変革を起こせる人」になるために
ご自身として、今後チャレンジしていきたいことなどがあれば教えてください。
まずは、日々の業務でクライアントに対して価値を出していく。そして今後は、自社サービス開発でもバリューを発揮していければと思っています。
実は4月から、社内のサービスをいかにグロースさせていくかを考えていくサービス開発チームにも参画しています。その上では、目の前にいるクライアントのことだけではなく「サービスが、エムスリーの成長にどれくらいインパクトを与えていくか」といったより俯瞰的な目線・フレームで考えていくことが求められます。まだ参画して間もないですが、コンサルタントとして現場でソリューションを提供していくのとは、また違った脳の使い方になりそうだなと感じています。また、関わる人も多様。営業、コンサルだけではなく、経営メンバー、プロダクトマネージャーやエンジニアの方とも関わっていく。今から楽しみですね。
國府方さんにとって仕事とは?
仕事とは、社会貢献の手段であると同時に、自己実現の手段でもあると捉えています。私はキャリアのゴールとして、悩める企業に対して何かしら気づきを与えられるような人になれたらいいなと思っていて。というのも、前職時代はあらゆる業界・業種のお客様と関わるなかでも、いわゆる日本企業の“変革が起こりづらい体質”は肌で感じてきました。どの企業も、さまざまなシーンで「変わりたいけど、どうしたらいいか分からない」というジレンマを抱えていると知りました。そこに、ビジネス戦略から考えてアクションに落とし込んでいくスキルが合わされば、より個人として価値を発揮できるビジネスパーソンになれるのではないかな、と思うんです。そういった理想の自分に近づくために、今はエムスリーで修行し、ギャップを埋めにいっているところ。少しでも理想に近づけるように、これからもまい進していきます。