「採用という枠を越えて、企業の本質的な課題解決をできる人になりたかった」こう語るのは、ベイカレントの河野 珠里さん(30)。前職は大手人材企業で営業をしていた彼女は、当時26歳でベイカレントに入社した。全社戦略や事業戦略、業務改革の立案から実行支援まで、あらゆるフェーズで経験を積み、2025年にはマネージャーに昇格。彼女のキャリアストーリーから、同社で得られる経験、成長機会に迫る。
ベイカレントには、「何者にでもなれるフィールドがある」
前職は大手人材企業の営業として主任を務めていた河野さん。順調にステップアップしていた最中、26歳で転職を決めた。その決断の背景には何があったのか。
前職では4年にわたり営業として働き、非常にやりがいを感じていました。ありがたいことに、少しずつ採用プロセスの上流工程や、そもそも採用すべきかといった経営に近い話に触れる機会も増えていきました。その中では、 “人材”という切り口だけでは解決できない、より本質的な問題にも向き合わなければ、と思うようになりました。そこから、少しずつ「採用以外のことに挑戦したい」という思いが明確になっていきました。
当時、順当にいけば半年後には課長職が見えていたため、正直「今辞めたらもったいないかな」という思いも頭をよぎりましたが、私にとって一番の喜びはクライアントの変革を現場で直接支援することでした。そのため、管理職として部下のマネジメントに専念するよりも、まだまだ現場で学び続けたいという思いが勝り、環境を変えることに決めました。
そういったタイミングで出会ったのがベイカレントだったと当時を振り返る――。
いくつかの会社を見る中で、最終的に「ベイカレントには、何者にでもなれるフィールドがある」と思えたことが決め手になりました。
というのも「採用以外のことをやってみたい」「事業戦略に携わってみたい」と思ってはいたものの、それ以上具体的に「何がしたい」という明確なものはまだありませんでした。加えて、事業会社の企画職なども魅力的だとは思いつつ、この段階で1つの事業領域に絞ってしまうことに迷いがありました。
その点、ベイカレントであれば幅広い業界やテーマのプロジェクトを経験できるワンプール制*により、これまでのキャリアに囚われず興味のある領域への挑戦もしていけるチャンスがあります。自分がこれまで培ってきた経験を活かしながら、更なる可能性を広げられる点が魅力的でした。もちろんチャンスを掴むために成果を出す必要はありますが、会社を変えずとも自身の志向性に合わせて幅を広げたり、反対に専門領域を絞ったりできる環境が、当時の私にとって理想的だと思いました。
また、現在執行役員を務めていらっしゃる方と選考中にお話した際、私の考えや価値観を丁寧に聞いてくださった上で「色々と挑戦したらいいよ」と背中を押してもらえたことも嬉しく、入社を決めました。
*ワンプール制:一人一人がキャリアを柔軟に形成できるよう、業界・領域という壁を排した組織形態。若手から多様な業界やテーマに触れ、実践的な経験を積みながら複数の専門性を磨いていくことが可能
入社後にギャップを感じたことについて「人の温かさです。もちろん、プロフェッショナルとしての厳しさはありますが、その根底には常に愛情を感じます。プロジェクトが別々になっても変わらずに目をかけてくれ、最初のプロジェクトでお世話になったマネージャーをはじめ、お世話になった方々とプロジェクトが終わったあとも機会があれば飲みに行き、近況報告したり相談したりしています。また、キャリアアドバイザー*の方には、親身に寄り添っていただきながら、要所で相談に乗っていただいたので、自分の進むべき道を常に見失わずに成長できました。コンサルタントを“1人にしない”という文化が根付いている点は、ベイカレントの大きな魅力だと思います」と語ってくれた。
*キャリアアドバイザー:個々の強みと志向性を踏まえ、キャリア設計やプロジェクトへの配属をサポートする専任の担当者
挑戦の先に見つけた、新たな強み
これまでのキャリアを振り返ってもらった。
