INTERVIEW
「新しい市長」発掘プロジェクト|東 修平

あなたも、市長を目指しませんか? 現役市長が選挙をサポート「新しい市長」発掘プロジェクト始動。

掲載日:2024/09/25更新日:2024/09/27
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「民間出身の方をはじめ、“ 市長を目指す人 ”をオープンに広く募る、前例のない試みに挑戦します」こう語ってくれたのが、現・大阪府四條畷市長である東修平さん(35)。財政建全化・子育て世代の転入増・デジタル活用など、たびたび「地方創生のロールモデル」として注目されてきた四條畷市。今回、東さんが打ち出すのは自身の市長任期満了に伴う次期「市長選挙」立候補者の公募だ。なぜこの前代未聞の試みに至ったのか。その裏側にある熱き志に迫った。

「新しい市長」発掘プロジェクト|東 修平

東 修平氏(現・大阪府四條畷市長)による、次期「四條畷市長選挙」の立候補予定者をオープンに募る新たな試み。民間企業をはじめ、日本全国から広く「市長を目指したい」という熱意溢れる人材を募り、地方創生を牽引する「次世代リーダー」を発掘。選出された立候補予定者は、東氏と支援団体「四條畷市民の力」によるサポートのもと、約2ヶ月間の政治活動期間(市民との対話など)を経て市長当選・就任を目指す。

応募要項
・日本国民で満25歳以上であること(海外居住でも応募可)※被選挙権に準ずる
・募集期間:2024年9月25日(水)~10月15日(火)
・応募総数・選出者の発表:2024年10月下旬予定
・政治活動期間(市民との対話など):2024年11月上旬~12月14日(土)
・告示日:2024年12月15日(日)
・投開票:2024年12月22日(日)
・市長選挙にて当選した場合の任期は2025年1月20日から4年間

“市民の目”を取り入れた独自の選考方法について
書類選考、東氏によるオンライン面談に加え、市民(※)による「自分たちの街のリーダーとして誰がふさわしいか(市民の目)」という議論を交えた選考を行なう。


(※)多様な市民によって構成される政治団体「四條畷市⺠の⼒」を設⽴。特定の政策を実現することを目的としないため、団体の規模拡大を目指さない。

同プロジェクトにおける注意点について
・行政機関である四條畷市及び市職員は一切関与せず、あくまで東修平氏および政治団体「四條畷市民の力」としての取り組みとなります。同プロジェクトにおいて公費は一切使用されません。
・「四條畷市民の力」は個人献金を募ることで活動の原資としていく予定ですが、 実際の政治活動にかかる費用は自己資金を前提とします。
・東修平氏との間での雇用契約/業務委託契約を結ぶ募集ではありません。
・市長選挙への立候補予定者を募るものであり、市長就任をお約束するものではありません。

持続可能な行政運営のために、次のリーダーにバトンタッチを

大阪府四條畷市――2017年、当時28歳で日本最年少市長となった東 修平さんによる、2期8年にわたる大胆な改革、財政建全化が一つの区切りを迎えようとしている。その先進的な取り組みと実績は、全国で「地方創生のロールモデル」として常に注目を集めてきた。

・民間出身の女性副市長公募&活躍
・デジタル活用で複数の全国初事例
・2017年より7年連続「30代・子育て世代」転入増
・財政構造の健全化により基金積み立て増
・市役所職員の「民間出身割合」27.7%を実現(令和6年8月1日時点)
・2022年度「11職種」中途採用倍率100倍突破

そして2025年1月、任期満了により「東市政」は幕を閉じる。

市長退任にあたり、東さんはこう語ってくれた。

「2017年の市長着任にあたり、私は“ 新しい畷(なわて)へ ”を掲げてきました。それは主に財政の悪化・住民サービスの低下・転入者の減少という「負のループ」から抜け出すことを意味していました。2期目にして“ 新しい畷(なわて)へ ”生まれ変わる転換点にできたのではないか、市民の皆様との約束を一定果たすことができたのではないかと考え、市長を退くことを決めました。」

その決断に至ったもう一つの理由に、100年後の四條畷市、さらなる未来へのまなざしがあった。

「100年先も四條畷市が住みやすい街であり、活気がある街であるためにはどうしたらいいか。ずっと考え続けてきました。そこで私が出した結論は、持続可能な行政運営を見据え、情熱と意欲を持つ新しいリーダーが一定期間で誕生していく「流れ」をつくることです。市長は大きな権力を預かります。「権不十年」という格言にもあるように、どうしても同じ人が長く続けることで良くない面も出てきてしまう。そして、人には得意不得意があります。私が今ここで退き、私にはできないこと、私にはない個性を発揮するリーダーにバトンをつないでいく。それが次の世代に対する責任の果たし方だと考えました。」

