INTERVIEW
Ridgelinez

ダイバーシティ経営を当たり前に。働く女性に元気を。富士通発総合プロフェッショナルファーム 執行役員の志

掲載日:2024/06/19更新日:2024/06/19
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「日本をダイバーシティ経営でアップデートしていく。それが私のミッションだと思っています」こう語ってくれたのが、Ridgelinez 執行役員Partnerの関優子さんだ。同社にてChief Diversity & Inclusion Officer(CDIO)も兼務する彼女。もともと米国にて20年ほど戦略コンサルタントとして活躍し、2022年2月に同社に加わった。そこには「働く女性を元気にしていく」という揺るぎない志があった――。

「Ridgelinez」について
2020年に富士通により設立された総合プロフェッショナルファーム。企業の変革・DX(デジタルトランスフォーメーション)の戦略から実行までを支援する。同社は、「Strategy」「Design」「Technology」をクリエイティブに融合させたアプローチを強みとし、クライアントの経営課題解決に伴走する。設立以来成長を続けており、データドリブン経営やライフタイムバリューに基づく成長戦略、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)において顧客より高い評価を獲得。多様な専門知識を持つコンサルタントが横断的にチームを形成、「4X+T」という独自のフレームワークを用い、顧客の経営課題の解決に取り組む。コンサルタントは「Industry(業界)」「Competency(ビジネステーマ)」「Technology(技術)」の3カテゴリーに分類され、幅広いプロジェクトに参画し、専門性と市場価値を向上させている。また、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の促進にも注力し、CEO直下に設置された「D&I推進室」が約70名の有志とともに活動。男性育休取得率の向上や産前・産後休暇、育児休暇、福利厚生サービスの整備により、社員が仕事と家庭を両立できる環境を提供。リモートワーク制度、フレックスタイム制度、サテライトオフィス等の充実を図る。

*※D&I…ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(受容性)を合わせた言葉。「ESG経営」のうちのS=socialに内包されるテーマの1つであり、投資家たちが会社の健全性を判断する上でも注目される指標に。内閣府は、2023年3月期決算企業からサステナビリティ情報の開示を義務化。有価証券報告書等の「従業員の状況」の記載において、女性活躍推進法に基づく女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女間賃金格差といった多様性の指標に関する開示も求められる。多くの企業において「D&I」は経営課題の1つと位置づけられており、取り組むべき喫緊の課題と言える。D&Iには、性別、年齢、人種、国籍、宗教、障がい、LGBTQなど、多様なテーマが含まれる。「D&I活動」は、多様な人材を活かし、1人ひとりの能力が十分に発揮できるようにする取り組みを指す。

「自分次第でチャンスは拓ける」働くすべての女性に伝えたい

Ridgelinezでは社長直下のD&I推進室長も担っていると伺いました。はじめに関さんがD&Iに取り組まれる理由から伺ってもよろしいでしょうか。

まず、日本社会では一般的に、マネジメントや経営層において同質性が高いことに違和感を持っています。日本企業に勤務されている特に女性の方々とお話しさせていただくと「まあ、こんなものか」と無理矢理自分を納得させるように、諦めてしまっている方がたくさんいると感じており、いまだに男性優位が根付く組織やシーンはどうしても存在しています。

もっと挑戦したいのに積極的になれない人がいる。これは本当にもったいないことだと思うのです。そうした人々に対して、「自分の心がけ次第でチャンスは拓ける」という視点をシェアし、元気付けたい。そういった思いがあり、Ridgelinezにジョインし、D&I推進に取り組んでいます。

もともと20年ほどアメリカでコンサルタントとしてキャリアを積んできたのですが、当時は私の中でD&Iにそこまで課題感はありませんでした。というのも、多様な人種が共に働くことが当たり前なので、職場においてD&Iは浸透していたと言えます。私自身もフラットに実力や貢献を評価してもらえていると感じられる環境でした。

一方で、日本のビジネスシーンでは「女性」というだけで対等に見てもらえない経験もありました。たとえば、初見の方とのご挨拶の際に、おそらくアシスタントと間違えられ、名刺交換をさせてもらえなかったーーなんてことも。正直とてもショックでした。

ただ、それは個人の問題ではなく「ビジネスパートナー=男性」が当たり前のものとされてきた社会的な背景がある。そこに対して、私は気づきをもたらしたいと考えました。

そんな中、ご縁があって、今井(Ridgelinez代表取締役CEO)と話す機会があり、日本社会の変革に本気で取り組んでいけるフィールドがRidgelinezにはあると思いました。富士通発の総合プロフェッショナルファームであり、国内の大手企業とのネットワークも活用できる。今井の想いにも共鳴し「ここでD&Iの考え方を広め、日本をアップデートさせていきたい」と入社を決めました。

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関 優子 |
執行役員Partner  Sustainability Transformation Practice LeaderChief Diversity & Inclusion Officer
約20年にわたり、コンサルティング、自動車、Eコマース業界にて経営陣とともに経営戦略、組織開発、組織・風土改革、カスタマー・エクスペリエンス(CX)、エンプロイー・エクスペリエンス(EX)などのプロジェクトを手がける。日産自動車に加え、ブーズ・アレン・ハミルトンの米国本社にのべ15年在籍。帰国後、外資系コンサルティングファーム(経営企画担当執行役員)、アマゾン(コンフィデンシャルプロジェクト)を経て現職。  ダイバーシティ&インクルージョン推進リーダーとして、経営課題であるダイバーシティをビジネスチャンスへと変えていくことをビジョンに掲げてD&Iを推進している。 