コンサルタントとして、モビリティ、印刷、通信業界のクライアントとお仕事をさせていただきました。プロジェクトとしてはメタバースやSDV(Software Defined Vehicle)といったこれからのビジネスの潮流となりうるテーマにおいて、事業化検討や実現に向けた伴走支援を行いました。また、組織改革や業務プロセス改善といったテーマも経験することができ、思い返せば幅広いテーマに参画してきました。
現在はマネージャーとして、チームマネジメントも行いながら、経営層の方々と協議を重ね、中期経営計画の策定に加え、生成AI時代の業務効率化や新たな価値創出・競争力強化を見据えた変革方針の策定に尽力しています。
ありがたいことに、自分が担当した案件がクライアントのプレスリリースに掲載されたり、新聞やニュースで取り上げられたりする機会が何度かありました。そのたびに、クライアントや社会に貢献できている実感が湧き、コンサルタントとして大きなやりがいを感じることができました。
コンサルタントとしてのキャリアを振り返り、ターニングポイントとなったプロジェクトについて話してくれた。
特に忘れられないのが、大手自動車メーカーとのプロジェクトです。SDVという次世代モビリティに関する非常に重要なプロジェクトでした。私は事業戦略の立案から実行支援まで、一通りのフェーズを経験しました。
日本の自動車メーカーが今後も勝ち残るためには、SDVへの取り組みは避けて通れない――。世界ではすでにこの分野の動きが加速しており、「これから間違いなく伸びる領域だ」と直感しました。だからこそ、その最前線に関われたこと自体が非常に嬉しかったです。
まず着手したのは、事業戦略の構想策定でした。他国が技術的に先行する中、SDVに関する技術調査を徹底的に行い、この領域におけるクライアントの勝ち筋についてシナリオを策定しました。このシナリオをもとに、クライアント内の各部署と折衝を重ねて経営層を動かしていきました。また、既存の組織や業務では対応しきれないことが多くあったので、組織の在り方検討や業務オペレーション改善にも携わりました。
また、この案件はベイカレント内で高く評価され、社内のプロジェクトグランプリで優勝することができました。プロジェクトグランプリとは、プロジェクトの先進性や、顧客や社会への意義等を競い、称え合う大会です。決勝戦では、目の前に経営陣が並び、全ベイカレント社員がオンライン視聴できる環境でプレゼンテーターを務めました。優勝したときは、私たちがやってきたことの価値を皆さんに認めてもらえた気がして、大変嬉しかったです。
たくさんのチャレンジを通じて、培った成長について語ってくれた。
4年半のコンサルタント生活で、大きく3つの点で成長できたように思います。
1つ目は汎用的なビジネススキルです。様々な業界のクライアントを、幅広いテーマでご支援してきたからこそ、業界を超えて通用する論点整理力や課題発見力、そして実行支援におけるアプローチの引き出しを着実に蓄積できました。その結果、コンサルタントとして確かな成長を実感しています。
2つ目は専門性です。自動車業界や事業戦略領域を中心に、知見を積み上げてきました。特にSDVや生成AIについて、クライアントとの討議を重ね、現場経験に裏打ちされた「生きた専門知識」を身につけられていると感じています。
また、複数の業界・業務知見を持つことで、クライアントから「他の業界ではどうなのか」「別のやり方はないのか」といった相談をいただく機会も増えています。領域を横断してきた経験をもとに、クライアントの発想を超える提案ができるようになり、少しずつ「重宝される存在」へと成長している実感とともに、ワンプール制だからこそできた経験だと思います。
3つ目は環境適応力です。ワンプール制がゆえに、業界やテーマ、クライアントやチームがプロジェクトごとに変わることも珍しくありません。その度にキャッチアップを重ねた経験から、未知のテーマにも臆せず、勘所を押さえて対応する力が身につきました。変化が激しく先が見えにくい時代だからこそ求められるこうした柔軟性も、ワンプール制で多様な経験を積んだからこそ培えた大きな強みだと考えています。
一方で、異業種から転職した立場から見た入社後の大変さについても伺った。