市長とは必ず4年ごとに節目がやってくる、任期付きの職。退任後の未来に何を残していくことができるのか。

「市長という職に就かせていただいた以上、例え任期満了を迎えても、さらに未来を考えていく必要があると考えています。私に何ができるのか。そう考え抜いて至ったのが、今回の市長候補の公募という試みです。」

もし当選を果たせば、東さんの後任となる市長候補の公募。任期中における最後であり、前代未聞となる、東さんの新たな挑戦に迫った。

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東 修平|大阪府四條畷市生まれ。大阪府立四條畷高校、京都大学工学部物理工学科を卒業し、同大学大学院工学研究科修士課程を修了。専攻は原子核工学。2014年に外務省に入省し、環太平洋経済連携協定(TPP)をはじめ、貿易協定の交渉に関する業務に従事したのち、野村総合研究所インドにて、自動車業界のグローバル事業戦略・経営戦略の策定を支援。2017年1月15日に行われた四條畷市長選挙において初当選。全国で最年少の現役市長(初当選・2期目当選時)となる。

「市の新しいリーダー」を全国公募へ

「市長選挙」立候補予定者を公募で募る。なぜこのような試みに至ったのか。まずはその経緯から聞くことができた。

日本中から“ 市長を目指す人 ”が出てくることで、結果として街に活気が出てくるのではないか。四條畷市の未来のために、意欲的で情熱的な人に着任してもらえるのではないか。そう考え、今回の市長選挙の候補予定者の全国公募に至りました。

私自身、当時28歳で市長に立候補したのですが、出馬を考えた時にはまだインドで働いていました。じつはその時に初めて「居住要件がないこと」を知って。つまり、25歳以上の日本国民であれば、どこに住んでいても立候補できるわけです。私はたまたま四條畷市の状況について知ることができ、関係者の方とつながりから幸運にも当選できましたが、ほとんどの人がその機会すら知りえないのが現状です。

日本全国に約1,700ある自治体だと、やはり地元に長く住んでいる方、国会議員経験者や、あるいは2世・3世の方が世襲で首長に選ばれることが多いですよね。それが決して悪いことだとは考えていません。ただ、四條畷市でいえば市民約5万5,000人の中からのみリーダーが選ばれるのか、日本国民約1億2,000万人の中から熱意のある人がリーダーに選ばれるのか、どちらが良い街になっていくでしょうか。市長に期待されるのは「自治体における経営者」としての能力、活躍です。そう考えれば海外居住者を含め、全国から広く候補者を募ることが、四條畷市の未来にとって良い道であると考えました。

市長は誰が挑戦してもいい仕事であるはずなのに、そもそもどう挑んだらいいのかわからない。なり方、目指し方が、よくわからない。着任後についても、市長がどういった仕事であり、何を重視すべきか、どういった配慮が必要か。四條畷市に限らず、市長という役割全般において普遍的に重要なことがあります。そういったことを伝えていければ、私自身が市長をやらせていただいた意味もより大きなものになります。もちろん、市民の方から「我こそは」と手を挙げていただく方も大歓迎です。市長選挙を、熱意のある候補者が生まれる「開かれた機会」にしたい。どんどん「地方自治から日本を変えていきたい」という方が生まれていく。そういった流れを作っていきたい。これが、私の強い思いです。

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市長の役割・仕事について「市長=首長は、その自治体の経営者だと考えています。」と語ってくれた東さん。「もちろん、式典での挨拶や訪問者を迎えるなど「代表者」としての側面、市民の評価を得ていく「政治家」としての側面もあります。ただ、それらは仕事の一部です。市民の税金、社会保険料を適切に運営し、職員が意欲的に働ける環境をつくっていく。緊急時の対応において重要な意思決定をしていく。市民の代表である議員と議論を交わし、行政運営を行なっていく。つまり9割近くが「経営者」としての仕事だと捉えています。」

これまで以上に「市長」はやりがいのある仕事になる

外務省職員や民間でのコンサルタント経験もある東さん。市長として働く魅力について聞くと、約8年間を振り返りながら「市長ほどやりがいのある仕事はないですね」と語ってくれた。

あらためて市長のあり方、役割そのものが大きく変わってきている時代です。市役所では、市民を誰一人取り残さないよう、適切なサービスを届けていく必要がありますよね。そのためにルールやフォーマットがあり、それに従って仕事をしていきます。ただ、市長は「本当にそのルールでいいのか」「どういうルールであれば職員、そして市民の皆様にとってプラスが生まれるか」と常に考え、抜本的に変えていくことができます。

