連結売上高4兆6416億円、軽自動車・コンパクトカーをはじめ、多彩なラインナップを世界に展開するスズキ(*1)。インドではトップシェア( *2)を誇り、小型車需要の高い途上国からの支持も厚い。今回取材したのは、AMBI経由で電気機器メーカーからスズキに入社し、海外営業の四輪アジア部にて活躍する鈴木博貴さん(35)。なぜ彼はスズキを選んだのか。そして同社でこそ得られる働きがいとは――。
(*1)スズキ、2023年3月期連結決算発表 売上高4兆6416億円、営業利益3506億円で増収増益https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1500607.html
(*2)スズキ採用HP
https://saiyo.suzuki.co.jp/graduate/about/global/index.html
「スズキ以外の転職先は考えていなかった」
はじめにスズキへの志望動機から伺ってもよろしいでしょうか。
自動車メーカーで働きたい、そのなかでも軽自動車、特にSUZUKIのクルマが好きだったため、志望しました。「転職先を探していた」というよりも「スズキで働きたかった」が正しいかもしれません。
また、私の父も他社ではあるものの自動車メーカー勤務だったこともあり、少なからずその影響はあったと思います。私もかなりのクルマ好きですが、比較にならないほどクルマへの愛が深い人で。ちょうどその父が定年退職を迎えたタイミングと重なり、私自身も「自動車メーカーで働く夢を叶えるなら今しかない」と考えました。
特にSUZUKIのクルマが好きだった理由とは?
日本を代表する自動車ブランドとして、世界中で愛されており、もともと好きだったというのがあります。加えて、軽自動車は比較的リーズナブルに購入できるため、途上国でも高い需要があります。前職で中国駐在をした経験があるのですが、貧しい地域で暮らす方々の生活も目の当たりにしました。そういった地域で暮らす方々にも自動車の可能性、選択肢を届けていく。そういったスズキの展望、使命に共感し、一端を私も担いたいと考えました。
前職、産業用サーボモーター等を扱う電気機器メーカーで12年ほど営業として働いてきた鈴木さん。「AMBIでスズキの求人を見つけ、すぐに応募をしました。30代半ばという年齢もあり、“自動車業界に挑戦できる最後のチャンス”といった覚悟でした」と語ってくれた。
続いて選考過程、面接で印象に残っていることがあれば教えてください。
それまでの仕事内容、取り組み方など、経験やスキルについての質問が中心ではありましたが、面接を担当してくれた方とクルマの話題で盛り上がりました。どのようなクルマに乗っているか、どういった時にクルマの楽しさを感じるかなど、自然体で楽しく話ができたことを覚えています。同じように心からクルマが好きな方々が働いていることがわかり、改めて「この会社で働きたい」と強く感じました。
電気機器メーカーからの転職ということで、扱ってきた製品が異なりますが、どういった経験やスキルは活かせるだろうと考えていましたか?
扱う製品は違いますが、同じ製造業ですし、技術や生産現場、営業、海外現地で働く方など、立場の異なる人たちのさまざまな意見が飛び交うなかで調整したり、周りの人を巻き込んだりしながら、仕事を進めていくところは共通するだろうと考えていました。ただ、実際に入社してみると、あくまでも私の場合ですが、初めて挑戦する仕事がほとんどで勉強の毎日ですね。
途上国でも求められる「SUZUKI」ブランド
実際、スズキではどういった仕事を担当されているのでしょうか。
海外営業の四輪アジア部所属ではあるのですが、主にパキスタンの子会社のマーケティング支援や事業推進に携わっています。例えば、生産に必要な輸出のコントロール、販売戦略の分析、経営管理なども業務の一部です。
どういった部分にやりがいを感じますか?
どのようにしてパキスタン子会社を成長させていくか、経営計画を描いていくか、現地の皆さんを交え、5年後、10年後を見据えた議論に参加させてもらえることです。
あくまで私が見ている範囲、私見ですが、現地でもSUZUKIのクルマは高く評価され、求められていると感じます。やはり燃費が良く、比較的リーズナブルに購入ができる軽自動車、小型車は人気があります。また、よく停電してしまう現地の都市事情もあり、ガソリン車の需要が高いエリアもまだまだあるのだなというのが個人的な印象です。こうした情報を本社にも共有し、開発や販売戦略に貢献していけるのも醍醐味の一つです。
一方で、事前に知っておいたほうがいい「厳しさ」があれば教えてください。
こちらもあくまでも私の場合ですが、先ほどお話ししたように、前職では経験してこなかった仕事がほとんど。どのように現地で事業を成長させていけるか、新たな挑戦をさせていただいており、経営学、会計学、マーケティング、法学、語学など学ぶことが山のようにあります。さらにビジネス英会話ももっとレベルアップしたい。そういった部分も含め、常に新しいことを貪欲に学んでいく姿勢は求められると感じます。
SUZUKIのクルマで、途上国の生活をより豊かに
今後、スズキで実現していきたいことがあれば伺わせてください。
途上国をはじめ、経済的にクルマが持ちにくい地域でも、SUZUKIを普及させていく、その一端を担っていければと考えています。クルマの普及は、移動や交通が便利になることはもちろん、現地の雇用拡大につながっていくもの。結果、現地の経済を押し上げ、より豊かな生活につながるよう、貢献ができればと思います。
また、あくまでも個人的な夢ではありますが、現地の方々の生活に役立つような、新しい車の開発にもいずれ貢献していきたいです。その結果、SUZUKIのクルマがたくさんの方々に受け入れられ、生活のシーンに根付いていけばうれしいです。
さらに個人的な話になりますが、冒頭でお話したように自動車メーカーで働く父の背中を見て育ってきたこともあり、「超える」と言うとおこがましいですが、父が見ることができなかった次の時代の自動車業界を見てみたい、担っていきたい思いもあります。大きな変革期を迎える自動車業界で新しい経験をしていきたい。そして私自身も子どもたち世代に格好良い背中を見せていく、そういった仕事をしていければと思います。