先ほどもお伝えしたように、コンサル業界では数ヶ月単位で担当プロジェクトが変わることも珍しくありません。そのたびに環境や仕事の進め方が一新されるため、この目まぐるしい「変化への対応」に苦戦する人はいるかもしれません。私自身、異業種から転職した当初は、そのスピード感に圧倒されました。
そこで私が実践したのは、「過去の成功体験や前職での慣習は一度すべて手放す」ことでした。プロジェクトに配属される度、まっさらな気持ちで、クライアントやチームが求める動き方に、柔軟に自分をアジャストさせていく。この姿勢を徹底することで、自分にできることを少しずつ増やしていきました。
その結果、気づけば経験したプロジェクトの数だけ、仕事の“型”が身につき、自分の中に多くの引き出しができていました。例えば、部下へフィードバックする際も、相手の個性に合わせて最適な伝え方を選べるようになってきたのは、この経験のおかげです。月並みですが、新しい環境で成長するためには「素直さ」が何より重要な資質だと感じています。
働きやすさについて、「この会社でなら、あらゆるライフイベントを安心して迎えられそうだなと思います。子育て世代の上位職が多いため、いかに生産性高くサステナブルにプロジェクトを進めていくかという視点でマネジメントされていますし、勤務時間の管理も徹底されています。また、経営企画部がスピード感をもってHR関連の施策を実行しているので、私が入社した当初と比べても、どんどん働きやすくなっていると感じます。長く勤められる環境で、安心してチャレンジができる。そこに魅力を感じている人は私だけではないと思います」と語ってくれた。
最先端領域を究め、事業をドライブできる人に
そして、今後の目標について。
これまでは幅広い業界・テーマのプロジェクトを経験し、汎用的なビジネススキルや専門性を獲得してきました。現状に満足せず、今後も新しい専門性を獲得していきたいと考えています。
現在、特に注目しているのが生成AIの領域です。多くの企業がPoC(概念実証)や一部での試用で終わらせず、いかにして事業に結びつけるか、という次のステップで悩んでいます。社内の生産性向上を目指すのか、それとも新たな事業の柱として育てるのか――。クライアントも私たちも解がない中で、試行錯誤し、実践的な知見を積み重ねていきたいです。
中長期で見れば、生成AIに限らず、他にも世を根底から変えてしまうような先端技術やビジネスモデルが登場すると思います。その都度、その時代に求められる知識をつけ、コンサルタントとして進化し続けていきたいと考えています。そして、経営層に近い視座で伴走し、その変革を支援できる人になりたいですね。
最後に、河野さんにとって仕事とは?
私にとって仕事とは、自分自身の人生を良くしてくれるものであり、社会と対話する手段だと思います。仕事の目的は「お金のため」「自己実現のため」など人それぞれですが、私の場合は、せっかく長い時間を費やすなら、自分が世の中に対してどのように価値貢献をしているかを感じ取りながら働きたい。今の自分よりも、1つ上のレベルのことに挑戦していると、結果的に充実した人生を送れるのではないかと考えています。
もちろん働く上では、大変なこともあります。ときには、理不尽な出来事に直面し、頭を抱えるような時もあります。ただ、私はそうした時こそ成長のチャンスだと捉えるようにしています。「この苦境を乗り越えれば、今の自分を大きく超えられるはずだ」と考えるんです。これまで何度も挫けそうになったことはありますが、今振り返るとどれも「しんどかったけれど頑張ってよかった」と思える貴重な経験です。これからも、クライアントのために何ができるのかというピュアでシンプルな想いを忘れず、クライアントとの協創を通じて、心から良いと思えるような仕事を一つでも多く積み重ねていきたいです。
最後に、仕事は恩返しの場であるとも考えています。現在、私はプロジェクトの成功だけでなく、チームの成長やメンバーの育成にも責任を持つ立場になりました。自分がこれまで育ててもらったように、次は自分が誰かの成長やチャレンジを後押しできる存在になりたいと思っています。