特にこれからは日本全体で人口が減り、行政運営全般における難易度が高まっていく時代でもあります。だからこそ一つひとつの意思決定、取捨選択が非常に重要なものになります。そのためにもルールそのものに向き合う機会が増えており、チャレンジングであることは間違いありません。

また、緊急時を含め、解決が難しい市民の問題を解決していく、最後の砦が市役所でもあります。答えのない問題に答えを出す、出し続けていく。24時間365日、そこに没頭ができる。これほどやりがいのある仕事は他にはないのではないかと思います。

先進的な取り組みで注目され、実績を残してきた四條畷市。そこでの市長でこそ得られるやりがいも大きいと東さんは話す。

四條畷市の中途採用は、倍率が100倍を超えた年度もあり、意欲と熱意のある職員がどんどん増えています。モチベーションが高く、優秀な多くの職員たちと働くことができる。ここは四條畷市の市長として働く最大の魅力であり、挑戦環境だと言えるでしょう。

また、財政面でも未来への投資ができるフェーズを迎えています。たとえば、全国共通の課題でもありますが、高度経済成長期に整えてきた道路や上下水道、公共施設などインフラをどのように生まれ変わらせていくか。いわゆる耐震化を終えていない公共施設が市内に5つほどあるのですが、どのように早期に次のステップに進ませるのか。残すのであれば耐震化しなければなりませんし、集約するならどこに集約するのか、何年間も議論してきました。その結果、ようやく2024年9月に早期解消へとつながる予算を議会で承認いただき、大きな一歩を踏み出しつつあります。その計画に基づき、街そのものを実際に良いものに変えていける、大きな変化を起こす手応えを感じていただけるはずです。

また、住みやすいと思っていただける「子育て政策」のような、いわゆるソフト面の政策を多く手掛けてきました。いわば「種まき」から「芽吹き」まではしてきたので、あとはいかに四條畷市独自の魅力や個性を花開かせ、より選ばれる市にしていけるか。やはり文化や産業は長い時間をかけて根付かせるものでもあります。中長期的な視点で、さまざまなプレイヤーが新たな取り組みをしていくバックアップ体制、挑戦の足場を制度として整えてきました。そういった制度を存分に活かし、新たな挑戦をしていただきたいです。ここも四條畷市における「これからの市長」として働くやりがいになるはずです。

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これまで市役所全体の改革も推進してきた東さん。その上で大切にしてきたのが「自走する組織」だ。「最も市民の皆様と接し、最前線で声を聞いているのは職員の皆さんです。特に2期目からは、トップダウンで指示を出して政策を進めることはほとんどせず、皆で話し合いながら良いものを生み出そうとしてきました。たとえば、財政健全化のもとで始めた未来投資において、ボトムアップで新規事業案のアイデアを集め、初年度から各職員・各課より90件以上の提案がありました。目の前の困っている市民の皆様をどう救えるか。職員自身が考える。その代わりに人員や財源の準備は経営者として行なう。こういった役割分担のなか、“日本一前向きな市役所”を目指してきましたし、これからも職員主体に目指していってくれると思います。」

いかに「市民の声」に向き合い続けていけるか

もちろん、やりがいだけでは市長は務まらない。答えが出ない問題に対し意思決定し、判断を下す場面も多い。そういった時こそ東さんは「市民の声」を大切にしてきたと話す。

私の場合、政治活動においても、まずは市民の皆様の声を聞くところからはじめました。事前に広報活動をし、毎日公民館などで10~20人ぐらいの方に集まっていただき、「私はこう考えています。意見を聞かせてください」と連日お話をしていきました。お声がけいただき、子育て中のお母さんが集まるグループにお話を聞きにいったことも。着任後もどれだけ現場に足を運べるか。意見を聞きつつ、自身がどういう物事の考え方で、どういう取り組みをしていくのか、人々にお伝えしていくスタンスは貫くことができたと思います。

特に印象的だったのは、着任まもなく取り組んだ「学校の統廃合」の検討です。これは2代前の市長時代から課題になっていたものの、なかなか決着がつかない問題でもありました。学校は多くの市民の皆様にとって「思い出」として残ってほしい場所。ただ、あまりに小規模校ばかりになれば、現場の先生たちでは立ち行かなくなってしまう。なので、やはり一定の規模が必要だという教育委員会の考えに賛同し、統廃合の検討を進めていきました。今でも忘れられないのが、時間を区切らず、保護者の皆様にご理解いただけるまで2時間も、3時間も、何度も話し合ったことです。最終的には結論を導き、最後に条例を出させていただきました。

