株式会社電通が、クライアントのマーケティング課題の解決を最前線でリードする「ビジネスプロデューサー(営業)」を募集する。採用強化のタイミングに、2011年の入社以来、第一線で活躍する雑賀 久恵さんを取材。彼女の「活躍のポイント」に迫る。
「電通」で挑戦してみたかった
まずは、転職を考えたきっかけから伺わせてください。
新卒で入った広告会社の営業時代に、電通の人たちと仕事をしたことが大きなきっかけだったように思います。
前職でも、色々な案件に携わることができ、やりがいはありましたし特に何か不満があったわけではありませんでした。ただ、交通媒体の担当をしていた時に電通が主導して実施しているプロジェクトに関わる機会があり、交通広告だけではなく、TVCMも、店頭キャンペーンなども含めて、全てのコミュニケーションを任されている業務内容の広さを目の当たりにし、私も「より総合的な支援ができるようになりたい」と思うように。接する人たちもとてもイキイキと働かれているように見えたことも印象的でした。当時27歳。広告業界で働くからには、一度は電通で挑戦してみたい。何か自分の幅を広げられるのではないか。そう思い、求人をみつけて応募しました。選考ではとにかく熱意を猛アピールしたのを覚えています。幸いご縁があり、入社しました。
雑賀 久恵
2006年、新卒で広告会社に入社。マーケティング部門と交通媒体部門に所属。2011年4月に電通に中途入社し、ビジネスプロデューサーとして働く。2022年1月に出産し、2023年1月に復職。
電通の「新しい武器」を提案したい
入社されてから現在までのキャリアについて教えてください。
基本的には入社以来、ずっと営業職をしています。電通ではビジネスプロデューサーと呼んでいますが、クライアントへの責任者として、マーケティング・コミュニケーションの提案、プロデュースを担います。社内のあらゆる部署・精鋭をとりまとめていく立場なので、各部署のことをできる限り知っておきたいという想いから、これまで何度か“社内留学”のような形でデジタルやプランニングの部署でも学んできました。未知の経験をできる面白さはもちろん、聞いただけではイメージしづらいことも、実際にその部署の一員として手を動かしてみると、各部署で重視しているポイントが分かってきます。ビジネスプロデューサーとして、どのように依頼すれば彼ら/彼女らは進めやすいのか、という目線を持てるようになりましたね。
私が電通に入社して2.3年目に携わらせていただき、特に印象深く影響を受けた案件だったのが大手ファストフードチェーンの新商品開発を含めたプロジェクト。単にCMを制作するだけではなく、より上流のコンセプトメイキングの段階から、実際どんな味にするかなどの商品開発、パッケージデザイン、CMコンセプト、店頭POPなど、全てイチからクライアントのワンチームで作り上げていきました。プロジェクトの過程では、相手がクライアントであろうと、先輩後輩なども関係なく、遠慮せずに意見を出し合ってときには意見が対立することも。みんなでゴールに向かう過程で色々な苦難を一緒に乗り越えていきました。商品が世に出た時の感動は今も忘れられませんしクライアントからも「雑賀さん、SNSでこんないい反応がありました」「雑賀さんにお願いしてよかった」といったメールをいただき、一緒に喜びを分かち合ったときに、改めてこの仕事の醍醐味を感じて、ずっと続けていきたいと思うようになりました。
このように大人数のチームで関わるプロジェクトもあれば、私が1人で向き合うプロジェクトもありますし、クライアントもBtoB、BtoC、大手からスタートアップまでさまざま。有難いことに、あらゆる場面でのビジネスプロデューサーの在り方を経験させてもらっています。
電通のビジネスプロデューサー(営業)として働く魅力とは、なんだと思いますか?