▼RidgelinezにおけるD&I推進の取り組みについて
Ridgelinezでは、「多様性を受け入れ活かし合う、知見と学びを共有しつなげる」ことを実践するため、創業当初からD&Iの促進に取り組んできた。従業員が働く環境の整備や、社内外の垣根を越えた啓蒙活動に加え、社内の有志メンバー約70名が自主的にD&Iの浸透と促進に取り組む従業員起点のD&I活動を展開。有志メンバーに対して就業時間の10%をD&I活動に割くことができる制度を作り、経営と従業員がコミットする環境でサポートしている。

D&I推進で向上していく、会社への信頼度

ユニークなD&I推進の取り組みも多いですが、実際社内ではどういった変化があったのか伺えますか?

まず定量的な変化で言えば、全社員を対象に行ったエンゲージメントサーベイのスコアが上昇していることです。顕著に高まっているのが、会社への信頼度。ポジティブな意見・ネガティブな意見問わず「声をあげれば会社が聞いてくれる」と感じてくれている社員の割合が高まりました。

また、個人的に嬉しい変化としてはD&I活動自体が本業とは別の「成長機会」になっていること。手を挙げれば入社1~2年目の社員がD&Iの取組みをリードすることも可能で、普段の業務では経験できない役割を早期に経験し、自信をつける若手社員が多いです。

ちなみに、昨年新卒入社した有志メンバーの「社内での取り組みをもとに、クライアントに価値還元できる方法を考えたい」という声から、クライアントへのD&I推進に取り組む「ビジネスチーム」も発足しました。私たちが全社を巻き込んで取り組んできた活動を棚卸しし、ノウハウを整備。既にお客様と会話を始めています。

コンサルティング業界の良いところは、自分のスキルが自社だけではなく、様々な業界の会社に波及し、活用され、クライアントの先にある社会に還元していける点。この環境を活かし、より大きなうねりを生み出せればと考えています。

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社員の育成に関する考え方を、関さんはこう解説してくれた。「例えば、ある女性コンサルタントが会議で踏み込んだ発言がないという理由だけで、『この人はリーダーシップスキルが足りないから、マネージャーへの昇進はまだ』と決めつけるのは性急な判断です。大事なのは、そうなっている背景まで考えること。もしかしたら、意見を伝えにくい雰囲気があるかもしれないですよね。もう1つ大事なのは、建設的な打ち手を検討していくことです。その人がリーダーシップスキルを伸ばし、成長していくには、どのような機会を提供したらいいのか。それをD&I推進室とHR、上長など様々な人を巻き込みながら検討していきます。『どのような人がコーチとして最適だろうか』、『今後1年は、プロジェクトマネージャーになるような案件で経験を積んでもらおう』といった形で、最適な打ち手を模索しています」

経営者に伴走を。女性活躍推進企業のサポートも

これからの仕事の目標、ビジョンについて伺わせてください。

私は、仕事とは「自分の強みや経験を社会に還元するチャネル」だと捉えています。引き続きコンサル業界に身を置き、これまでビジネスシーンやプライベートで感じてきた思い、20年間での経験を活かし、多くの人の強みを引き出すように還元していきたい。その中で、リーダーとして、個人として、価値を発揮していきたいです。

経営者の方々とお話ししていると、みなさん「女性活躍推進に取り組みたいけれど具体的にどうしていいかわからない」というのが本音なのです。なかには、経営者ご本人は社員に向けてダイバーシティに関して発信したい気持ちがあっても、本当に真剣さが伝わるのか分からない、といったもどかしさを感じられている方もおられました。

そこに対して、私であれば「ダイバーシティへの理解・浸透」に向けて、経営者と従業員などステークホルダー同士の媒介役になれるのではないかと考えています。例えば、経営者の方と私が対談し、経営者のダイバーシティへの思いを聞き出していく。実際にビジネスシーンにおいてマイノリティになりがちな女性である私が間に入ることで、経営者が一人で語るよりも、多くの人に届くメッセージになるのではないかと考えています。

このような形で、私は経営者に伴走し、より多くの人たちが可能性を諦めずに済む社会に貢献していきたいと考えています。

いつもチームメンバーに伝えているのですが、「その人だからこそできること」は必ずあると思います。もしかすると、バックグラウンドの違いから気負いをしてしまうことがあるかもしれない。ただ、そういった立場だからこそ分かることがあって、それはその人にしか伝えられないことかもしれない。自分の視点やできることを把握し、惜しみなく活用してほしい。そして自信を持って欲しいと思っています。

様々な人がいる中で個々の強みを持ち寄ることで良いものができていく。そうすれば、新たな価値が生まれ、世の中はもっと良くなっていく。D&Iを社会に浸透させていくことは、より健全で誰もが輝き活躍できる社会の実現につながると思います。

これを読んでくださっている方々のなかには、「もっと成長したい、挑戦したい」と思っている方も多いと思います。そういった方々には、前向きに次のステップへと踏み出して欲しい。それが私の願いです。そして、今回この記事を読んでいただいて少しでもRidgelinezに興味をもってもらえたら嬉しいですね。

リッジラインズクレド

ワーキンググループは、有志メンバーから構成され2024年現在、約70名が活動中。従業員が就業時間の10%をD&I活動に使うことができる。「ファームの成長に貢献する活動」として、年次評価でも考慮される仕組みになっている。

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