さまざまなエリアに住んでおられる保護者の皆様と今もお話しする機会があるのですが、今となっては笑顔でお話 ができている。そういった時に「ああ、あの時に最後まで話し合ってよかったな」と思います。じつは大きく方針が決まった時、最後まで「納得できない」というお母様もいらっしゃいました。ただ、市役所を出る直前、その方から「確かに納得はできない。ただ、理解はしたから、もうこれ以上は何も言いません」と言ってくださった。その時に説明をしてきた意味があったように感じられました。

ただ、一方で地元に住むご年配の方から 「今回の判断をどう思っているのか、本当に市長の心を聞かせてくれ」と聞かれた時は、冷静さが勝ってしまった。「こうした理由があり、今回の判断で良かったと考えています」と答えてしまったんです。その方からは「ほんまはそうじゃなく、苦しい気持ちもあるって言ってほしかったんや」という言葉をいただき、今でも時々思い出し、反省し続けています。どれだけ市民の皆様と、心と心で対話ができるか。こういった一つひとつの「声」に向き合い、自問自答を続けていく。それも市長の役割の一つなのだと思います。

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市長としての大切にしてきたスタンスについて「市民全体の利益を見つめ、市民一人ひとりと向き合い、説明することを大切にしてきました。」と話す東さん。「より良い市政運営をし、市民の皆様から評価いただく。そのため政治家としてのスタンスとしても、特定の企業、政党・団体から推薦や支援はもらわずに、活動してきました。一般的にはさまざまな団体のお力添えで投票いただくことも多く、それを決して否定するつもりはありません。ただ、特定の人たちに応援や支援をしてもらうことで、市全体のための意思決定が歪められる可能性もあると感じています。ですので、今回の公募に関しても、多くの市民の皆様に政策を伝え、それが良いと思ってもらえるような活動をしてもらいたいですね。ぜひ市民の皆様のための政策を中心に据え、市長としての役割と向き合っていただければと思います。」

市長に求められる「意志」「情熱」「冷静さ」

続いて聞いたのが「どういった人が市長に向いているのか」という質問。そこに向き不向きはないと東さんは話す。

それぞれの「個性」や「能力」が強みになるため、特にこれからの市長像において、向き不向きはないと考えています。全国の市長さんたちを見ていても、みなさん全くカラーが違いますよね。それぞれの考え方、アプローチで結果を出されています。ですので、これまでの人生で得てきた経験、考え方、能力を遺憾なく発揮し、市政に反映いただきたいです。

一方で、普遍的に重要だと思うのは、概念的ですが、やはり「意志」と「情熱」だと思います。市民の皆様、職員、議会…さまざまな人たちに納得してもらえるまで向き合っていくしかない。そこには熱い気持ち、意志が求められると思います。ご自身の信念、芯、ビジョンといってもいいかもしれません。あくまで「成し遂げたいこと」が先にあり、「市長」として実現していくのは手段だと私は考えています。

もう一つ、普遍的な部分で付け加えるなら「冷静さ」も欠かせません。というのも、市長は最終の意思決定者であり、後ろを振り返っても、誰も責任を取ってくれる人はいません。特に台風や地震などの緊急時に判断を間違ってしまったら、人の生き死に直結する仕事です。俯瞰した上で、自分だけの考えに陥っていないか、冷静に見つめ、判断を下す。冷静な心で、本当にこの判断でいいのかと問いつつ、熱い心で、とてつもなく多くの人を説得していく。あとはどのような「個性」があっても私はいいと思っています。

「志を語れるリーダー」を増やしていきたい

そして最後に聞けたのが、東さん自身の「志」について。今回のプロジェクトにも通じる、熱き思いがそこにはあった――。

私の志はとてもシンプルなのですが、「志や夢を語れるリーダーを一人でも多く増やすこと」です。志や夢があるにも関わらず、機会が与えられていない、ルールによって歪められて挑戦できていない人たち、志や夢を語れない人たちが多くいます。その「壁」を取り払い、志や夢に向かってまっすぐに進んでいけるようにしたい。志や夢に向かって挑戦しやすい社会にしたいのです。もちろん、日々仕事をしていけば、現実的に向き合わなければならない課題がたくさんあります。ただ、誰かが理想や夢を語りつづけないといけない。リーダーが夢を語らないで、誰が語るのでしょうか。志や夢を語れるリーダーが増えていくことこそ、さまざまな不具合の改善、そしてより良い日本の未来につながっていくと信じています。だからこそ熱き志、そして夢を持った新しいリーダーとなる方と出会っていきたい。そういった方との出会いを心より楽しみにしています。

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