時代や会社の成長と共に、進化し続けられる。ここに尽きるかなと思います。
もしかすると、電通と言えば広告会社というイメージが強いかもしれませんが、クライアントのニーズは多様化しており、経営課題・事業課題、DXに関する課題、新規事業のご相談など多岐にわたります。解決策が必ずしも広告ではないこともあるため、電通としても新しいソリューションを増やし、それに伴い新たな専門部署が生まれ、それぞれに対応できる優秀な人材が増えています。
そうした中、ビジネスプロデューサーだけが昔のままでいることはできません。最新のトレンドやソリューションに関する情報のキャッチアップは不可欠ですし、誰が何に詳しいのかも把握しておくことも重要です。常に新しい電通の武器を提案できる存在でいたい。電通にいると、自然とそういった気持ちが湧いてくるように思います。
また、いわゆる「営業」として働くうえで、社内にあらゆるソリューションがありプロフェッショナルがいることほど心強いことはないと思っています。クライアントからどんなご相談がきても、きっと何かしらお役に立てる。100%は答えられなかったとしても、解決の糸口くらいはご提案できる。そういった、ある種の「確信」に近い気持ちが自分のなかにありますね。
たとえば先日も一風変わった相談がきました。「雑賀さん、こんなこと電通さんに相談することではないかもしれないのですが、組織作りの相談をしたくて」と。広告とまったく関係ない変化球。おもしろいですよね(笑)斬新な相談に驚きつつも、どうにかお答えできないかと社内で相談したところ、そういった経験をもつメンバーが力を貸してくれることになり、無事、お打ち合わせをすることができました。
個人的には、クライアントから頼られること、相談しやすいと思ってもらえることが、何よりのやりがいであり、モチベーション。入社当初から、競合の営業も数多いるなかで「一番に雑賀さんに相談しよう」と思ってもらえる存在でありたいと思って働いてきました。こうした質問をいただけることは「ありたい自分」でいられている証拠と捉えています。
電通で活躍する人の共通項として、「好奇心旺盛でなんでも面白がれる人」をあげてくれた。「例えば、新組織について相談されたときも、『うちは広告会社なので』と突っぱねるのではなく『やってみたい!』『私のアイデアで部署が生まれたらおもしろそう』と捉えられる方が向いていると思います。特にビジネスプロデューサーは興味の幅が広かったり、何かしら好きなことをプロ並みに突き詰めているような自分の強みと言える領域を持っていたりする人が多いです。ちなみに私は大のプロレス好き。年始は東京ドームに観戦に行きます。密に、いつかプロレス関連のプロジェクトに関われたら…と思っています(笑)」
自分らしく働ける環境を、自分でつくる
プライベートでは、22年に出産し、23年に復職されたと伺いました。働き方はかなり変わったのではないでしょうか?
そうですね。たしかに、子どもが生まれ、以前のように「平日のすべてを仕事に注ぐ」ことはできなくなりました。
ただ、出産を経て感じたのは「クライアントから1番に相談される存在でありたい」という根っこにある想いは、昔と同じで変わらないということ。私の場合、働くからには頑張っている実感や達成感、クライアントに相談してもらえるやりがいを感じたい、と改めて強く思いました。
そのため、以前よりも限られた時間で、自分のやりがいも大切にするためにどうしたらいいのか。常に考えながら、現在進行形で少しずつ環境を自分で整えているところです。
「環境を整える」とは?
1つは、復職してから所属している局内で「パパママ会」というネットワークを発起しました。
今でこそ復職から1年ほど経ちだいぶ慣れましたが、復職直後は、社内のシステムも変わっていたり、クライアントの担当者も変わっていたり。私が知っていた世界ではないように思えて、非常に心細かったことを覚えています。そんな時、たまたま同じ部署に、産休・育休経験がある先輩や、自分の直後に復職してきた仲間がいて、不安を吐き出し、共有できたことがとても救いになりました。その経験から、ランチの時間にリモートで集まったり、社内のコミュニケーションツールで業務のことも業務外のこともなんでも情報交換できるようにしたのがパパママ会の始まり。「このシステムの使い方を教えてください」といったことから、「子どもが◎歳の時は何の遊びしていた?」「おすすめのおもちゃは?」「子どもが風邪ひいた時、何のお薬を処方してもらっている?」「おすすめのベビーシッターさんの会社は?」など、気軽に相談したり話せる環境があるのは本当に心強いですし今後、産休・育休を経験する同僚にも安心して戻ってこられる環境を少しでも提供できるかなと思っています。
もう1つ、自分で時間の使い方をコントロールするために、あえてフルタイムに切り替えたこと。これも大きな決断でした。
それこそ、復職前は、自分がどれくらい仕事にパワーを注げるのか見当もつかず、自信もなく、不安でいっぱいでした。そのため最初は15時までの時短勤務で復職しました。ただ、実際に働いてみると、想像以上に理想と現実のギャップがあったのです。というのも、仕事の特性上、どうしても時間で区切れるものではありません。「15時まで」と無理矢理区切ることで、本当は私に相談しようと思っていたクライアントが諦めてしまっているかもしれない。それは、私が大切にしてきた「一番に相談してもらえる存在」とは、遠い状態でした。そのため、私には「自分で時間を切り分けて、コントロールできる働き方」のほうが合っているかもしれないと考え、復職5ヵ月目からフルタイムに切り替えさせてもらいました。現在1日のスケジュールとしては、朝から働いて、保育園にお迎えに行って18時頃帰宅。一度中抜けして子どもと過ごし、何かあればそれ以降に対応するスタイルをとっています。
「私自身、まさか5ヵ月でフルタイムに戻せるとは思っていませんでした」と語る雑賀さん。「もともとは、何年かかけて育児と仕事のバランスの良いとり方をみつけ、いつかはフルタイムで働ければいいなと考えていました。想定より早くフルタイムの働き方に戻せたのは、社内外含めて周りの理解とサポートがあったから。本当に恵まれていると感じます。もう1つ、コロナ禍を機に新しい働き方が生まれ、リモートワークでもパフォーマンスを出せることに世の中全体が気づき始めた。そういった時代的な変化も大きかったかもしれません」
今に満足したら終わり。私は成長を止めない。
ご自身として今後の目標があれば教えてください。
繰り返しになりますが、どんな場面であっても「雑賀さんにお願いしてよかった」と思ってもらえる存在であり続けたい。これからも変わらない目標です。そして、そのためにはビジネスプロデューサーとして、常に新しい提案をできることが大事だと考えています。
たとえば、長く同じクライアントを担当させていただいている中で、いまやっていることが成功していると、お互い「この施策がBESTである」と考えて同じような施策になりがちになってきてしまうことがあります。
ただ、そういう中でも、「本当にこの提案でいいか」「実はもっといいアイデアがあるかもしれない」と常に挑戦する意識を持つ。そうすることで自分の成長やクライアントにとってより良い提案に繋がると思っています。そのためにも新しい引き出しを増やし、電通だからこそ提案できる新しいチャレンジを仕掛けていきたいです。
また、出産を経験して、新たな視点が生まれ、引き出しが増えたような感覚もあります。たとえば、新卒採用サイトの若手社員のインタビュー動画をつくっているとき、親目線で見ている自分に気付いたり。女性活躍のコンテンツ制作でお悩みのクライアントに、自分の経験から話せることもあったりする。自身の経験も糧に、これからも自分らしく働いていきたいですね。
【番外編】雑賀さんに聞く!ワークとライフのために工夫している3つのこと
【1】日頃から助け合える関係性をつくっておく
限られた時間のなかでパフォーマンスを発揮していくには、チームなど周りのサポートを得られる関係性を日頃からつくっておくことは大事だと思います。そのためにはお互いサポートしあうことが大事になると思うので、私自身も誰かが困っていたらできる限りサポートにまわることを意識しています。
【2】業務を整理し、パスは丁寧に
今までは、できる限り自分でやりたいと思うタイプだったのですが、育児の時間もある中で「すべてを自分でやらなくてもいい、ここは他の人にお願いしよう」と捉え、業務を整理するようになりました。業務を依頼する際には、どうすれば何回もやり取りせず互いにストレスを少なく進められるか意識しています。単純にタスクを分担することもありますし、背景からしっかり説明した方が伝わると判断すれば少し時間をかけてでも丁寧に説明するようにしています。頼むほうも、頼まれるほうも、お互い気持ちよくできる形を模索しています。
【3】家事・育児分担は、5:5
仕事での分担や信頼関係構築と同じくらい、家庭での仕組みづくりも大切だと思います。我が家は、夫も同業界・フレックスである前提はあるのですが、家事・育児分担も5:5にしています。お互い年4~5回は出張が発生するので、どちらか不在でも家庭が円滑にまわるようにする必要がありました。始めはうまくいかずお互い不満がたまったりケンカもたくさんしましたが、1年かけてようやく、程良い塩梅の仕組みができつつあるところです。